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今、生きているあなたへ  作者: ひびき
旅の始まりかも〜編
46/92

第43話 夏が恋しくなるほどの寒さで度し難い

/739年8月2日/

13:00


岩の柱がそそり立つ山岳地帯にて


ドォォォン!!

 岩の柱の麓で今日もシキの<エクスプロージョン>が爆音を響かせる。


 爆発に巻き込まれたのは、龍のような鱗を持つアルマジロのような巨大生物、アルザン。

 岩の柱の間を縫うように歩いていたら、遠くから転がってきやがった。

 

 鱗は固いだけでなく、丸くなると鱗の表面に無数の棘が現れる。

 そして丸くなったあとは転がって突撃をかましてくる。この突撃か意外と速いのなんのって。


 しかも棘が異様なまでに固いから、そのまま近くの岩の柱を転がって登るし、そのままタイト達目掛けて降ってくるしでかなりの苦戦を強いられていた。


リ「やったか?」

パ「はいー!お前のそのフラグ発言で、やつが倒れていないことが確定しましたー!謝ってくださいー!」


 パルスは捲し立ててリューソーを責める。急に責められたリューソーは面食らったような表情をしていたが、カッ!と急に目が見開き、


リ「ゼンマイ式のおもちゃか!!」


リ「回して離したら止まらなくなるやつか!!」


リ「回してもないのに勝手に動く壊れ/パ「長い長い長い!」


 2人が言い争っているうちに爆発のよって起きた煙が薄くなり、アルゼンは徐々に姿を現した。

 丸くなったままのやつは何事も無かったかのように佇んでおり、まるで有効打を与えたようには思えない。


シ「威力を抑えたとはいえカッチカチだな!」

コ「お腹の部分は柔らかいんだろうけど、一向に見せてくれないね」

タ「どうしたものか」

レ「あ、!」


 攻略に悩む3人に、神技でアルゼンを見ていたレイが声を上げた。


レ「でも、シキの爆発で鱗にちょっとだけ亀裂が入ってる」

タ「ほんと?」

レ「うん、今横向いてて見えないけど、反対側の中心部分に亀裂が入ってる」

シ「こちらに向かってくる時に左側になる部分か。

よし、そこを重点的に狙おうか」

コ「わかった!?2人とも!」

リ「バッチリ了解だぜ!」

パ「ぜったい、わかってねぇ」


 一旦、タイト達の居場所を確かめるためか、一度体を元に戻し、タイト達の方に体を向けた次の瞬間。

 <瞬間移動>でパルスがアルゼンの目の前に移動し、剣を顔に突き刺した。


ミィィィ!!!


 痛みからか大きな鳴き声をあげながら、バタバタと音を立ててのたうち回るアルゼン。

 再び<瞬間移動>を使い、タイト達の元へと戻ったパルス。


パ「おー、暴れてんなー」

シ「ちょ、え、えぇ、」

リ「おいーー!

あいつの鱗に亀裂が入ってるから、今からそこを重点的に狙うって話してただろうが!何普通に不意打ちかましてんだよ!?」

パ「...?何の話だ?」

リ「お前の方が聞いてないんかーい!」


 溜息をつくレイに苦笑いのコクウ、驚くことすらしなくなったタイト。


タ「ちょっと可哀想だけど、せっかくの好機だから終わらせちゃおう」


 そう言うと、タイトは土魔法でアルゼンの足元を勢いよく隆起させてアルゼンを宙に浮かせた。

 腹部が上の方を向いたアルゼンは空中で再度、丸くなろうと身を(くる)み始めた。


パ「ほら、行ってこい!」

リ「ファ!?」


 バチン、とリューソーの背中を叩いてリューソーをアルゼンの上側へと<瞬間移動>させるパルス。

 リューソーは剣を握り直し、空中で身をねじる。


リ「人使いが、荒いッ!」


ザンッ!バギィィ!

 リューソーが剣を振るうと同時に、レイがアルゼンの横に透明状態で移動し、亀裂目掛けて石の砲撃を放った。


 リューソーはアルゼンの腹部を袈裟斬り、レイの土魔法も見事に亀裂に命中。どちらも傷が深く、アルゼンは地面に激突したあと少しの間手足を力なく動かしていたが、やがて動かなくなった。


ロ「終わった?」


 戦闘終了後すぐにローネが岩の柱のてっぺんから降りてきた。


シ「終わったよ」

ロ「そか」

パ「ちょっとぐらい手伝ってくれてもいいんだぞ〜?」

ロ「お前らの介入一切なく、なんの特訓にもならないけど、それでもいいのなら」

パ「嘘です」


 パルスの冗談っぽい発言にはっきりと言うローネ。


パ「ちょ、なんか機嫌悪さげじゃね?」コソッ

リ「街でた辺りから機嫌悪そうにしてる、」コソッ

パ「なんかしたっけ?」コソッ

リ「覚えがない。記憶もない。前しか見えてない」

パ「このダチョウ脳みそめ」


 コソコソ作戦会議を開く2人。2人が寄ったところで猿程度の知恵にしかならなかったようだ。


タ「さて、食べ損ねた昼ご飯にでもしようよ、休憩も兼ねてさ」

レ「異議なし」

シ「食べれるかわかんないけど、食材が目の前にあるしね」


 最強の1票が昼飯に入ったので、目の前のアルゼンの売れそうな部分(主に鱗と爪)を剥ぎ取り、シキの収納魔法に保管。


 丸っ裸や〜状態のアルゼンは、肉が付いてそうな部位だけ小分けに切り、今食べない分は氷魔法で冷凍し、骨も一緒にタイトの収納魔法へ。


((収納魔法には温度と時間の概念が存在しないので、入れた物の温度はそのままに保たれます。熱いものを入れたら、次取り出す時は熱いままで、冷たいものも同じです。2つを同時に入れても結果は同じです。))


タ「うーん、これは食べたことないからなー、何にしようか」

コ「普通に焼くのは?」

タ「お米が欲しくなる人がいますので、まだ次の街まで距離がありますので、」

コ「なる把握」

レ「?」

シ「汁物に入れたら?」


 椅子と机を土魔法で生成しているシキから意見が飛んできた。


タ「よし、それ採用」


 タイト、即決。

 じゃがいもと肉を1口大に、玉ねぎを薄切りに切ったところで、


タ「なんか彩りが足りないなー、

・・・パルス、そこら辺に生えてる草に手を伸ばさないでくれ」

パ「なぜバレた、真後ろのはずなのに、、、!」


タ「人参と、今えげつないくらい価格が高騰してるらしいキャベツ(一玉500円)でも入れとくか」

シ「良かったね、この世界は大丈夫で」

((おかげで行きつけの定食屋のキャベツ、目に見えて分かるくらい減ってました泣))

コ「そゆ日もある」

タ「保険のウインナーも入れよ」


タ「味付けは」

リ「塩でも振りまいとけ」

タ「残念決まってましたコンソメです」

リ「今俺なんで煽られたの」

パ「日頃の行いだぞ」

タ「水2000ml、コンソメを適量、あと適当に入れて完成かな」

コ「私たちの人数と作る量の差に未だに慣れない」

リ「うちはカー○ィを飼い慣らしてるからな」


ダァァン!

 リューソーの顔横、体重を預けている岩柱に何かが着弾して大きな音と煙が立つ。


レ「つぎは、当てる」

リ「す、すみません」

パ「な、日頃の行いだろ?」


タ「できたよー」

シ「みんなー、取りにおいでー」

リ「ほら行くぞ、タイトに運ばせると、何故か高確率で躓くからな」

パ「行くぞ行くぞ」


 机と椅子に箸を並べて、全員が席に着いたところで、


全員「「いただきまーす」」


 アルゼン、いざ実食。


パ「固い、足がしない」

リ「そうかぁ?固いは固いが食えなくはないだろ?味も悪くないぞ?」

シ「うん、美味しいと思うよ」

タ「やたー!」


 褒められ、素直に喜ぶタイト。その間、黙々と食べ続けるレイ。


 その後も、談笑しながら昼食を食べ、鍋に残った汁物をレイのお椀に注ぎ分けたところで、

ガラガラ、ダンっ!

 と、目の前に大小様々な石が柱を伝って降ってきた。みんなで上を見上げると、柱の壁面部に巨大なトカゲがこちらを狙っていた。


リ「レインが、、レインがまだ、食べてる途中でしょーが!」

コ「聞いた事あるぞー?」


 速攻でトカゲを仕留め、昼食の片付けを行い、多少休憩の後、再度歩き始めたタイト達。


 ここら辺は高低差が激しく、何度か柱を登ったり降りたりを繰り返さなくてはいけなかった。


 柱の頂上にて、リューソーが足場ギリギリの場所に立ち、下を覗いて高さを確認すると同時にふざけて、


リ「おい、押すなよ?絶対に押すなよ?」


 と、お決まりのフリをし始めた。それに対応するのは我らがパルス。


パ「お約束だからな」


 そう言って、なんの躊躇いもなく<瞬間移動>でリューソーを3m程前に移動させる。<瞬間移動>直後、リューソーとパルスはしばらく無言のまま目が合う。


リ「ふむ...このフリ、二度とやらんわ」

パ「そもそもできないだろ」

シ「しれっと物理法則無視すんのやめて」


 シキのツッコミの直後、詰まっていたものが抜けたかのように落下し始めたリューソー。


コ「あ、無言のまま落ちた」

パ「全く、世話のやけるやつだ」

タ「そもそもの原因はパルスなんだけど、もう何も言うまい」

レ「・・・」


 リューソーは無事の生還を果たし、旅を再開。柱と柱間を吊り橋で渡ったり、壁に手を付きながら細い足場を移動したりした。


 またある時、上空では竜が空を飛び回っているのをリューソーが発見し、


リ「あれに目つけられたら俺ら、さすがに終わるな笑」

シ「こんな足場だと、戦いにならないからね。

来世に乞うご期待、って感じだね笑」

タ「笑い事じゃないけどね笑」

ロ「竜は賢いからな。私がいるから襲われないぞ。良かったな」

コ「良かった〜」

パ「ちょっと戦ってみたかったり」

リ「向こうの柱のてっぺんに止まってる謎の鳥を竜に見立てて戦ってろ」


 しばらく歩き、日が傾きかけてきたので柱から地上へと降りた頃合で本日の寝泊まりの準備をすることにした。


リ「今日の夜何する?トランプで大富豪する?」

パ「ITOは?」

コ「ちょっと待ってね、、、あった!」

パ「やったー」

リ「最高かよ」

タ「んじゃそれ?」

シ「やる時に説明してやろう!」

タ「わーい」


 わいのわいのと、みんなで笑いながら準備を進めるタイト達。

 太陽が完全に地平線に落ち、陽の光が届かない薄暗い時間になってきたところで、楽しそうな空気を壊すようにローネが声を上げた。


ロ「ちょっと、気ぃ抜きすぎなんじゃねーのか?」


 その手には自身の剣を握り締めて。

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