第51話 やっちまったぜ
/639年8月10日/
12:30過ぎ
タ「あぁ...逃げ出したい...
俺の夏よ、飽和してくれ、、」
やらかしによって依頼主を怒らせてしまい、激詰めされてしまったタイトは、この世の終わりかのような顔で歩いていた。
タ「もう、わかんねぇよ。どうすれば良かったんだよ」
タ「はは!、明日負けたら殺されそうだなー、俺」
誰かの依頼の失敗が余程心に来たのか、タイトの心はやや壊れてしまっていた。そんな折に、1人の少女がタイトの前に現れた。
レ「タイト、!」
そう。我らのレイである。レイはタイトの姿を見るや否や、心底心配そうな様子でタイトの名前を呼んだ。
タ「レイ、、、」
レ「タイト、大丈夫?なんか...元気なさそうだけど...朝言ってた依頼で何かあったの?」
タ「あー...うん。・・・ちょっと、ね...やらかしちった」
レ「そう、なんだ...」
タイトが自分1人で溜め込んでしまう性格なのはレイも重々承知しているため、深くは聞かないことにしたようだ。
レ「もうお昼食べた?食べてないなら一緒に食べよ?元気がないならご飯でも食べて元気だして、!」
タ「・・・」
レ「どうしたの?」
レイをじっと見つめるタイト。レイはタイトに見られて少し戸惑いつつも、首を傾げながらタイトに聞いた。
タ「レイの、、、優しさが、温かくって。泣きそう」
レ「泣いてもいいよ?」
レイが少しからかうように言う。
タ「ははっ、レイの前では泣かないよー、だ」
タイトも少し元気を取り戻したのか、レイに対抗しておちゃらけて返事をして見せた。
タイトとレイがご飯屋へと向かっている途中、
タ「他のみんなは?」
レ「今日はローネが」
ロ[歩きすぎで疲れたから、今日の特訓は休み!私は寝る!!!]
レ「てことで、みんなそれぞれ買い物やらなんやらで散らばって行ったよ」
タ「へー、で、レイは何してたの?散歩?」
レ「そんなところ。今日は天気がいいからね、魔法で自分ですずみながら快適に歩き回ってた」
タ「ローネにバレたら怒られるなぁ〜」
レ「バレなきゃ、やってないのと同じなんですー、」
タ「なんじゃそりゃ笑」
村の中心部へと近づいできたところで、
リ「お!やっほータイトー!戻ってきたのかー!」
タイトとレイが振り向いた先には途中で合流したと思われる、リューソー、シキ、パルス、コクウが笑顔で手を振りながら、タイトたちの方に向かって歩いていた。
タ「お、みんなー!」
タイトも笑顔で手を振り返した。
パ「お、バレリーナタイトじゃん」
コ「月光の舞踏家じゃん」
ピシッ、
笑顔のまま体が硬直するタイト。
ハッ!
危険を察知したシキとリューソー。
途端、3人は同時に走り出した。それも最初から全速力で。
店員「ご注文の品が届くまで少々お待ちください」
レ「お願いします」
コ「はーい!」
シ「痛た、ごめんごめん。
悪気はあったけど許してよー」
タ「許してもらう気ないでしょ?!」
頭に大きなたんこぶが1つずつ生成された2人。
リ「ひ、酷いわ!レインにすらまだぶたれたことなかったのに!」
リ「うむ、落ち着いてくれレインよ。せめて拳を構えてくれ。刀は死んじゃうから」
レ「私が殴れば、みんなリューソーを殴りやすくなるのかなと思って、、、」
リ「それは違うし、そもそも刀を構えるな。かなり怖いから」
パ「レインが殴れば私も殴りやすくなるから賛成ー」
リ「お前は初っ端から殴ってたよ。」
店員「お待たせしましたー」
注文した料理が届き、みんなで食べ始めたところで、
リ「そいやタイト、依頼の件はどうだったんだ?」
タ「ふっふっふっふ、」
意味深な笑い方でリューソーを見るタイト。
パ「お?もしかして?」
タ「めちゃくちゃにやらかしてきました」
笑顔で親指を立てながら、自信満々にのたまうタイト。
シ「清々しい程の笑顔」
パ「何笑ってやがる」
タ「一周まわって面白くなってきた」
コ「何があったのよ、」
タイトはことの経緯を簡単に伝えた。
・前提として、正式な依頼として受けたこと。
・恋人のフリをして目標の嫉妬を誘うこと。
・目標を村に留めるように立ち回ること。
・猶予があまりないこと。
・彼が立ち去ろうとした時、依頼主の反応が依頼内容からは考えられないような無言だったため、目標の前で依頼であることを言ってしまったこと。
コ「うーん...目標の前で言っちゃったのは、タイトが悪いかなー?」
リ「へへっ、ばーかばーか!」
低レベルの罵倒でタイトを揶揄うリューソー。即座にリューソーの方を向いて拳を構えるタイト。
リ「まぁ、気持ちはわかるがな」
コ「移り身速すぎる」
パ「つまり、依頼主は説得しても無駄だと思ってたってことなんかな?」
タ「いやぁー、どうだろうね?ほんとにあの人何考えてるかわかんないからさ」
シ「敵を騙すなら味方からとは言うし、なんか別の案があったのかもね?」
タ「でもまぁ、口滑らせたのが1番ダメだったなー。
今後気をつけないと」
コ「人間関係の依頼だと特に気を張らないとだめだよ?」
タ「御意」
タイトの反省会はこれで一旦終了した。
リ「で、それで終わりじゃねーんだろ?」
タ「うん!明日の夜、その男の方と戦うことになった!」
パ「どうしてそうなった」
タ「依頼主がめんどくさいからもう戦って決めよって言い出して、、、俺が勝ったら村に残る、目標が勝ったら村出ていけば?みたいな?」
タ「悪態つきながら、どちゃくそにキレながら言ってたな〜」
今までの努力すらも水泡に帰すような、依頼主の提案に唖然とする他5人。
リ「依頼主それでいいのか?」
パ「完全に頭ぶっ飛んでんじゃん」
タ「ぶっ飛ばして来ました」
レ「タイト、可哀想」
シ「その後の関係とか全部放棄した、最終手段に出ちゃったか...」
コ「どう?勝てそう?」
タ「男の方はねー、気を見る感じ『ちゃんと鍛錬してきました。』みたいなやつだったな〜
魔法の練度も高いと思うし、体も鍛えてたし、何より東雲だったから空飛ぶと思うんだよねー」
シ「ほんとに?!」
タ「しかもこの前俺が発見して、シキに言った個体と同じ奴だった」
シ「うわぁー、見に行きたかったなー」
リ「こいつ、タイトが頑張ってる姿を横に観光気分で見に行きそうだな」
パ「タイトも人のことを個体とか言ってたし、大丈夫だろ。知らんけど、」
真顔でこちらに訴えかけて来るリューソーとパルス。
レ「大丈夫?勝てる?」
タ「わかんない。飛ぶヤツ相手にするの初めてだから...
でも、やるだけやってみるよ。負けたら殺されそうだし。」
シ「負けは後が怖いね」
タ「負けたら慰めてね!」
リ「任せろ!巷では、『塩着いた手で傷口を撫でるホスト』とは俺の事よ!」
コ「それ慰めきれてないと思うよ?」
タ「それされたら、体液を撒き散らしながら喚き散らす」
パ「表現の仕方よ笑」
程よく休憩し、いい頃合いとなってきたので店を出るタイト達。
タ「じゃあ、俺今から明日の準備するね。
明日は...まぁ、なんか、頑張ってくるわ」
パ「準備?」
タ「体を動かす程度だけどね、」
レ「無理しないでね」
コ「行ってこーい!」
シ「羽、1本でもいいから持って帰ってきて!」
リ「変態か」
タ「明日の夜、リューソーとシキは起きててね!」
リ「はいはい、ちゃんと起きてますよー」
シ「がんばってねー」




