第48話 仮面を付けた謎の人物、意味深なこと言いがち
/639年8月6日/
タ「地図見た感じだと次の村までは、大体4日くらいで着くかな?」
コ「うん!合ってる合ってる」
ロ「よーし、お前らー、気合い入れてけよー」
リ「任せろ!襲ってきた奴ら全員返り討ちにしてやる!」
パ「それが彼の、最後の言葉でした」
リ「勝手に変な語りを入れるな!」
さぁて、村を出発したタイト達。相も変わらず全員元気いっぱいですね。
シ「そういえば、この前襲われた時に助けに入ったあの仮面の人、一体何者なんだろうね?」
歩きながらシキはふと、襲撃時にタイト達の助けに入った仮面の人物のことを思い出した。
リ「そいやおったなー」
パ「あいつ一人で敵全員を蹴散らしてたよな〜」
タ「強いとは思ってたけど、そこまでとは、、、」
コ「名前も素顔も明かさずに颯爽と現れて敵を追い払い、何も求めずに去る・・・
ほんとに何が目的なんだろう?」
助けるだけ助けて、いつの間にか消え去っていた仮面の人物に疑問が多く残る。
レ「一応、仮面の下を私の神技で見ようとしたんだけど、特殊な仮面なのか、神技が阻害されて見ることができなかった。」
シ「あの人、僕たちの強さをある程度把握してるような感じだったんだよねー」
パ「へー、そうだったのか?」
シ「[本気でやらないと、君の周りが死ぬことになる]って、すれ違いざまに言われたんだよね」
シキはあの日のことを思い出しながら答えた。みんなはそれに対し、シキの思った通りの反応は得られなかった。
リ「そんなん言われたのか」
コ「私も初耳」
シ「あれ?僕だけなの?」
タ「みたいだね。
ちなみに俺は話しかけたけど無視された」
パ「元気出せよ」
タ「泣いてなんか、、ないよ、、」
思いっきり無視された記憶を鮮明に蘇らせてしまい、思い出し泣きをしそうになるタイト。
ロ「あれだろ、あの組織を追ってるとかそんな感じのやつなんだろきっと、」
コ「それだったら、助けてくれたことにも納得は行くね」
シ「それしかないよね。」
疑問は残るも、現時点ではローネの言った通りにしか思えず、皆それで納得した。
・・・
・・
・
真夏の炎天下の中、人の往来の全くない野原をタイトを先頭に歩き続ける一行。
太陽が真上に登ったことを確認したタイトは休憩を挟もうと、一度止まった。
タ「そろそろ昼時だから、一旦休憩しようかってどうしたのみんな」
タイトが振り返ると、みんな息が上がって今にも倒れそうな程疲れてる様子。
タ「みんなどうしたの?そんなに疲れて」
パ「どうしたの?は、こっちの台詞だ」
リ「なんでお前は余裕そうなんだよ」
タ「俺も少しは疲れてるけどね?」
コ「少しで済んでるのがおかしいんだけど?」
リ「この暑さはどこ行ったんだよ?」
タ「そういや、そんなに暑くないな?変だな?夏なのに」
リ「変なのはお前だよ!!」
リューソーがやや食い気味につっこむ。
レ「さすがに、、暑い、、」
シ「日陰がないからね。、」
ロ「・・・昼飯食ったら私、魔王城で涼んで来るから。着いたら教えてや」
パ「今度は、、、行かせねぇよ」
ローネの横にピッタリと張り付いて逃げないようにするパルス。
ロ「冗談、、、冗談だから離れてくれ、、暑い」
パ「ほんそれ」
暑さには勝てなかったようで、パルスは速攻で離れた。
タ「魔法で冷気出そうか?」
ロ「もしもの時に魔力切れにならないと、命をかけれるならいいぜ?」
タ「・・・」
タイトの提案にローネが厳しめの苦言を呈する。ローネの言葉にタイトはしばらく考え込み、
タ「・・・休憩の時だけ。それもほんとに少しの間だけだから、」
ロ「そこんとこはご自由にどぞー」
昼休憩の前に一旦、魔法で冷気を出して周りの気温を下げて涼むことにした。
リ「あー、だいぶ楽になったわー」
パ「でもやっぱり、日差しがきちいなこれ」
コ「光から来る熱はどうにもならないからねー」
シ「タイト大丈夫?魔力が少なくなったら交代するけど?」
タ「ううん、大丈夫。俺、魔力量だけは結構多いみたいだから」
シ「それは知ってる。まぁ、でも無理はしないでね」
レ「タイト、私も変わるからね?」
タ「うん、!」
その後、十分に涼んだ後、タイトはレイと冷房役を交代して昼食の準備に取りかかった。
タ「暑いし面倒だな...
流しそうめんでもやってみるか」
シ「何それ?流しそうめん?」
タ「ありゃ?知らない?」
コ「そうめんはわかるんだけどね、、」
パ「私も初めて聞いたな」
パルス、シキ、コクウ、意外と流しそうめんを知らない人が多い様子。そんな中、普段そうでも無いが、今回に限り、頼もしい人物が大きな声を上げた。
リ「俺は知ってるぞー!
竹に水と一緒にそうめんを流して、流れてくるそうめんを掬って食べるやつだ!」
((先頭が圧倒的に有利のやつな))
ロ「私もわかるぞー、
魔王城でこの時期になるとよくやってたぜー」
レ「意外、でも楽しそう」
シ「???」
タ「やってみたら分かるよ」
早速やってみようと、まずはそうめんを流す部分の準備から始めた。
タ「・・・分厚い氷でいいか、」
リ「それだと冷たいし流れやすいしでいいな!」
レ「溶けないようにだけ気をつけないとね」
ロ「...魔力...」
次にササーっと麺を茹で、全員のお椀に麺つゆを注いで、配置に着かせて準備完了!
((ちなみに配置はこう↓))
ロ レ シ
たーーーーーーーーーーーーーーーーけ(氷)タイト
リ コ パ
タ「ほんじゃ、第1投目、行きまーす!」
パ「よく分からんが、ばっちこーい!」
リ「しゃあ!みんなで平等に分け合いながら楽しく食べてやる!」
コ「勢いと台詞が合ってない」
ロ「フッフッフ、『魔族 流しそうめん決勝』で優勝した私の実力、とくと見るがいい」
レ「あなた達普段ほんとに何やってるの?」
タイトがそうめんを1掬いして、水魔法に乗せて竹の上に乗せて流した。
流れるそうめんを取るべく、そうめん目掛けて箸を伸ばす。
パ ガッ、(氷を突き刺す音)
シ ガッ、(氷を突き刺す音)
コ ガッ、(氷を突き刺す音)
レ サッ、
前の3人が上手くそうめんを掴めず、哀愁漂う氷を突き刺す音を横目に、何も気にせず鮮やかにそうめんを掴み取るレイ。
リ「あひゃひゃひゃ!目ぇ開いてっかー?」
ロ「へったくそだなお前らー!」
レ「・・・うん、ひんやりしてておいしい」
パ「・・・」
本当に取る気があるのかと言いたげな表情で、3人を煽り散らかす2人。
パ「食べ物で遊ぶなよ!!」
リ「パルスがキレた!」
シ「発想は、悪くないんだけどね、」
コ「氷に突き刺さった瞬間、そのまま破壊しようかと思った。」
タ「一投だけで終わる流しそうめんとか、嫌すぎる」
その後は後方3人組が、初心者3人が逃したそうめんだけをちょうどいい塩梅で譲りながら食べつつ、初心者3人もお互いに譲り合いながら食べた。
パ「お、おぉ!取れたぞー!」
シ「・・・ッ!やっと取れた、!」
コ「ん〜!やったー!」
途中、タイトとシキが交代して全員が堪能したところで、本日の流しそうめんは終了した。
流し台を魔法で溶かし、片付けをした後に再度出発したタイト達。先頭は変わらずタイト。
シ「そうめんを流すと聞いた時は、何を言っているんだと思ったけど、結構楽しかったね」
リ「だろ?これに今日はなかったけど、色つきのそうめんとか持ってくると、さらに面白いぜ!」
パ「当たり付き的な?」
リ「的な的な」
コ「そうめんも冷たくておいしかったね」
レ「ねー」
ロ「流し台を氷で作るのは、いい発想だった。今度魔王城の時にでも使わせてもらおう」
タ「欠点は、魔法が使える奴じゃないと流し役ができないところだな」
ロ「安心せい、魔族には魔法を使えん、なかなかに致命的なヤツはいないからな」
ローネはとある2人を見つめながら答えた。そういう時ばかり、しっかり聞いていた2人はローネの方を振り返った。
致命的な奴1号「え?今俺ら罵倒された?」
致命的な奴2号「これは許せませんなぁ」
コ「まぁでも、ローネの言う事は事実ではあるからね?」
2号「私はギリ使えるから!」
1号「おいおい、俺と一緒に1号2号の称号を背負おうぜ〜」
2号「い、嫌だ!既に名前のところが2号に置き換わってしまっているけど、嫌だ!!!」
そんな事を話していると、前方から出発後初めての人間が歩いてきた。そいつはタイト達が襲われた時に助けに来てくれたあいつと同じような仮面を被っていた。
背格好からして20代くらいの男性だろう。髪の毛は黒色で動きやすそうな格好をしているが、剣は収納魔法だろうか、腰には携えていなかった。
タ「あれってこの前の人?」
シ「いや、髪色も背格好も違うっぽいし、別人だと思う。」
コ「あのお面、最近流行ってんのかな?」
レ「・・・またお面の中が見えない」
リ「なぁーんかこっち見られてるような気がするんだけど、気のせいかな?」
パ「・・・気のせいじゃね?」
近付くにつれてこちらも無言になっていき、すれ違う時には誰も何も喋らず、無言ですれ違って男は去って行った。
タ(この人強そう)
タイトは無意識のうちに相手の魔力量や技量などを見た。魔法や闘心の練度や筋肉の付き方、堂々とした立ち振る舞い、気の纏い方や抑え方等、ジョーカーとまでは行かないが、それでもかなり上位の強さであるだろうとタイトは判断した。
タイトはふと、自分含めて皆黙ってしまっていたことに気づいた。
タ「なんか黙っちゃ
とタイトがみんなの方を振り返りながら言いかけたその時。
みんなの遥か後方、仮面の男から、金縛りにあったかのように重く、水の底にいるかのような冷たく、憎しみを感じる刺すような急激で強大で驚異的で暴力的で、辺りを飲み込んでしまうような圧倒的な殺意に、タイトの体は止まってしまった。
奴はこちらに背を向けて歩いている。それなのに、なぜかこちらを見ているかのような、えも言えぬ恐怖、依然歩き続けている異質さに五感の全てが奪われる。そして、五感の全てが訴えかけていた。
隙を見せたら...死ぬ、と、
タ(動け、ない。やばい!なんかやばい!)
タ「は、!は、!は、!」
タイトは詰まった息を浅い呼吸で何とか紡ぎながら、震えて制御がきかない右手をゆっくりと腰の刀に伸ばして臨戦態勢をとった。
タ(怖がるな、動け、動け!俺の体!)
刀を抜き取ろうとしたその時、
リ「ん?タイト?どしたー?」
タ「え?」
リューソーのなんともないかのような、いつも通りの反応にタイトの臨戦態勢は解けてしまう。
先程の押しつぶされてしまうような殺意もまるで最初からなかったかのように消え去ってしまった。
シ「なんか、嫌な気配でも感じ取った?!」
シキの一言に全員が戦闘態勢に入り、探知したり周りを見渡したりし始めた。
コ「あいつ?!あの男?!」
タ「い、いや、!違う!」
タ「えっと、もう大丈夫。多分気のせいってか考えすぎだった。と、思う。」
シ「そう、なら良かった」
コ「もう、驚かせないでよ〜」
タ「ご、ごめんごめん、」
パ「まぁ、何も無くてよかったな」
レ「警戒するに越したことはない」
タイトの言葉にそれぞれ戦闘態勢を解除して、いつも通りの雰囲気へと戻って行った。
タ(みんなは気づいてない。
俺だけ?俺だけを抜擢して狙った殺意?なんのために?)
タイトは男が見えなくなるまで警戒をとかなかったが、最後まで襲ってくることはなかった。
その後もタイトはしきりに後ろが気になって、ことある事に振り返っては確認したが、男の姿を見ることは無かった。




