第26話 未来へ
/639年7月1日/
〜仮想空間にて〜
リ「しゃあ!今日だけは絶対に勝たないとな!」
パ「2人の誕生日だからな!この隊の景気づけとして一発かましとくか」
タ「そこまでやる気を出してもらえると、逆に照れるな」
リ「君たちに勝利という贈り物を授けて進ぜよう」
パ「取ってつけたような台詞言うな。痛すぎるから」
シ「さぁ、やろうか」
コ「2人のためにも、ついでに任務のためにも本気でいくよー!」
レ「任務の方がついでになっちゃった」
タ「ことの経緯は↓↓↓です」
=数分前=
〜冒険者教会にて〜
タ(この任務良さそう)
タイトはそう思い、張り紙に伸ばして掴んだところでもう1つ、知らない手が伸びて同じ紙を掴んだ。
タ&?「あっ、」
お互いに譲る気はなく、2人とも張り紙を掴んで離さない。少しの間無言の抗争を繰り広げ、痺れを切らした相手がようやく口を開いた。
?「よし、決闘をしよう」
タ「そうですね、そうしましょうか」
?「とりあえず、受付に持ってってこいつを保留してもらおう」
=今=
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
*視点 戦闘時*
シ「決闘始まったけど、今回は僕たちも皆と一緒に行動でもいい?ちょっと後ろの方ではあるけど」
コ「この前やること無くて暇だったんだよねー」
タ「いいと思うよ」
パ「やばくなったら私の神技で後ろに飛ばしてやるよ」
リ「その前に一網打尽にされたらウケるな」
レ「それだけは警戒しとかないとね。とりあえず、ここ真っ直ぐ行ったところに相手5人、全員いるよ」
レインの神技を頼りに相手まで、警戒しながらも森の中を一直線に近づくタイト達。直接姿を確認できる距離まで近づき、視認したところで先頭のレイの足が止まった。
レ「え?あれ?」
タ「どうしたの?」
コ「あ、神技が使えなくなった」
パ「え、まじ?・・・うわ、私もだ!」
リ「つーことはレインも、ってことか」
?「君たちはもう、負けが確定している!」
進行方向から、腕を組みながら仁王立ちをしている小太りの男がドヤ顔をしながら宣言してきた。髪の色は茶髪。
茶髪の右隣に眼鏡をかけたひょろっとしている青色の髪の男。
ドヤ男の左側に片目を瞑り、右手で円を作って、穴から開いている方の目で覗いている茜色の髪をしているボブカットの女。
やや後方に自信がなさそうに杖を両手で抱き抱えて、怯えた表情でこちらを見つめる前髪で目が隠れそうな桃色の髪の女。
桃色の女の左側に立つ、無表情で手を服のポケットに入れている緑色の髪の男。
リ「はっ!そんなのやってみねぇと、わかんねぇだろ!」
タ「魔法使えるならいつもと変わらんな」
シ「僕も神技は、ここだと逆に扱いづらいからちょうどいいよ」
コ「私も何とかなるかな?」
パ「うーん...瞬間移動に頼りっぱなしだったからなー、大丈夫かな?」
ガンッ!!
レ「うっ、!ッ~~~!」
思いもの同士がぶつかったような、低い音が鳴った直後に、レインがうめき声を上げている。
パルスはぎりぎり戦いにはなりそうな程度だが、普段神技を通して、眼帯の方を補っていたレインは深刻な状況であった。
距離感覚がつかめず、目の前にある木の幹に激突していた。
深刻そうな者もいるが、続々とあまり影響を受けない者共が出てきて、ドヤ顔男の表情が少し渋った。
茶髪「今回ははずれか、」
眼鏡「そういう日もあるさ」
桃色「あぁ、ご、ごめんなさい」
無表情な男「謝る必要はない。気にするな」
茜色「・・・捕まえた!!」
そろそろ、動き出そうかとしている矢先に、急に大声を出す茜色の髪の女。
茜色「まずは1番強そうなやつ」
そう言うと、茜色の女は手で作った円を徐々に絞っていき、やがて拳を握り締めて円を潰した。
タイト達がわけも分からずにいると、今まで普通に立っていたシキが、頭と足の両側から
ミシッ、
と、気分の悪くなるような音を立てて押しつぶされていった。シキはまるで、その空間そのものを削り取られたかのように声をあげる間もなく、消えて無くなった。
タ「なっ、!」
タイトがシキの消滅に気づいた直後、リューソーとパルスは剣を握り締め、相手に向かって飛びかかっていた。
だが、2人が飛びかかった瞬間
茶髪「わっ!!!」
と、突発的に大きな声で叫んだ。
その声を聞いた直後、タイト達は体が金縛りにあったかのように1ミリも動けなくなった。
リ(なんだこれ!?動けねぇ!)
タ(金縛り?!)
コ(動けない。近づかれてもこれで何とかなるってことか。厄介だな、、)
茜色「誰か後ろ見てる〜?」
眼鏡「私が見てますよ」
茜色「りょ〜!じゃあ、その2人処理しといて〜」
茶髪「残念だったな」
その言葉と共に、動けない2人の首を切られ、脱落した。
無表情な男「あと、3人」
茶髪「今誰を狙ってる?」
茜色「正面の男の子!」
タ(ヤバいッ!)
タイトは動けない中、一か八か土の壁を作ろうと足に魔力を込めた。
体を動かせないだけで、魔力を流すことは可能らしく、タイト含めた3人が隠れるような大きな壁を作り出し、視界から逃れることに成功した。
茶髪「あいつ、今足から魔法出したか?」
眼鏡「珍しい人がいたものですね」
無表情な男「いけそうか?」
茜色「あー、わかんねぇ、ちょっと待っててよ?大体この位置だったような」
タ「レイ、今は神技使えそう?」
レ「あ、!うん、見える!」
タ「よし!多分相手の無効化の発動条件は見ることだ」
コ「それで、ほぼ間違いなさそう。あと、あの茶髪は声だろうね。多分、聞かなければ効かない」
タ「・・・レイ、透明になって自由に動いていいよ。あいつらは俺たちで気を引くから」
レ「いいの?」
コ「私は問題ないよ!」
タ「悪いな。あと、作戦開始の後すぐに相手全員と俺の足元から相手までの一直線を水で濡らして欲しい。」
コ「それくらいお安い御用!こっちからもタイトにお願いなんだけど、この壁私が壊すからさ、壊れたあとも消さずに残して置いて欲しい。」
タ「わかった!
よし!じゃあ行こ/
<圧縮>
茜色の少女は壁で隠れたタイトの最後の位置を頼りに神技を発動した。
作戦開始の合図の瞬間、タイトの左手に激痛が走った。確認すると、タイトの左手は無くなっていた。目の前の壁を見ると、直径が人の身長程の長さの円形でくり抜かれており、壁の向こうの相手と目が合った。
3人は咄嗟に、残っている壁に身を隠した。
タイトは血が止めどなく出てくる左手を回復魔法でサッと傷口を塞いだ。
レインは透明になって相手に気づかないように、音をなるべく立てずに歩き始めた。
タ「コクウ、水魔法を頼む」
コ「レインには当たらない程度に、この壁の向こう一帯を水浸しにするね!」
タ「あぁ、こっちも準備する」
タイトはそう言うと、手と足の両方に魔力を込め始めた。左足には電気魔法を帯電させ、右手には腕に魔力を残した状態で小さな火の玉を作り出し、それらを維持する。
コクウが壁の上から水魔法を10数回飛ばし、攻撃の振りをして地面と相手を水に触れさせる。
コ(アイツらの後ろから一発撃っとこ
もう一発撃っとこ)
茶髪「あいつら隠れたまんま痛い、出てこんな?」
茜色「まぁ、こっちは編成的に攻めるより反撃の方が強いからな。待ちだ」
眼鏡「それよりも、この水魔法は何が狙いなのでしょうかね?」
茶髪「さぁな、俺たちを氷漬けにするためとかか痛い。さっきから後ろから鬱陶しいな!」
眼鏡「それならこの程度、火魔法でどうとでもなりそうですね」
ほぼほぼ勝ちが見えているため、冷静に会議と分析を行う。
無表情「それよりも、あの少年の足から出す魔法には注意しないとな」
茜色「あれ、もしかしたら消せるんじゃね?どう?」
桃色「や、やってみます、!でも、あまり、期待しないでください、、、」
無表情「大丈夫ですよ。いざとなれば私たちが守りますので」
桃色「こんな私のために、ありがとうございますっ、、、」
双方共に作戦会議、心と戦いのための準備が整ったところで、
タ「こっちはもう行けるよ!」
コ「わかった!じゃあこの壁壊すね!」
コクウが大きな音を立てながら、壁を大小様々な大きさに破壊し、タイトの邪魔をしないよう、相手から隠れるように自分の目の前に持っていく。
タイトは右側へ流れる瓦礫に紛れて、目の前へと走り出した。右腕に貯めていた魔力を全て火魔法に注ぎ、瞬間的に小さな火の玉を大玉へと強化させ、帯電させている左足を水で濡れた地面目掛けて踏み出そうとするのと同時に、火魔法を投げる体勢に入った。
桃色「あっ、あっ、そのっ、!足からの魔法、神技っぽいので禁止ですっ!」
タ(は??何言ってんだこいつ)
非現実的なお願いのようなその言葉に、嫌悪感を少し抱き、心の詰まりのようなものを感じながら、左足を振り下ろした。
左足は確かに、相手まで繋がっている水に触れた。そう、左足は。先程まで帯電させていた左足の電気魔法はまるで何も無かったかのように消えていた。
タ「なっ、!なんで!?」
タイトはいきなり消えた電気魔法に動揺を隠せずにいた。
タ「くそっ!」
タイトはやけくそになり、右手に持っていた火魔法を相手目掛けて、思い切り投げつけた。
近くの木の幹を少々揺らす程の速さで、濡れた地面を瞬間的に蒸発させながら進む火魔法。
茜色「誰か頼んだよー」
眼鏡「はいはい」
眼鏡の男はそう言うと、右手を前に出して風魔法では無い、少量の透明のような色がある様な、空気が揺らいで見える魔力の塊を放出した。
それは、火魔法に衝突すると、3回り程大きいはずの火魔法を一瞬にしてかき消した。
タ「こいつらなんなんだよ?!」
タイトは自分の火魔法がかき消されるのを見ながら、既に次の氷魔法を放出するために魔法を込めていた。
タイトは始めて見るそれを、避けるという考えには至らず、正面から受けてしまった。
タ「ガァっ!」
軽い衝撃なのに、体の中の方に重く来る謎の攻撃に少し仰け反る。
タイトはすぐに反撃しようと、作り出した氷魔法を発射させるように魔力を込める。が、氷魔法は砕け散ったのではなく、先程の火魔法のように元の魔力に戻され、風に流されて消えていった。
タ(!?)
茜色「捕まえた!」
声高らかにタイトの方を向いて宣言する少女。タイトは少女と目が合うと、不適な笑みを浮かべた。
茜色(まだ何か!)
タ「負けても悔しいとすら思わねぇよ!こんなの!」
タイトはシキと同じように、潰されて消えていった。
コ(うへぇー、タイト可哀想。最後何か叫んでたなー、後で慰めたげよう)
コクウは相手の視界には映らないよう、魔力探知を頼りに瓦礫で自身を隠しながら大きく右側に回り込み、そのまま近づく。
近づきながら別方向に向かって矢を放つ。その後、空いた右手に収納魔法の中から短剣を取り出す。
茶髪(無駄無駄無駄無駄)
茶髪の男はそう思い、大きく空気を吸い込み、神技を発動させながら叫ぶ。
<沈黙の叫び>
茶髪「わっ!!!」
もう一度、大きな声が仮想空間中に響き渡る。しかし、コクウは以前止まらず、近づいて来る。
茶髪「あるえー?なんでー?」
コ(発言的に神技を無効にしてるのは、あの弱そうな女の子!)
さっき放った矢の軌道を相手の視界の外から大きく曲げ、桃色の少女目掛けて飛ばす。
<交換魔法>
曲げた矢と、右手に持っている短剣を交換し、確実に仕留めにいく。交換後の矢は投げ捨てて、氷魔法で即席の剣を生成する。
少女は交換した短剣に、そもそも放たれた矢にすら、気づいていなかった。
コ(いけ!)
そんなコクウの気持ちを踏みにじるように、
茶髪「おっと、危ねぇぞい」
茶髪の男が出しゃばって来て、短剣を弾かれた。
コ(あー、、無理かー、
あとは賭けだ)
コクウは弾かれた短剣を確認すると、視界を遮っていた瓦礫を相手目掛けて前方方向に無造作に、強く飛び散らせた。
相手に体を見せたことで、自身の神技が使えなくなったことを確認する。
コ(やっぱ使えないか、、、)
コクウの視界の奥で茜色の少女がこちらを見て、指で円を作っているのが見えた。
茜色「捕まえ/ザンッ!
金属製の重く冷たい音が響いた。誰もが、コクウに注目する中、全員が最も存在を忘れた瞬間、レインは茜色の少女の首を斬った。
コ(ひぇー、焦ったァー!)
全員思い出したかのように、レインの存在を認識する。
コクウはそのまま、眼鏡の男との距離を詰める。左手の弓を弾かれた短剣に交換しようとするも、何故かできない。収納魔法も使えないことに気づく。
コ(これも神技っぽい、ってことですか)
仕方なく、弓を捨てて氷の剣1本で勝負を挑む。氷の剣に魔力を込めて、強度を高める。
眼鏡の男も剣を抜き、迎え撃とうと剣を振るう。真剣と真面目に打ち合うと、強度を高めたとて氷魔法は簡単に切られてしまう。なので、コクウは剣の腹の方を押さえつけるようにして弾く。
横の大ぶりを、剣と剣の軌道が垂直に交わるように、振り下ろす。縦の振り下ろしも、真横に弾くように。
そうして何度か打ち合うも、たかだか氷の剣。どれだけ強度を高めようとも、真剣との打ち合いには耐えきれず、砕け散ってしまった。
コクウは風魔法を前方に出して、攻撃をしつつ、後ろに飛ぶ。桃色の少女はコクウとレインを交互に見るようにして、神技を使わせないように目を見張っている。
レ(また神技が、せめてもう1人)
レインは1番近い場所にいた茶髪に向かって、足を踏み出し、刀を振り下ろすレイン。だが、距離感覚が掴めなくなったレインの刀は届くことはなかった。
茶髪の男が剣を振るってきたため、レインは咄嗟に後ろに飛んだが、フラフラとした足取りで後ろの木に衝突してしまった。木に衝突したことでレインの動きが一瞬止まる。
瞬間、レインの周りにある地面と木の幹から細く、鋭い棘が急に生えてきた。
レ「グッ、!あぁ、!」
小さく痛々しい悲鳴をあげるレイン。左腕、両足、腹部、心臓の辺りを四方八方から棘が貫通している。棘は途中で枝分かれをしており、レインの内蔵をも貫いていた。
レ(せめて、コクウの神技を)
レインはゆっくりと右手の人差し指の標準を合わせる。そして、今にも消え入りそうな声で呟く。
レ「撃、、て、!」
パンッ!
桃色「あうッ!」
レインから放たれた空気の弾丸は、狙い通り桃色の少女の頭部に命中し、少女の視界を遮らせることができた。
と、同時にレインはここで脱落した。
コ(今しかない!この一瞬であの女を倒す!)
そう心の中で意気込み、氷魔法で攻撃をしかけ、距離を詰め始めるコクウ。そして気づく。神技が発動できないことに。唯一出した氷の魔法も、無表情の男が出した、幅の広い棘の壁で防がれた。
コ「あーもう、ほんとに意味わかんない」
1度走り出したコクウはほぼ無防備の状態で相手に突っ込んだ。
茶髪「わっ!!!」
防ぐ術もなく、動きを止められたコクウ。
茶髪「ご苦労さん!意外と惜しかったな!」
桃色「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」
眼鏡「さて、早く終わらせてあげよう」
そう言うと、眼鏡の男はコクウに剣を振り下ろし、首を斬った。
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〜現実にて〜
コ「あー悔しいー!何あれ!?インチキじゃん!せっかくレインが絶好の機会を作ってくれたのに!」
シ「はいはい、落ち着いて」
タ「でも、ほんとにどうなってるのか気になるね」
パ「私、桃色の女の後ろにいたのに使えなかったぞ」
レ「そもそも、私とコクウで挟んだ時も、少しも神技使えなかったのおかしいよね?」
コ「ほんとそれ!」
タ「あと、桃色の少女の神技が出鱈目すぎる。神技っぽいから禁止で使えんくなったの、もう一周まわって面白かったもん」
パ「魔法もかき消されてたしなー」
リ「あの部隊、神技が噛み合いすぎてて、どうやってあの5人が揃ったのかが気になる」
パ「そこを考えるのは禁忌ってもんだぜ」
タイト達は部屋を出ると、思いつく限りの疑問を相手に直接聞きに行った。
茶髪「いや、教えるわけなくない?」
タ「ですよねー」
何言ってるんだみたいな目で見られるタイト。あっさり断られてしまった。
(まぁ、相手に手の内を明かせと言ってるんだからね。仕方ないね)
リ「お願いします!今日こいつら2人の誕生日なんです!このままじゃ気になって夜しか眠れません!」
眼鏡「健康的ですね」
茶髪「誕生日の贈り物として、教えろということか?」
リ「頼みます!教えてください!」
茶髪「だが断るッ!」
茜色「別に教えても良くない?」
無表情「明かしたところで、負ける気がしない」
茶髪「あぁ、これはただやりたかっただけ、
いいよ!教えたげる」
茶髪「まぁ、まずお前らも気づいてるとは思うが、お前らの神技を消してたのはこいつだ」
桃色「はい、私ですっ、
私なんかがすみません、、、!」
怯えたように必死に謝る少女。まるで何かやらかしたことを飼い主に対して、必死に反省の意を見せる小動物のようだ。
茶髪「こいつは見えている奴全員の神技と、こいつが神技と判断した神技を消す能力だ」
パ「ご都合能力じゃん」
リ「なんかもうこれでいっか!
みたいな感覚で作られてそうな神技だな」
レ「見えている間だよね?その子が目を瞑った時でも、私たちが能力を使えなかったのは?」
茶髪「それはだな」
眼鏡「私の神技です。
私の神技は視覚共有です。私の血液を取り込んだ者同士と私の視界が見えるようになるというものです。これは見たくなければ切替が可能です。
なので、この子がもし、目を瞑っても私たちの誰かが見ていれば、この子が見えている事にできる、という事です」
コ「ずるすぎる」
レ「最悪の組み合わせ」
シ「一緒にしてはいけない」
タ「混ぜるな危険」
茶髪「俺は、俺の声を聞いた者の動きを一定の時間止めるという、単純な神技さ」
リ「単純。ただし、ほぼ確命中」
パ「さらに初見殺し」
無表情「俺のは範囲内の物体から棘を生やす神技だ」
レ「生やした棘も枝分かれできるよね?めちゃくちゃ内臓痛かったんだけど?」
無表情「あぁ、できる。悪かったな...」
タ「レ、レイ!落ち着いて!」
無言で凄むレインを必死になだめるタイト。
茜色「最後に私のは、手で円を作ってその中に対象を収める。そして、円に収めたままその円を握り潰すと対象を圧縮する、っていう神技だよー!」
シ「気がついたら天井を見つめていました」
コ「急に消え去って行ったもんね〜」
リ「タイトは最後に「こんなん、悔しいとすら思わねぇよ!」て言いながら消えて行ったよ」
コ「そんなこと言ってたんだ。ウケる」
タ「あと、あれは?俺の火魔法をかき消した謎の魔法。風魔法では無いような気がしたんだけど、、」
眼鏡「あぁ、あれはただの魔力を放出しただけです。
少しの間溜めが必要ですが、魔法に魔力をぶつけると、魔法を形作っている魔力構成が乱され拡散、消失してしまいます。
これは人が浴びると、その人の体内を流れる魔力が乱され、一時的に魔法の使用が困難になります。
これが答えです。
私の種族では常識のようなものですが、やはり、あまり認知度は高くないようですね」
パ「じゃああんたって、もしかして薄明?」
眼鏡「ええ、そうですよ。」
タ「ナニソレ?」
パ「ありゃ?知らない?」
コ「薄明ってのはね、他の種族の人よりも長く生きられる種族で、平均して200歳くらいまで生きられるんだよ!
で、髪の色は青で魔法が超得意!質がいいって言うのかな?少ない魔力で高度な魔法が出せるよ!
それなのに魔力量も他の種族よりも段違いで多い」
シ「おまけに長生きだから知識とかも僕らとは比べ物にならないと思うよ」
タ「へぇー、そうだったのか」
レ「初めて知った」
リ「右に同じく!」
コ「...今度、勉強会しようね、、」
少し困ったような笑顔で提案をするコクウ。
コ(この旅の今後に関わってくるから、何とかしないと)
パ「それにしても、魔法のが強いのに剣も使うんだな?」
眼鏡「魔法が強いのは確かですが、だからと言って、魔法が全て。という訳ではないので」
リ「お前、よくわかってんじゃん!」
リューソーがいつにも増して高揚した口調で話しかけてきた。
パ「お前はただ、一切使わねーだけだろーが」
眼鏡「私も然るべき時には魔法を使いますよ」
リ「まぁまぁ!細けーことは気にすんな」
パ「細かくはねぇよ?」
茶髪「あ!そういえば」
何かを思い出したかのように声を上げ、タイトの方を振り向いた。
茶髪「お前のあの足から魔法出してる?やつって、神技じゃないんだろ?どうやってんだ?」
眼鏡「私も足から魔法を出す人なんて初めて見ましたよ」
桃色「す、すごいっ、です」
リ「タイトはあれだから、へんt/タ「握りこぶしで平手打ちするよ?」
リ「平手打ちってなんだっけ?」
パ「これのことだよ」バチンッ!
リ「・・・え?」
タ「どうって言われても、普通に出してるだけなんだよな〜」
レ「タイトが9歳、8年前の631年9月12日の時からできてたもんね」シ「これは記憶力を褒めるべきなのか、タイトに警戒するよう伝えるべきなのか、」リ「誰が言ってんだよ」コ「さっきとは逆の方に平手打ちしたら均衡がとれるよね?」リ「すみませんでした!」
茜色「9歳の時にそれを思いつくのがやばい」
茶髪「ほんとだよな、何食って過ごしたらその発想に至るんだよ」
タ「あーでも、俺神技ないから、何かしらの強みがあったらなー的なので思いついたはず」
茶髪「そうはならんやろ」
その後も、お互いの気になる点やら何やらを聞き合い、斜陽が窓から差し込んできたところで解散となった。
茶髪「またやろうなー!」
タイト達が協会から出ようと、扉まで歩いている途中で、少し離れたところから声が聞こえてきた。
リ「ちょっと厳しいかもー!」
パ「勝てる気が全くしないぜ!」
茜色「だろうねー笑」
タ「あっははは」
協会から出る直前に注目を集めたことで、中にいた他の冒険者から奇異の目で見られるていることにタイトだけは気づかなかった。そして、他の隊員も気づかない振りをして協会を後にした。
タイト達はその後、そのまま酒場へと直行した。
キラク「成り行きまかせの恋におち
時には誰かを傷つけたとしても
その度心いためるような時代じゃない〜♪」
中ではキラクがいつかの時のように歌っており、店内では大きな盛り上がりを見せていた。
リ「お!またいるねぇ」
シ「今日はまた一段と盛り上がってるね〜」
パ「やっぱ酒場と言えばこうじゃないと!」
コ「あるがままの心で〜♪」
タ「歌うの上手だね〜」
コ「ふふん、褒めても何も出ないよ〜」
レ「歌、、、私、歌ったことないっ」
パ「歌が全部じゃないだろ、あんまし気にすんな」
席に案内され、タイトとレイの誕生日会が始まった。
((まぁ、誕生日会と言ってもただ、いつもよりも気持ち豪華にご飯を食べるだけですが))
リ「いいんだよ!これくらいで!ちいせぇやつだな!」
パ「お前友達いねぇだろ」
((ドイヒー))
コ「あなたは人としてジーマーでバイヤーだけどね」
((会心の一撃!!))
注文を済ませ、あらかた料理届き、全員に飲み物が行き渡ったところで、リューソーが立ち上がった。
リ「まぁ、ついこの前歓迎会をしたばっかりですが、今日はタイトとレインの誕生日ということで、
えー、じゃあ、2人とも誕生日おめでとう!」
他3人「「おめでとう!!」」
リ「では、乾杯!!」
全員「「乾杯!!」」
レ「みんな、ありがとう、!」
タ「いやぁ、こんな会を開いてくれるなんて、なんか申し訳無いね」
シ「何言ってんのー、こういうのが大事じゃん」
コ「旅をしてるからこそ、こういうの楽しみが必要なんだよ?」
タ「そっか、、そうだよな、!ごめんね!」
パ「そういう時は「ごめん」じゃないんだぜ」
タ「?、かたじけない?」
リ「なんでだよ!笑
まぁ、いいけどな」
タイト達はキラクの歌を聞きながら、時には合いの手を入れながら、楽しく過ごした。
注文した料理を食べ尽くし、そろそろ出るかという雰囲気の時に
キラク「あー!4日ぶりー!」
コ「4日ぶりー」
キラクがタイトのすぐ横に近寄ってきた。
キラク「ちょっと聞いたんだけど、君たちって、魔王討伐を目標にしてるんだって?」
リ「そうだぞー!」
キラク「色々あるかも知んないけど、頑張ってね!君たちなら多分恐らくきっと大丈夫だよ」
パ「どんどん不安になっていくなー」
キラク「あれ?リューソー顔赤いけど、もう酔っちゃった?」
リ「何言ってんだ!こっからだろ!?」
シ「あんまり無茶しちゃダメだよ?」
パ「そうだぞ、気をつけないとやらかした時が大変だからな」
レ「経験者は語る」
コ「見てるからねー」
タ「あはは」
キラク「ねぇ、『君』なのかい?」
会話の中心が他の5人に移ったところで、いつも楽しげな口調で話すキラクが、タイトにだけ聞こえるように、いつもよりも落ち着いた声で話しかけてきた。
タ「?」
唐突な主語のない問に戸惑うタイト。
キラク「なんて言うのかな?既視感かな?初めてのはずなのに、どこかで会ったことがあるような、以前にも同じことを体験したような、まるで時間が戻ったかのような、そんな感覚に陥ることがたまにあるんだ」
タ「・・・気のせいとかでは?」
キラク「そうかもしれないね、笑」
一瞬だけ、いつもの笑顔を見せたががすぐに戻った。
キラク「でもね、なんでかその出来事を直前に思い出すんだ。
それも寸分の狂いもなく鮮明に。そして、既視感に気づいて、思い出したとしても同じように行動することしか出来ない。
そして、それが繰り返されている。気のせいでは済ますことができないほどに。何度も、何度も」
タ「...どういうこと?」
キラク「例えば、この話だってそうだよ。
この話を君に話すことが初めてのはずなのに、もう既に何度も話しているような気がするんだ。」
キラク「理由は分からない、何か目的があるのかもしれないし、無いかもしれない」
キラク「10年ほど前からだよ、こんな感覚に陥るようになったのは。今まではそんなことはなかった。
いつ戻るかも分からない。前回よりも進んだ時もあれば、前回よりもはるか手前で戻ることもある。・・・気がする」
タ「確証はないんだよね?」
キラク「そう。だから何も分かることができない。
きっかけも知らないし、ずっとこのままなのか、いずれ終わるのか、」
タ「・・・」
キラクの性格からは考えられないような、理解し難い話にタイトは喋ることが無かった。
キラク「ごめんね、こんな話をして」
そう言うと、キラクは立ち上がった。
タ「え、あっ、」リ「おー!2人で何話したんだー?!」
キラク「うーん、人生相談。かな?笑」
パ「悩みなんかあるのか?お前に?」
キラク「僕のことをなんだと思っているんだい?笑
全く。」
キラクは舞台に向かって歩き始めた。去り際に1度だけ振り返り、
キラク「君たち、これから色んなところに旅するんだろ?」
シ「まぁね」
キラク「そっか、それじゃあもし、僕の同族、『死』の概念を司る、『フーちゃん』通称『死神』に会ったらよろしく伝えといてよ」
コ「フーちゃん?」
レ「死の、概念」
タ「・・・わかった」
キラク「うん!頼んだよ!」
キラク「僕のこと、覚えてないかもだけど」ボソッ
パ「なんか言ったか?」
キラク「ん?なんのこと?まぁ、そんなことは置いといて。
さぁさ!今宵もまだまだ歌うつもりだから、盛り上がって行ってね!」
いつものような明るく朗らかな雰囲気に戻ったキラクは、舞台の上へと帰っていった。




