第50話 飛べないから
/639年8月9日/
22:00
?「旅の人、ですよね?」
ショートカットで整えられた髪は明るさが足りせいで、色の判別がつかない。身長はタイトよりも少し低いくらいで、年齢も恐らく同じくらいだろう。病弱には見えないが、少し心配になるほどの痩せた体。
そんな少女は、目を細めて薄い笑顔を浮かべながら口を開いた。
タ「はい、、そうですが、」
タイトは若干警戒しながら、少女の問に答えた。すると少女は肩の荷が降りたかのように、途端に軽い口調で話し始めた。
?「あ〜、よかったぁ、
この村では見たことがないような気がしたから声掛けてみたけど、内心この村の人だったらどうしようか焦ってたんだよねー、」
?「私の名前は、トワ・ブライダルベール。生まれも育ちもこの村の17歳の」
タ「こちらタイト。タイト・ゼラニウム。同じく17歳。旅しながら冒険者をやっている」
お互いに簡単な自己紹介をする2人。
トワはタイトに冒険者についての、確認のような質問を行った。
ト「冒険者の人って、報酬さえ払えば私のような民間でも依頼できたよね?」
タ「そうだな、報酬にこちらが納得すれば一応、」
ト「それって、払わないでそっちが納得すれば何も無しでもいいってこと?」
タ「そういうことになるな。普通はやらないけど、、」
ト「大丈夫。ちゃんと払うつもりだから」
トワはそういうと、収納魔法から1つの布巾着を取り出した。中からはジャラ、と金属が擦れ合うような音が鳴る。
ト「銀貨10枚。これで、私のお手伝いをして欲しい」
タ「依頼ね。具体的な内容は?」
ト「ちょっと待ってね、」
タイトの質問にトワは少し考え込んだ。言葉を選んでいるのだろう、難しそうな顔をしているのがわかる。
ト「・・・えっとー、私の...好きな人が明後日、とある王国の兵士になるためにこの村を出て行くって言ってるから、行かないように説得に協力して欲しいの。」
タ(うわぁー、男女間の痴情のもつれかー。
俺にできるかなー?)
男女間の問題はすれ違いや勘違いが多く、最悪の場合、依頼主とその相手の双方から煙たがられることがあると聞くので、依頼的にはあまり受けたくはないタイト。
タ「・・・行って欲しくないっていう認識でいいんだよね?」
ト「...そうだね。まぁ、そこら辺は明日にでも詳しく説明しよう。今夜はもう遅いからね」
タ(そういや、夜中だったな今。)
ト「明日の朝、10時30分にもう一回、ここに来てくれる?」
タ「朝の10時30分ね。わかった」
ト「それじゃまた明日よろしくね」
タ「わかった」
明日会う時間を決めて、別れの挨拶を済ませたタイトは宿の方向へと歩き出した。トワは夜に浸っていたいのか、その場から立ち去らずに丘の上から月を眺めていた。
タ(俺のお散歩伝説が終わってしまった!
まだまだ歩くつもりだったのに、!)
タイトは宿を通り過ぎて村の中心に行こうかと迷ったが、結局そのまま宿へと帰った。
2人を起こさないように、慎重な足取りで1歩を踏み出した。
しかし、人は愚かなものです。
タ(なんか楽しくなってきた)
タイトはこの緊張感に浸りたかったのか、2人を起こさないかつ、ギリギリを攻めるかのように、静かにくるくると回りながら、華麗な足取りと手振りを交えた謎の動作を挟みつつ、布団へ倒れ込んでタイトはそのまま寝た。
/639年8月10日/
8:30
朝が来た。窓から差し込む太陽の眩しさにタイトが目を覚ます。タイトは目を擦りながらおもむろに上体を起こした。
リ「おはようタイト!」
シ「あ、起きた?おはよう」
タ「あぁ、おはよぉ」
リ「なぁタイト」
タ「んー?」
リ「昨日の夜、どっかから帰ってきた時の謎の動きはなんだったんだ?」
リューソーの言葉にタイトの脳みそは急速に覚醒し、目を擦る手が止めざるを得なかった。
タ(見られてた、てか起きてたんかい、)
タ(・・・よし!リューソーの勘違いで押し切ろう!)
タイトがリューソーの対処に脳みその10割を使い、策を編み出した。
さぁ、タイトが小さく息を吸い込んで言葉を紡ごうとしたその時、先にシキの口が開いた。
シ「あ、それ僕も気になってたんだー」
ここで2人目の目撃証言。
タ(おわた\(^ω^)/
なんで、2人とも夜中なのに起きてんだよ、!
やめろ!そんな好奇の目で、俺を見るんじゃあないッ!)
タイトは今、将棋で言うところの『王手』に嵌ってしまっているのだ!
タ「じ...」
リ「じ?」
タ「自爆するしかねェ...」
こうして、宿の1部屋が粉砕玉砕大喝采し、3人は粉微塵となってお空に浮かぶお星様になりました。
シ「まぁ、これはタイトのことだからあまり触れてあげないようにするとして、昨日の夜はどこか行ってたの?」
タ「俺の謎行動の処理が雑で涙」
リ「ちなみに、『夢遊病のタイトが窓から落ちて死亡』が俺らの知恵を絞った結論な」
タ「本当にその結論で納得しているのならば、私はあなた達との関係性を見直す必要があります。」
あまりに酷い結論にタイトは思わず敬語が出てきてしまっていた。
タ「昨日はただ眠れなかったから、散歩に行ってただけだよ」
リ「ほんとかなぁ?」
タ「ぶち転がすぞ」
リ「転がすだけで留めてくれるのね」
タ「あー、それで散歩の途中でちょっと依頼受けたんだよね」
シ「あら、どんな依頼?」
タ「それが〜〜」
タイト、昨晩の経緯説明中↺
リ「戦闘系じゃないのか」
タ「内容的にも複数よりも1人のがいいかなーとは思ってる」
シ「まぁー、そうだろうね。
大勢で説得されてもね、相手も困るだけだろうし」
リ「てか、本人が兵士になりたいってんなら、止めない方がいいと思うけどな。
やりたい事を無理してやめさせるのはちょっとなー」
シ「そこはもう、受けちゃったんだし仕方ないよ。
依頼主の言う通りに働かないと、」
タ「うわぁー、なんか気が引けるなぁ」
今になって後悔しているタイト。
シ「これも経験だと思って、必要であれば後始末はこっちで何とかするから」
リ「そうそう、ちゃんと慰めてやっから」
タ「あれ?失敗すること前提だぞ?こいつら」
リ「自分の恋愛すらまともに出来んやつが、人の恋愛なんてどうこうできるわけないだろ!いい加減にしろ!!!」
シ「タイトはこれを機に、人間の恋愛というものを学びたまえ」
タ「今日の俺に対する風当たり強いな」
タイトの心の体力がゼロになったところで、3人は宿を出て朝ごはんを食べに行った。
ロ「ほーん、それにタイト1人で行くとね。
ほんじゃ、がんばってこいよー」
コ「頑張ってねタイト!期待はしてないから!」
パ「恋愛アドバイザー・タイト、か。
依頼したやつ、今度はいい事あるからな。安心しろよ」
タ「疫病神扱い?」
レ「タ、タイト...その、、、頑張って、ね?」
ご飯屋に入ると、中にレイ達が既に座っていた。今後の予定の話になり、タイトの受けた依頼について説明したところ、誰もが失敗するだろうなという反応を示した。
レイまでも苦笑いでタイトを送り出す始末。
タ「俺が何をしたって言うんだ」
リ「何もしてないからだぞ」
10:30頃
約束通りの時間にタイトは丘に到着した。トワはタイトよりも先に到着しており、橙色の髪を風に靡かせながら、丘の上から既に太陽が通り過ぎた後の空を琥珀色の瞳で見上げていた。
タ「すまない、待たせた」
ト「・・・時間通りね」
トワはタイトの方を振り向くことなく応えた。
ト「それじゃあ、着いてきて」
トワはそう言うと、村の中心とは逆の方向に向かって歩き出した。タイトは何も言わずにトワについていく。
トワは歩きながらタイトに依頼内容の詳細を話した。
ト「今回、君には私と仲良さそうな感じを演じて欲しいんだよね」
タ「え?、相手に、その...振り向いて?欲しいんだよね?俺らが仲良さそうにしていいの?」
ト「彼は私とこの村でずっと一緒に育ってきた、この村で唯一同い年の男の子。多分、彼も私の事を好いている...と思うから、その嫉妬心を煽るってのが目的」
タ「そんなんで嫉妬するのかな?」
ト「するでしょ。・・・君、人を好きになったことないの?」
タ「無いなぁ〜、そもそも人を好きってのが分からない」
トワが驚いた表情でタイトの方を振り向く。
ト「依頼する人、間違えたかな」
タ「ぴえん」
早速、依頼したことを後悔されてしまったタイト。頑張れ!まだまだここから巻き返せるぞ!
ト「君はさ、なんで旅なんかしてるの?」
トワが急にそんなことを聞いてきた。
タ「なんで、かぁ。そうだな。叶えたい夢があるからかな?」
ト「夢?」
タ「俺、この世界にいる魔王を倒すために、この旅を始めたんだ。」
ト「魔王を、か。そりゃまた大きな夢だ」
何か少し言われるかと思ったが、思いの外すんなりと受け入れてくれた様子。
タ「トワ...さんには何か、夢とかあるの?」
ト「呼び捨てでいい。
夢...前はあったよ」
タ「前?」
ト「この世界の隅から隅までを踏破するっていう夢」
タ「?、全然叶えれそうな夢だけど、なんで諦めたの?」
今は場所にもよるが、馬車が行き来している所も多いし、時間こそかかるものの、この世界を廻るなどできなくはない話だ。
トワはそんなタイトの言葉にどこか寂しそうに答えた。
ト「...ほら、移動にもさかなりのお金がかかるしさ、私は戦えないから冒険者になって君みたいにお金を稼ぐこともできないから。
しかも地上の道は盗賊とかそういうのも多いって聞くし、それを考えたら現実的に無理かなーって思って」
タ「それもそっか」
実際、先日襲撃にあったため、何も言えないタイト。
それから、歩き始めて5分程で2階建ての1軒家の前へとついた。
タ「家?」
ト「あたしンち」
タ「2頭身?」
ト「冗談、ここが私の家。これから彼が来ると思うから、さっき言ったように仲いいフリをしてね?」
タ「分かりやした、」
彼女の命令通りに動くように釘を刺されたタイトは、彼女の家へと入って行った。
中はかなり広く、1人で住むには十分すぎるほどの広さであった。
タ「ここに1人で住んでるの?」
ト「まさか。今はたまたま両親が仕事の都合で家を空けてるだけ」
そう言われてみると、椅子や食器の数やら居間の机とは別にもう1つの低めの机があったりと、1人で住むには家具が多すぎる。
ト「飲み物はお茶でいい?」
タ「そんな、別に気にしなくてもいいのに」
ト「一応私が依頼したことだしね。」
トワは高めの机の方に、氷を何個か入れたお茶を置いた。
タ「それじゃ、遠慮なくいただきます」
タイトは椅子に座って、出されたお茶を飲み始めた。
ト「ねぇ、あなたは空を飛ぶってどう思う?」
トワは突拍子もなく、タイトに質問した。
タ「空?」
ト「・・・彼がさ、東雲だから空飛べるんだよね」
今回の目標である彼には翼があるということか。
タ(昨日の人だったりして)
タ「そうだな...憧れ、に近い感情かなー?俺自身が飛べないからね。
この、誰のものでもない大空を飛んで、風を全身で感じたり、この世界を高いところから見下ろして見たりしたいなー、と思うなー。自由落下を体で感じたい」
ト「・・・飛べないから、ね。」
トワは伏せられた写真立てを、伏せた状態のまま眺めながら言った。そして、タイトの方を振り向いて、
ト「私も、この空を自由に飛んで風を感じたり、この世界を見下ろしたりしてみたい」
ピンポーン
トワが言い終わると同時に、家の呼び鈴が部屋に鳴り響いた。
ト「来た。多分、彼」
タ「俺も一緒に出た方がいい?」
ト「ううん、それはいい。1度彼を家の中に入れるから、あなたはそこに座ってて」
タ「わかった」
トワはその人を迎え入れる為に、玄関の方へと歩いて行った。
玄関の方で何やら話しているのが聞こえる。が、タイトはそんなことよりも、これからの自分の立ち回り方について悩んでいた。
タ(どうしよう。どんな感じでいけばいいのかな?
博識系?オラオラ系?どっちもわかんねぇや。
もういいや、自然体でいよう。なんとかなれー!)
そんなことを考えている内にトワが居間へと戻ってきた。
ト「紹介するね、彼が今言った私の彼氏」
タ(あれ?そんな話だったっけ?)
トワに続いて姿を現した彼。
その姿は先程タイトが冗談半分で予想していた、昨日の翼を持つ少年だった。あの大きな翼は背中に収まるよう、器用に畳まれている。
タ「タイト、、ゼラニウム、です」
?「...!、君は!」
相手も動揺している様子。
ト「何?2人とも知り合い?」
タ「いや、、、昨日ちょっと、会ったって言うか、通り過ぎて行く時に見た人っていうか。
飛んでたから、ちょっと印象に残ってただけ」
ト「そう、」
?「ラルム・ムスカリです。よろしくお願いします」
タ「こちらこそ、よろしくお願いします」
ト「ラルムも座って待ってて」
トワはラルムに座るように促し、自分は台所の方へと向かった。ラルムはトワの催促通りタイトと対面になるように椅子に腰掛けた。
タ(き、気まずい。なんて話せばいいんだ?)
初対面、しかもトワの幼馴染に彼氏と紹介された手前、どんな対応を取ればいいのか皆目検討もつかないタイト。
ラ「君達は...どこで出会ったの?」
ラルムが沈黙の中を食い破るように、タイトの方をじっと見ながら質問してきた。その表情はトワを思ってなのか、どこか心配そうな困ったと様な表情をしていた。
タ「え、、えと、」
ト「昨日の夜中に、私がそこら辺を歩いているところを魔獣に襲われて、その時に彼が助けてくれたの」
そういう設定らしい。トワはラルムの前に温かそうなお茶を置きながら答え、そのままタイトの横の椅子に座った。
タ「助けました」
ゆっくりとタイトの方を凝視し、また目の前のラルムへと視線を戻すトワ。
ラ「そう...なんだ、、あちっ、」
ラルムは目の前のお茶をゆっくりと口に運び、喉を潤した。
ト「そう、それで私が彼に一目惚れして、今に至る。って感じ」
タ「至りました」
再びタイトを凝視するトワ。
ラ「君は、強いんだね...俺と違って、誰かを守れるくらいに。」
タ「そ、!んなことは、、/ト「そうなの。
だから、貴方はもう居なくて大丈夫。オニキス王国でもどこにでも行って兵士にでもなれば?」
タ(危ない。つい本音を言いそうになった。トワの設定を守らないと。)
つい本音がまろび出そうになってしまったタイトは、もう一度依頼内容を思い出して己に命令を課していた。
ラ「どこまで、話したの?」
タイトはラルムの言葉の返答が分からないでいる。きっと、ラルムとトワにしかわからない事だろう。
案の定、トワが口を開いた。
ト「まだ何も。でも、これから話していくつもり、」
ラ「そう、」
一言だけ、俯きながら言葉をこぼすラルム。
タ「これからは俺がトワを守るから、君は心配しなくても大丈夫」
タ(これ、男の人にはめちゃくちゃ刺さりそうな気がする。知らんけど)
タイト的には、これが男の人の嫉妬を煽るには有効だと考えたらしい。間違ってはいないだろう。人にはよるが。
実際、その言葉にラルムは俯いた視線をタイトに移す程には動揺を見せた。
ラ[ダメだ...俺が、!俺がトワを守るんだ!]
的な小説のような展開を予想したタイト。
だが、次の瞬間ラルムは何かを思い出したかのような表情をしたと思えば、ゆっくりと目を閉じて深呼吸をしだした。
そして、次に目を開けた時には、先程の動揺や心配そうな表情は無く、真剣な表情で真っ直ぐにタイトを見つめていた。
ラ「君は...龍と戦ってトワを守りきることができる?」
真剣な表情からは想像もつかないような、絵空事みたいなことを言い出したラルム。当然、タイトもあまつさえ、トワですらなんのことかわかっていない様子。
タ「龍...?一体、なんの話?」
タイトの言葉にハッ、としたラルムは視線を机に落としながら、
ラ「いや...なんでもない。・・・忘れてくれ」
そう言って、ラルムは黙ってしまった。
何を言い出せばいいのか分からないような沈黙が、この空間を漂う。
ラルムは急に、出されたお茶に手を伸ばして残りを全て飲み干した。そして空になった湯呑みを静かに置いたあと、椅子から立ち上がり、
ラ「タイトさん、どうかトワをよろしくお願いします。」
そう言って、ラルムは深く頭を下げた。
タ「え、、え、?」
思った展開と違い動揺を隠せないタイト。トワは横でラルムを引き止めるでも、焦っている様子もなく、目を閉じたまま、だんまりとしている。
ラ「トワ、どうか...お幸せに」
無理に笑ったような顔で、心にも無さそうな祝福の言葉を口にするラルム。ゆっくりと玄関へと歩き出したラルムを
タ「ま、待って!」
と、必死に引き止めるタイト。このタイトの行動にラルムは、予想外といった表情でタイトと、トワを見つめた。
タ「どうして、何も言わないでいるの?彼を、引き止めたいんじゃなかったの?
彼と一緒に居たいんじゃなかったの?」
タイトは目の前にラルムが、依頼の目標がいるにも関わらず、先程から何も喋らないでいるトワに問いかけた。
それでも、何も言わずに目を開けずにいるトワよりも先に、言葉をこぼした人物がいた。
ラ「どういう...こと、?」
タ「あ、、、
それ、は」
タイトが説明に困っているところで、ようやく目を開けたトワが渋々といった感じで口を開いた。
ト「私が、冒険者である彼に依頼したの。
ラルム、あなたをこの村に引き止めるように説得に協力してってね」
タイトのせいで隠すのは無駄だと判断したのか、トワは全てをラルムに打ち明けた。
それを告げられたラルムは嬉しそうにした。訳でも泣きそうになった訳でもなく、
ラ「なんで、、、?!」
ラ「君は...!どう、したいんだよ...?
俺は、、君が!・・・わからない」
胸を締め付けられているかのような声で、心の底から苦しそうな表情で、頭を両手で抱えながらラルムは言った。
ト「はぁぁ、」
大きくため息をついたトワは、息を吐くと同時に目を閉じた。そして、ため息が止み、閉ざした目を開けたトワは無言でタイトを睨みつけた。
ト「めんどくさ、、、もういいや。
ねぇラルム、明日の夜空いてる?」
ラ「な...なんで、?」
ト「もう簡単で行こう。私は戦えないからラルムとこれが戦って、ラルムが勝ったらラルムは村を出て行く。これが勝ったらこの村に残る。
それでいこう」
淡々と告げるトワ。
タ「ちょ、ちょっと、!はなしが/ト「黙って」
暴走するトワを止めようとするタイトの言葉を遮って、ラルムに近寄っていくトワ。
ト「で、?明日の夜は、大丈夫なの?」
ラ「・・・11時以降、なら」
ト「わかった。じゃあその時間にあの丘に来て。あんたもね」
タ「・・・」
ト「返事は?」
タ「・・・はい」
タイトも来るよう有無を言わせずに強引に命令口調で指示するトワ。元々、タイトが依頼内容を滑らせたこともあり、罪悪感から断れずにいた。
ラ「どうして...君は、こんなことする人じゃなかっただろう...?」
ト「一体、誰のせいだと思ってるの?」
ラ「それは、、、!」
何か言おうとしたが何も言い返す言葉が見つからなかったラルムは、諦めたように下を向いた。
ト「はい、それじゃもうラルムは帰っていいよ。
明日は、絶っ対に、来てね」
明日の夜は来るよう念を押したトワはその後、ラルムを押し出すように家から追い出した。
ラルムが家を出た後、トワはすぐに怒り心頭といった様子でタイトに詰め寄った。
ト「ねぇ、なんで依頼内容を言ったりしたの?ねぇ、意味わかんないんだけど、」
タ「だ、だって」
ト「言い訳すんな。
あぁもう、あのままで良かったのに、余計なことを」
タ「・・・」
ト「いい?明日は、彼と戦う、で、勝つ。これなら簡単で分かるよね?」
タ「はい、」
ト「明日、絶対に来いよ?わかったんならさっさと出ていって」
トワに言われて、逃げ遂せるように家を出たタイト。重い足取りで村の外方面へと歩くタイト。
タ(もう...逃げたい)
炎天下の日差しの痛みを胸に受けながらタイトは、ゆくあてもなく足を進み続けた。




