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今、生きているあなたへ  作者: ひびき
旅の始まりかも〜編
50/92

第47話 もう大丈夫!なぜって?私たちが来たァ!

/639年8月5日/

17:30


 少女からの依頼を受けたタイトは歩きながらお婆さんのことを考えていた。


タ(誰も知らない婆さん。一体何者なんだ、さほど大きくは無い村中を回って色んな人に聞いたのに、誰も知らないなんて。)


 そして、お婆さんから今日のことを一通り思い出したタイトは事の重大さに気づいた。


タ(ちょっと待て!片っ端から依頼受けてたら、依頼されたこと多すぎて今日中に終われる気がしない!)


 空が橙色に染まり、既に日が傾きかけてる。頼まれた依頼は4つ。


タ(まずは早いうちにじじいに薬渡して、魔獣を倒しに行って、花を取って店に行って、最後に案山子を畑に、それからお婆さん。

圧倒的に時間が足りない!)


 依頼の一つ一つは、さほど時間は掛からないだろうが、場所が離れていることもあり、今日中に完了できるのかとタイトは不安になる。

 それに加えてお婆さんを探すことと、お婆さんの依頼がタイトの頭を悩ませる。


タ(『世界(ザ・ワールド)』ッ! 時よ止まれ!)


タ「・・・できるわけねーよな」

シ「どうしたのタイト?そんな時間を止めたそうな顔をして」

タ「どんな顔なんだ一体?」

コ「なんかあったのー?」

タ「うーん、実は・・・」


 タイト、事情説明中、、、


コ「あらぁー、なーにやってんのー?」

シ「急がないとね。

僕たちが手伝えそうな依頼ある?手伝うよ」

タ「悪いよぉ。せっかく2人で居たのに、、」

コ「遠慮しないでいいんだよ〜!私たち、()()でしょ?」


 先日の言葉が相当嬉しかったのだろう。コクウは嬉しそうな、タイトを少し茶化すような笑顔を向けた。


タ「〜っ!じゃあお願いしちゃおうかな〜!」

シ「任せて!」


 他は2人も必要なさそうなものばっかりだったので、2人には魔獣の討伐をお願いした。


タ「よし!あと3つ!...3つかぁ〜。

間に合う、のか?」


 ギリ希望が見えそうで隠れそうなタイトの目の前にパルスが<瞬間移動>で現れた。


パ「お、タイトじゃーん!そんな勉強中の私みたいな顔してどしたん?話聞こか?」

タ「カクカクシカジカ」

パ「それはタイトが悪いな。」

タ「あはは、耳が痛い」

パ「変態から逃げるついでになんか手伝うぜ。」

タ「変態?」

パ「村の外で倒れてる男を助けたら、急に求婚されて絶賛逃げてる途中でございます」

タ「お互い大変だぁ」


 パルスには雑貨屋の依頼を頼んだ。


パ「ほいじゃ、ちょっくら言ってきヤース」

<瞬間移動>


タ「相変わらず便利な神技やな〜」

?「くっ、!1歩遅かったか!」


 声のするほうを振り向くと、息が絶え絶えの20代くらいの男が居た。


変態「だが!諦めん!必ず捕まえてみせる!」


 タイトは一瞬の間を使い、気づいた。


タ(あ、こいつがパルスの言ってた変態か)


 男は周りをキョロキョロ見渡すとやがて、方位磁針のように一方向を見据えて、


変態「こっちか!僕の<追跡者>からは逃がさないよ可愛こちゃぁぁぁん」


 神経をゾワゾワと逆撫でするような不快な言葉にタイトは思わず、


タ「き、きも!、」

 と、声を漏らした。男は一瞬タイトを睨んだが、すぐにパルスのいるであろう方向を見て走り出して行った。


タ「変態と変態がかち合って、どうにかなりますよーに」


 タイトは静かに自分の安静と2人の幸せを9対1の割合で願った。


タ「さて、!あと2つ!」

リ「お!タイト!どうした?

そんな、お婆さんの話を聞き逃してもう1回聞こうと探すうちにタライ回しにされて、さらに依頼も重なって今にも崩れ落ちそう、みたいな顔して」

タ「解像度高杉だし、今はそんな顔してなかっただろ!?」

ロ「案山子は任せろ!」

タ「当然のように依頼を言い当てるなよ」


 特訓が終わった2人がタイトの目の前に現れ、そのまま依頼を1つ持って行ってくれた。


タ「なんか爆速で依頼が無くなった」

タ(じじいのとこに行こーっと)


 タイトが医者に渡された地図を頼りにじじいの元へと向かう。


レ「あ、タイト」

タ「レイ、!」


 タイトが歩いていると対抗側からレイが歩いてきた。レイはそのままタイトの進行方向に向きを変え、歩きだした。


レ「どこに行くの?」

タ「実はしかのこのこのこ」

レ「ふーん、じゃあ今は薬を届けるだけになったんだね」

タ「本当にみんなのおかげだよ〜!1人だったら多分2つくらい飛んでたね」


 事情を説明しながら歩いていると、目的の場所へと辿り着いた。


タ「すみませーん、!毎月の薬を届けにきましたー!」


 タイトは戸を叩いた後に中の人に聞こえるようにやや大きめの声量で言った。少し時間を置いて、玄関の扉が警戒するようにゆっくりと開いた。

 中から杖をついた、足の悪そうなじじいが出てきた。じじいは出てきて早々タイトの持つ薬を凝視する。


じじい「・・・毒とか入ってないだろうな」

タ「なんで俺が見ず知らずの人を殺さなくちゃ行けないんですか?」

じじい「世の中は物騒だからな。警戒するに越したことはない」

タ「・・・確かに?」

レ「・・・」


 それはそう。ただの老害かと思いきや、現実主義のおじいさんでした。


じじい「ゴハンタに、いつも悪いなと伝えておいてくれ」

タ「わかりました!まぁ、足が悪いんじゃ仕方ないですね!」

じじい「これは杖ついとけばみんなから優しくされるから使ってるだけで、本当は使わんでもいい。

なんなら神技の<浮遊>で飛べる」

タ「よし、てめぇが自分で言いに行きやがれ。ついでに薬も来月から自分の足で取りに行きやがれ」

じじい「浮くから足は使わんな」

タ「・・・これ、俺殴ったら正当防衛になる?」

レ「私がタイトの証言者になってあげる」


 違う方向で老害、というよりムカつく野郎でした。タイトは最後に髪が七色のお婆さんについてクソジジイに聞いたが、案の定何も知らなかった。


 その後、完全に夜になってしまい、人通りも少なくなって聞き込みもできなくなったため調査を断念。

 依頼したみんながそれぞれ帰ってきてからご飯を食べに行った。


リ「あの案山子すげーぞ!全部突き刺した瞬間、間が空き空きだった畑に分身で案山子が増えて、近づいた鳥に向かってクナイとか水遁の術とか、千鳥とかやってた!」


シ「こっちは特に問題もなく、魔獣倒してきたよ」

コ「楽勝だったよ!」


パ「あの店主さん、綺麗な人だったな。お洒落で髪もくりんくりんで可愛かったー」

タ「なにそれ知らない人」

パ「まぁ、私が代わりに来たと知ってガッカリしてたがな。その後、変態が店に入ってくる気配がしたから<瞬間移動>で逃げてきたわ。

その後は知らん」


タ「みんな、今日は本当に助かりました!」

レ「どういたしまして」

リ「このレイン、別の平行世界から来た?」

パ「誰よりも速かったぞ今笑」


 タイトはみんなにお礼の言葉を告げた。


タ「明日の出発さ、10時半でもいい?一応、魔獣の方は大丈夫って報告だけしておきたくて」

シ「全然いいよ」

コ「報告は大事だからね!」

レ「急ぐ必要はないからね」


 その後は宿に戻り、タイトが寝る準備をしていたところにシキがやってきた。


シ「お婆さんは見つかった?」

タ「うっ、結局見つかりませんでした」

シ「今日色んなところ回ったのに、気づかないとかあるかなー?」

タ「そうなんだよー、視界に入ったら絶対に分かるはずなのに」


 仙人だったんだ。きっと。2人はそう思うことにし、その話は終わりにした。

 タイトは疲れていたのか、寝る前にタイトが折った紙飛行機はヨレヨレの出来上がりで、窓から放り投げたところ、すぐに風に攫われてしまいそのまま墜落してしまった。


タ(寝よ!)



/639年8月6日/

9:00


 タイトは報告だけにしては早すぎる時間に宿を出た。目的は最後にお婆さんに会う為だった。


タ(一応、謝っとかないと)


 少女とお婆さんの2人を探しながら村を歩くこと30分。先に会ったのは少女の方だった。少女はご飯屋にたった今到着したのか、自転車から降りた直後だった。

 あちらもタイトに気づくと朝一番の、眠気が吹き飛ぶような澄んだ声で挨拶をしてきた。


ア「おはよーございまーす!」

タ「おはよー

今からバイト?」

ア「はい!バイト戦士の朝は早いのです!」

タ「早、い?」


 バイト戦士は今日も元気だ。


ア「ところで、魔獣はどうなりましたか?」

タ「うん、魔獣は討伐したからもう通っても大丈夫だよ!」

ア「ほんとですか!ありがとうございます!

お礼、何も出来なくてごめんなさい!」

タ「謝らなくていいよ、それが俺たちの仕事みたいなところあるから」

ア「・・・」


 タイトの言葉に少女は何も言わずに、じっとタイトを見つめた。


タ「ど、どうしたの?顔になんかついてる?」

ア「いえ、本当に優しい人なんだなと、思いまして」

タ「はは、そう言って貰えると嬉しいよ」

ア「フフ、」


 タイトは笑いながら応え、少女は静かに笑った。


タ「じゃあ、もうすぐこの村を出発しなきゃだから、もう行くね」

ア「もう行っちゃうんですね。皆さんのおかげでバイトがいつもより楽しかったのになー」


 少女は少し寂しそうな表情を浮かべたがすぐに笑顔に戻り、タイトをその場で見送った。

 少し離れたところで、少女が今までで1番大きな声で


ア「またどこかで会いましょーねー!」

タ「いつかまた、お店に行くからねー!」


 10:00


タ(10時か、、、さすがに集合時間には遅れらんないな)


 少女と別れたタイトは、お婆さんのことは諦め、集合場所へと向かおうと顔を上げたその時、


タ「いたーー!!!」


 髪が七色のお婆さんが目の前から杖をついて歩いてきていた。タイトは急いでお婆さんに駆け寄った。


タ「お婆さん、!その、すみません!自分、依頼内容あんまり聞いてなく/老婆「ありがとうねぇ、依頼を受けてくれて、」

タ「・・・?」


 タイトの言葉を遮るように喋りだした老婆。老婆は続けて、


老婆「私の、『村で困っている人たちを助けて』という依頼をちゃんとやってくれて、」


老婆「最近、この村に活気がなくて、心配だったところに貴方たちが来てくれて、ほんとうによかった」

老婆「色々と迷惑かけたねぇ。旅のお人達に報酬を渡すこともできないのが唯一の心残りだねぇ。」


 老婆はゆっくりと言葉を言い終えると、タイトの目の前でゆっくりと消えて行った。


タ「え...」


 色々と情報量が多くて、固まってしまったタイト。情報が完結せぬまま、タイトは集合場所へと辿り着いた。集合場所には既にタイト以外が集結していた。


リ「お、これで全員揃ったな!」

パ「さぁて、何日かかるかな」

ロ「気を抜かずに頑張るぞぉー」


シ「タイト、少女には会えた?」

タ「・・・」

シ「タイト?」

レ「何かあったの?」

タ「お婆さんは常に透明状態でこの村で生きていた?」

レ&シ&コ「「え?!」」


 タイト達は盛大に勘違いをしたまま村を出発した。

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