第2話 剣と魔法と神技の世界
?「ん〜〜、っはぁ!でない!ムリ!」
右手を前へ突き出し、力を込めて、いつまでも出てこない魔法に痺れを切らし、倒れ込んでいる少女の名前はエレナ・ゼラニウム5歳。肩の高さまである黒い髪に緑色の目をした女の子。
?「力を込めれば出るものじゃないよ。それにまだこどもだし魔法なんて出ないよ。」
そうエレナに言い放つのはタイト・ゼラニウム5歳。本人は知らないアホ毛が特徴的な黒い髪に黄色の目をした男の子。
エ「何よ!私はお姉ちゃんなのに生意気!」
上体を勢いよく起こしタイトを睨みつけながら言った。
タ「お姉ちゃんて。僕より少し早く生まれただけじゃん。」
2人は双子である。しかし、2人の性格は真反対と言えるほど似ても似つかない。
活発で元気なエレナに対し、臆病で何にでも内気なタイト。2人は本当に双子なのだろうかと疑うほど違うものだった。
エ「あーもう!いい!魔法の練習は終わり!」
タ「練習って、まだ5分も経ってないよ。」
エ「何!?」
タ「な、、なんでもない、、。」
エ「魔法とかどうだっていいの。私は剣さえ使えればいい!」
そう言うと、エレナは横に置いていた木剣を持ち上げながら立ち上がった。5歳にしてはまだまだ大きく、少しばかり重たい木剣を少しよれながらも振り回す。その光景を見ながらタイトは
タ「魔法が使えないと困るよ?もしもの時のためにも魔法は少しは使えた方がいいよ?」
エ「いいの!私は剣で何とかしてみせる!」
タ (剣が使えなくなる時もあるだろうになぁ。)
そう、タイトは少し呆れながら思う。
ここは、剣と魔法の世界。誰でも練習さえすれば簡単な魔法が使える。勇敢な者が剣を片手に己を高める世界。魔法を使い、時には援護射撃、時には派手な魔術で相手を倒す世界。多種多様な動物や、魔王が君臨する世界。
そして、人々の間ではと神技言われる、特殊な能力を与えられた者のみが使うことのできる世界。神技には様々な力があり、最上級魔法のさらに上をいく魔法を使える神技や、身体機能の上昇、浮遊、瞬間移動など、数えることの出来ない程ある。
神技とは持たない者の方が少ないものである。また、神技は5歳から10歳ぐらいで発現する。
エ「はぁ〜、早く私の神技でないかなぁ〜。」
タ「まだ5歳だしもう少しかかるんじゃないかな?」
エ「まぁ、でればいつでもいいか!神様どうか、生意気な弟を泣かせるくらい強い神技頼みます。」
手を合わせ、目を瞑り、真剣な顔で祈るエレナ。
タ「それくらいで泣いたりしないよ普通。」
そう、冷静に返すタイトであった。そんなやり取りをしていると、
?「ふふっ、なんだかおもしろい話をしてるね。」
と、いつの間にか近くまできていた少女に話しかけられる。この少女の名はレイン・ヒヤシンス。背中まである黒い髪に、右目は黄色、左目は紫色をした女の子。
エ&タ「「レイ!?」」
2人は少女のことを「レイ」と呼ぶ。
エ「いつの間に近くにきてたの?全然気づかなかった。」
タ「はぁ。びっくりして、心臓止まるかと思った。」
エ「タイトはビビりだなぁ。」
嘲るように笑いながら言う。
タ「び、ビビってないよ。ただ、少し驚いただけだよ。」
エ「ばかだなぁ。それをビビりていうんだよ。」
またもや、嘲笑うように言うエレナに少し不服そうなタイト。それを見てレインは
レ「ふふっ、やっぱりおもしろい。」
と、一言。その言葉でエレナは「あはははは!」と大きく笑い、タイトは「ははは」と静かに笑った。ひとしきり笑った後に
エ「ねぇ、何して遊ぶ?」
レ「かくれんぼは?」
エ「かくれんぼはレイが鬼になったらすぐ見つけるじゃん。この前とか見てたけど、なんの迷いもなくタイトの方に歩いて向かって見つけてたよね?」
レ「ん〜、なんかね、少し透けて2人が見えるの。」
エ「ええ!?いいなぁ!それって神技じゃない!?私も早く出て欲しいなぁ。」
タ「良かったね。神技発現して。」
と、祝福するように笑顔で言った。
レ「ありがとう。でも、何に使えるんだろう?」
エ「まぁ、それは生きてればなんか見つかるでしょ。」
そう言うエレナにレインは笑いながら
レ「エレナらしいね。」
と言った。
レ「じゃ、なんの遊びする?かくれんぼ以外で。」
タ「鬼ごっこは?」
エ「うわ!めっちゃ普通!もっと凝った遊び言えよぉ」
タ「当たり強すぎるよぉ。凝った遊びってなんなの?」
エ「死体ごっことか、タイト連続殺人ごっことか、あとは、、、」
タ「もう言わなくていいよ。それにそんな何人も僕いないから。」
エ「ヘヘッ、冗談だよ、泣くなって。」
タ「泣いてないよ。」
エ「そんじゃ、鬼ごっこするかぁ。」
タ「結局鬼ごっこなんだ。」
レ「漫才みたいだね。いいコンビだよ。」
笑いながら少しいじるように言った。
エ&タ「えへへ、やっぱりぃ?
冗談でもやめてよ。 」
と同時に言った。このあと、タイトは謎の力(物理)により5分程気を失った。