第34話 お金稼ぎの時間
/639年7月12日/
12時15分
パ「おい、急げよ!いい任務無くなっちまうかもしれねぇぞ!」
馬車が街に着いたと同時に、パルスが荷台から降りてみんなを急かす。タイトは支払いを済ませている間に荷台から全員降りた。
本日、ローネは魔王城で祭典があるらしく、1日魔王城へと戻っている。
シ「おじさん!ありがとうございました」
御者「料金を確かに。またのご利用を待ってますぞ」
タ「リューソー大丈夫?もう、歩けそう?」
リ「ちょっと待って、まだちょっときもちわるい」
まだ気分の優れないリューソーの肩を支えて歩くタイト。
コ「じゃあ、また私たち先に行って任務取っておくね!」
タ「お願いしてもいい?」
パ「お安い御用!」
タ「何度もごめんね」
コ「ううん、気にしないで!」
コクウは言葉を言い切る前に進み出して、人混みの中へと消えていった。
レ「2人とも協会の場所、わかるのかな?」
シ「コクウは1度ここに来たことあるから、心配しなくても大丈夫だよ」
タ「それなら良かった」
タ「リューソー、今体調どんな感じ?」
リ「頭がふわふわしてて、考えてもないのに体が勝手に動いて、なんて言うかな、世界を一望してるみたいな感覚、、、」
シ「結構重症だな」
レ「覚醒してそうな言い方」
タ「それだと覚醒のきっかけは乗り物酔いになるけど、大丈夫そ?」
リ「...まだ、物語の序盤だしな...まだ早いよな」
タ「普通に否定してくれ、なんだよその理由」
シキを先頭にリューソーを回復させながら歩くこと約10分、協会の前に辿り着いた。
リューソーもその頃にはだいぶ回復しており、万全とはいかずとも自分で歩けるほどには回復していた。
協会の扉を開けて中に入ると、真昼ということもあるのか、前の街よりも倍の人数が協会内にいた。協会はとても広く、人が多くても窮屈さを感じることはなかった。
タイトが2人を見つけるため、協会中を見回していると、
コ「こっちと」パ「こっちの任務、どっちがいい?!」
タ「うお!、、びっくりした」
タイトの目の前に2人がいつの間にか近づいていた。
コ「私のは銀貨80枚くらいなんだけど、簡単ですぐ終わりそうなやつ!」
パ「こっちは金貨1枚、銀貨50枚なんだが、まぁ報酬通りの難易度と時間って感じ、」
見た感じ、コクウのは依頼主が居るちょっとしたお手伝い的なやつで、パルスのは街の外に出て、ガッツリ魔獣を討伐するやつ。
タ「シキ、どう思う?パルスのやつ、今日中に終わって戻って来れると思う?」
シ「不可能ではなさそう、でもパルスの奴は他の隊が絡んできそうってのもある」
レ「決闘になったら確実に無理だね」
パ「そこまで考えてなかったぜ。
コクウのやつでも、明日の朝食位は食えそうだしな、」
リ「今日は軽く行っとこうぜ、体調も優れないし」
タ「明日は朝早めにここに来て、誰もいないうちに良さげなのを受ける方針で良き?」
コ「よきよき」
リ「よよいのよい」
決定!
受領を済ませ、教会から依頼主へ連絡して貰い、待ち合わせ場所が決まったので、待ち合わせ場所である飲食店へ向かうことになった。
その道中
パ「体調は治ったんか?」
リ「まぁ、だいぶマシになったな。
なんか、病気とかの治りかけの時って、謎に体がふわっとしてて、天上天下唯我独尊状態の五〇悟くらいの万能感を感じるよな?」
パ「ちょっと何言ってるか分かんない」
リ「なんでわかんねぇんだよ」
パ「分かるわけねーだろ!」
ぐにゅっ、
リ「んお?」
街を喋りながら歩いていると、意味不明な声を上げて足元を見るリューソー。
足元には1匹の白猫。
白猫「シャーッッ!!!」
リューソーをめちゃくちゃ威嚇している。リューソーは猫のしっぽが足の下敷きになっていることに気づく。
パ「どした?動物の糞踏んだみてぇな声出して」
リ「猫のしっぽ踏んでもうた!」コ「猫踏んじゃった♪」
リューソーが気づいた時には、時すでに遅し。リューソーが足を退けた瞬間に白猫は大きく飛び上がり、リューソーは前足で顔を引っ掻かれた。
白猫は華麗に着地すると、そのままどこかへ行ってしまった。
リューソーの顔には三本の赤い線が着いており、血が垂れていて痛そう。
リ「・・・」
シ「あーらら」
リ「今日は、散々な1日だな」
パ「まだ昼過ぎなんだけんどな」
リ「そうか...もう宿に帰って寝よう」
レ「宿代、ないよ」
リ「・・・もう...死のう...」
リューソーが収納魔法から縄を取り出して、自分の首に巻き付けようとしているのを全員で取り押さえた。
タ「お、おちおち、おてぃつけぇ!」
シ「し、死ぬんじゃない!ここで死んだら、最後の記憶が最悪なものになるぞ!」
コ「そうそう!死ぬなら楽しい思い出の後にしよ?ね?」
リ「もぉ...やだ...死にたい」
レ「その言葉の頭文字を取るとー」
パ「もwwやwwしww」
訂正。静観するものが2名。
何とかリューソーの暴走を止め再度、依頼主との待ち合わせ場所へと辿り着いた。依頼主は30代の女性で物腰の柔らかそうな人。
主「あなた達が私の依頼を受けてくれた人かしら?」
タ「はい!今回の依頼内容はなんですか?」
主「えっとねぇ、家の猫が脱走しちゃってねぇ、うちの子たちを探して欲しいの、」
シ「『たち』ってことは、何匹かいるということですか?」
主「そうなの〜、3匹探して欲しいの」
コ「色とか模様とか、あと種類とかこの紙に書いて貰ってもいいですか?」
そう言って、コクウは紙と鉛筆を取り出した。
主「お恥ずかしいことに私、絵に自信がなくて〜、
う〜ん、肉球でもいいかしら?」
パ「見分けれるかぁ!」
リ「なんでそっちは書けそう、みたいな感じなんだよ!」
レ「見つけるではなく、捕まえないと始まらないの、辛い」
コ「最悪、色だけでもいいので、、、」
主「そうねぇ〜、真っ黒な子と、真っ白な子、黒と茶色が混ざった子がいるわ〜。
白い子は左目の周りが黒くなっているから目印にして頂戴。
あと、みんな青色の首輪を付けているわ
て、言ってる間に書き終えたわ〜」
書き終えた紙には、まるで本物が閉じ込められているかと思わせられるような、絵であった。ちなみに肉球も書かれていた
パ「え?そういう仕事してます?」
主「絵は趣味、職業は農家よ〜」
タ「時間そんなに経ってないはずなのに」
リ「え?さっき苦手って自分で、、」
主「そうなの〜、この絵もあの子たちの可愛さを全然伝えられてなくて...はぁ、、自分が嫌になるわ〜」
リ「天才型じゃったか」
レ「肉球もちゃんと書かれてるし、ちゃんと本物そっくり」
主「それじゃぁ、よろしくね〜
私はここの店で風景画を書きながら待っているから〜」
紙に書かれた絵を頼りにタイト達は猫を探し始めた。
シ「これならすぐに見つけれそうだね」
シキが猫の特徴を覚えようと、絵を集中して見ていると、リューソーが横から覗き込んで絵を見た。
リ「あれ?この白猫、俺がさっき踏んづけちゃった猫かも?」
パ「終わった...」
コ「難易度跳ね上がったね」
タ「どう?見えそう?」
レ「うーん、建物も動く人も物も多すぎて見分けがつかない」
シ「闇雲に探しても時間の無駄だし、なんかいい案ある人ー?」
リ「餌でおびき寄せて捕まえるとかは?」
コ「他の猫も寄ってきそう」
パ「そんなんで捕まえられるわけが/
リューソーの案を実践して30分後、
タ「青の首輪と絵とよく似た色、模様。うん、黒と黒茶の猫は捕まえたね」
パ「捕まえられるのかよ」
リ「風が、俺に吹いてきている!」
餌で釣る作戦で2匹捕まえることが出来た。
捕まえた猫が逃げないように、黒猫をレイが抱き抱え、黒茶をコクウが肩に乗せている。
タ「コクウの猫の乗せ方、どっかで見たことがあるよーな?」
((黄色じゃなくて良かった))
シ「残りはあと白猫の1匹だけだね」
コ「さすがにリューソーが警戒されてるから、餌には寄ってこないかもね」
タ「探すしかないか〜」
PM17:00
その後探すこと3時間、なんの成果も得られず、1度捕まえた猫だけでも依頼主へ届けようという話になった。
主「あら〜、もう2匹も捕まえてきたのね〜」
タ「すみません、あと1匹もすぐに見つけてきますので、、、」
主「そんなに焦らなくても大丈夫よ〜
ほら、ちゃんと休憩もとらないと」
タ「は、はぃ、ではお言葉に甘えて」
言い方はとても優しいのにどこか強制力のある言葉にタイトは従い、一時休憩することとなった。
シ「白猫の子なんですが、なんか、『こういう場所に居そう』みたいなのとかあります?」
主「そうねぇ、あの子は高いところが特に好きね〜
気を抜いたらいつの間にか屋根の上に登ったりするくらいだわ〜」
パ「下ばっかり見てたかも」
コ「次は上も見なくちゃね」
リ「この店の屋根の上に居たりして」
パ「ハッハッハ、そんなわけ...無いよな?」
心配になり、確認するパルス。パルスは確認した後、安心した顔で帰ってきた。
パ「さすがに居なかったわ」
リ「何ビビってんだよ」
パ「うるせーよ、!ここだと簡単に否定したら、当たり前かのようにその通りになるからな、確認しとかねーと、また恥かくことになる」
((読者の期待を裏切ることを目標に創っております))
主「完成〜」
依頼主が風景画を書き終えたようで、色鉛筆を置いて体を伸ばし始めた。
コ「見てもいいですか?」
主「恥ずかしいけど、いいわよ〜」
コ「ありがとうございます!」
パ「あ、私も見たい!」
リ「俺も俺も」
みんなで風景画に集まり、鑑賞会が始まった。
絵は、どこか懐かしさや寂しさを感じるような、夕日に照らされた街並みに、その下を通り過ぎる活気溢れる人の賑わい。
コ「やっぱり、お上手ですね〜」
主「あら〜、嬉しいわぁ」
シ「ここのお店にはよく来られるのですか?」
主「いいえ〜、初めて来たわよ〜」
シ「え?初めてなんですか?」
タ「どうしたの?」
シ「いや、描き始めたのは昼過ぎくらいなのに、夕日の影とかが今の時間帯にピッタリ合うから、何回か見たこある景色なのかと思って、、、」
シキの言う通り、影の伸び方や夕日の当たり方が、絵と現実がピッタリと合うことに気づく。時計塔の時間も、ちょうど今の時間帯を指している。
さらに、
リ「おい!見ろ!絵と全くおんなじ奴が目の前歩いてんぞ!」
パ「どーなってんだ?」
主「それは私の神技だから〜、そんなにびっくりしないで〜」
タ「神技?」
主「えぇ、そうよ〜
私の神技は、『私の見えている景色の前後12時間を見ることができる』わ〜
これで、いい感じの時間帯を見て書いてるの〜」
レ「未来も見えるのね」
主「断片的にだけど、そうよぉ〜」
コ「あれ?じゃあ、この屋根の上に乗ってる白い影は?」
コクウの言葉に絵をよく見ると、時計塔の1番上に白い影。
リ「最後の1匹こいつだッ!」
シ「てことは、今まさに時計塔の上にッ!」
現実の方で時計塔の上に目をやると、本当に白い影が!
パ「任せろ!」
そう言うと、パルスは瞬間移動を使って時計塔へと急接近し、直前で逃げそうになったそれを無事に空中で捕まえて戻って来た。
・・・
・・
・
主「今日はどうもご苦労さまでした
こちら、報酬です」
そう言って、依頼主はタイトに中にお金が入ってるっぽい袋を渡してきた。中には金貨が数枚と銀貨が大量に入っていた。
タ「ん?報酬って協会で貰えるんじゃ、、」
主「今日は絵を褒めて貰ったし、楽しかったからいいのよ〜
こういうのは黙って貰っときなさいな」
タ「そんな、、ただのお手伝いなのに、申し訳ないです」
謙遜するタイトに依頼主は表情変えることなく、
主「何を言ってるの〜?この子達は私の命よりも大事なんだから、私からしてみれば、これくらいして当然なのよ〜」
シ「タイト、依頼主の方がこう言ってるんだし、有難く貰っておこう?」
リ「そうだぞー。こういうのは貰っておくもんだぜ」
コ「まぁ、タイトの気持ちもわかるけどね」
タ「じ、じゃあ、すみませんが、有難くいただきます、」
主「どうぞ〜」
その後、依頼主と別れ、協会へと足を運び任務の完了報告を行い、報酬をちゃんと貰った。
タ「明日はどうする?任務受ける?」
シ「僕はなんでもいいよ〜」
パ「さすがに旅続きで疲れたから、明日は任務は受けたくねーな」
レ「確かに」
コ「明日は各々、自由行動でいいんじゃない?」
タ「みんな、それでいい?」
リ「異議なーし」
明日の予定のない予定も決まったことで、宿を取るべく、近くの宿屋へ向かった。
タ「一応、ローネの分も払っとく?」
シ「今日は戻ってこないんじゃないっけ?」
コ「そんな感じのこと言ってたと思う」
パ「もし、戻ってきたら野宿させとけ」
とりあえず、今居る6人分の部屋を取り、部屋へと入る。
リ「あ゛あ゛あ゛あ゛〜、づがれだあ゛〜」
シ「さすがに疲れたね〜。僕先にお風呂に入ってもいい?」
タ「いいよー!」リ「どぉぞぉー」
収納魔法から紙飛行機を作る為に、紙を取り出すタイト。そこへリューソーが、タイトに話しかけた
リ「俺も作ってみていいか?」
タ「全然いいよー」
2人して紙飛行機を作り、見せあった。タイトは長いこと作ってることもあり、整えられた形をしている。
対してリューソーは、指先が不器用なのか、少々紙がよれてしまっている。
リ「意外と難しいんだな」
タ「俺は長いこと作ってるからね〜」
リ「ほーん、まぁ、勝負は?ここからだし?俺のが汚いからって?飛ばないと決まった訳では無いし?」
タ「フッ、じゃあ、せーので投げようか?」
リ「鼻で笑いやがって、
まぁええか、じゃあ行くぞ?」
タ「ばっちこい」
リ「せーのうりゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
思いっきり腕を振ったリューソーの紙飛行機は、窓の外へと出た瞬間、地面目掛けて一直線に墜落して行った。タイトのは安定した飛行で空を飛んでいる。
・・・
タイトとリューソーは無言で目を合わせる。
リ「フンッ!今日のところは勘弁しといてやる」
タ「帰れ」




