第20話 予測不能な事態こそ任務の醍醐味
すみません、前回目的地まで、街出て2日と記載していましたが、2時間の間違いです。
ご迷惑おかけします、、
/639年6月24日/
タイト達も簡単な自己紹介を済ませ、早速任務へと歩き始めた。
シ「陣形は僕たちが魔法と弓で後方支援をするということでいいですか?」
タ「ちょうど、魔法主体の人間がいなくて、そうして貰えると助かります」
リ「じゃあ、俺たちが前の方で気張る、って感じでいいんだな?」
タ「うん、そういうことだね」
パ「どーせ、それしかできねぇだろ。お前は」
何故か誇らしげに親指を立てるリューソー。
パ「褒めてはねぇぞ?」
シ「あはは、仲がいいんですね」
と、シキが一言。この一言にパルスの歩みが急に止まり、驚愕と恐怖の混じった表情を露にし、後ずさりをしながら、
パ「こいつと、仲が、、良い?」
シ「え?違いました?」
パ「なぁ、レイン!私とこいつ、今まで仲が良いように見えてたのか!?」
急にレイの方へと駆け寄り、レイの肩を揺らしながら聞くパルス。
レ「え、?ぁ〜ぁ〜、と、その〜ぉ〜ぉ〜、、落ち、落ち〜着ぃ〜ぃ〜て。」
パッ、
と、肩を掴んだまま揺らすことだけを止める。
レ「・・・まぁ、良い方ではあるとは思ってた」
パルスはレイの肩を掴んでいた手をストンと落とす。
そして、パルスは右手の人差し指と中指を自分の額に押し当てながら言う。
パ「あー、短い人生だったな〜
私の家族に会ったら、謝っといてくれない?
バイバイ、みんなッ!」
リ「そんな、自ら命を絶つほど嫌だった?!あと、あの感動の場面を汚すな」
パ「あの超大作を今の人達にもう一度、認識して欲しくて」
リ「馬っ鹿、お前!
こんなよく分からん、誰も見ないような作品で宣伝するには荷が重すぎるからやめておけ!
宣伝するなら同じ位のしょうもない作品にしとけ!」
((おっとぉ?そんなこと言われたら泣いちゃうぞ?あと、他の人の作品は良いが、俺のやつだけはバカにするな!!消すぞ!?))
パ「自己中の塊やん。あの青い監獄のサッカー漫画もドン引きだよ」
リ「そういうことは、結果が出てから言ってください。」
虚空に向かって会話を始めた2人と、キョロキョロと弓を構えた状態で、周りをしきりに見回すコクウ。
コ「なんか、聞こえた気がした」
シ「多分無視でいいと思う」
タ「なんと、適応の速いこと」
レ「聞くだけ無駄」
((うるせぇ、うるせぇ。こんなしょうもないことばっかやってるから、思ったよりも文字数が多くなって、作業時間も増えるんだよ。とっとと物語を進めてくれ))
パ「全部お前のさじ加減やんけ」
目的地へと再度歩き始めた一行。やがて、目的地である森が近づいてきた。
パ「森の中に入るんだっけ?」
シ「入るには入りますが、目標は結構浅い所にいるみたいですよ?」
タ「確か、森の近くを通った人に襲いかかってるとかで、討伐依頼が来てたみたいな感じだったと思う」
コ「あと、確かここら辺に小さな村があったと思います」
シ「村民の誰かが被害にあったのかな?なんにせよ、ここまで山から降りてきた害獣は駆除しないとね」
タ「今はもう夏始まった位だから、個体数はそんなに多くないだろうって、リューソーが言って、、あれ?リューソーどこいった?」
今まで、周りには何も無い見晴らしのいい草原を歩いていたのに、気づかないうちに居なくなっていた。
レ「あぁ、それならさっき、謎の手に画面の裏側に連れて行かれてたよ。あ、そんなこと言ってると、帰ってきた」
何も無かったはずの場所に黒塗りの扉が出現し、そこから、虚ろな目をしたリューソーが出てきた
タ「おぉ、!不自然なくらいの真っ黒な扉〜
リューソー、大丈夫かー?なんかあったー?」
リ「コノ、モノガタリ、セカイイチオモシロイ。」
パ「洗脳されてらぁ」
コ「この物語、怖い」
タ「変なこと言わなければ大丈夫だと思うけどね」
パァンッ!
レイがいきなり手を叩いて、みんなの視線を集める。
レ「みんな、森の中から既に狙われてる。構えて」
シ「それが先程言っていた、神技ですか?結構便利ですね」
リ「うっし!真面目にやっか!」
パ「1匹残らず駆逐してやる」
各々、杖や剣、刀、弓を収納魔法から取り出し、意識を集中させる。
コ「後ろは任せてくださいねー!間違えて撃ち抜いたらすみません!先に謝っときます!」
パ「戦闘終わったら、四角のゲームみたく、体が矢だらけになってたりして」
リ「それなったら、俺らの方だろ、狙われてるの 」
タ「ほら、向こうが攻撃の体勢に入ったから、切り替えて。
あと、2人とも、もう敬語じゃなくていいよ。多分歳も同じくらいだから。てか、多分俺らの方が低いと思うので。」
シ「そう?だったらお言葉に甘えて。」
コホンと、1つ咳払いをするシキ。
シ「じゃあ、行くよ?皆さん!」
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*視点 戦闘時*
熊型の魔獣、体長3m程の巨体が勢いよく、草木の間から一体、飛び出してきた。全身が硬そうな毛で覆われ、人を簡単に殺せそうな鋭利な爪。
20m程あった距離がみるみるうちに詰められる。
レ「まだ森の中に熊が2、3、、4体潜んでるから気をつけて!」
リ「うっしゃ!男なら正面衝突だぁーー!」
パ「おい!話を聞け!まだ森にいるって言われてんだろうが馬鹿野郎がぁぁ!」
レインの忠告を無視し、全速前進で走り出したリューソーと、止めようとしたが止めることのできなかった、パルスが援護するためにリューソーの後に続く。
少ししょんぼりとした表情を見せるレイン。2人を制止しようと差し伸べたまま止められた右手が悲しそうに空に浮かんでいる。
レ「忠告、したのに、、近づいてくるのを、待てば良かったのに、、、」
タ「まぁ、なんか、、そういうことしそうだな、とかは思ってた」
シ「まぁまぁ、森から出てきたやつは僕とコクウの2人で何とかするから、一体ずつ確実に倒してきて!」
タ「ほんとにすみません、初対面で迷惑かけてしまって、、」
シ「いいんだ、そんなのお互い様だからね」
コ「頑張って!」
平謝りするタイトに余裕の穏やかな表情で許すシキと元気に励ますコクウ。
リ「うおぉぉぉぉ!!」
そうこうしているうちに、リューソーが射程圏内へと入った。熊は大きな右腕を振り上げ、鋭利な爪をリューソー目掛けて振り下ろす。リューソーは走る勢いを利用し、左足を強く踏み出し、右斜め下側から剣を振り上げる。
ザンッ!
リューソーは苦もなく、熊の腕を鮮やかに切り落とした。
熊は大きく、低い咆哮をあげるも、左手を振り上げ、次の攻撃に入った。
<瞬間移動>
能力を使い、熊の左腕のやや上に飛んできたパルスが落下の勢いとともに、左腕目掛けて剣を振り下ろす。
ガッ、!
しかし、熊の攻撃の手を止めることはできたが、剣は熊の腕の皮膚に到達もせずに止められた。
パ「硬ぇ」
リ「止めてくれて、あんがとよォ!」
攻撃を止められた熊の隙を見逃さず、リューソーは左肩から剣を大振りで熊の首を切断した。
首を切断した後すぐに、リューソーは横に飛び、パルスは瞬間移動でその場を離れる。首の無くなった、3mの巨体は前のめりに大きな音と、砂埃を立てながら倒れた。
それを皮切りに、森に潜んでいた熊4体が砂埃に紛れて、地面を揺らしながら、次々と突進してきた。
前衛の4人がそれぞれ1体ずつ相手にし、後ろからシキとコクウができる時に必要な所へと支援する。
リューソーは先程同様に、自分目掛けて猛突進してくる熊に自ら走って近づく。
リューソーは熊の攻撃を避けつつ、熊の脇の下へと潜り込ませた剣を一気に振り上げ、熊の腕を切断する。振り上げた剣をそのまま、袈裟のように振り、首を切り落とした。
リ「うーん、まだ戦い足りねぇなあ」
リューソーはまだまだ余裕の様子
タイトは熊の攻撃を刀で受け流しつつ、攻撃の隙を伺っている。熊の攻撃を避けるため、少し離れたところで、タイトと相対する熊にコクウの矢が命中する。が、毛が硬く、皮膚まで届かない。
コ「あー、やっぱり、これだけじゃ無理かぁ」
タイトもリューソー同様に振り上げられた腕を切断しようと刀を振るう。
スドッ!
肉を割くような音が一瞬したが、すぐに鈍い音へと変わった。
少々、刃が熊の腕の肉まで入り込むが、切り落とすには至らない。
タ(硬い)
熊がタイトに噛み付こうと、大きく口を開けて急に顔を近づけてきた。タイトは咄嗟に刀を抜き取り、後ろに飛んで避ける。と、
ヒュン!ドスッ!!
矢が勢い良くの顔に突き刺さった。
コ「命中〜♪」
顔に矢が刺さったことで、怯んだ熊にタイトは風魔法を足から放出させ、一気に近づき、通り過ぎながら、右手を熊の腹の辺りに押し当て、火魔法を最大限放出させ、炎上させる。
ぐぉぉぉぉ!!
火だるまとなった熊は火を消すために、その場で激しくのたうち回る。やがて、起き上がり、タイト目掛けて猛突進を始めた。
タイトは冷静に刀を鞘に収め、正面から構える。やや横に避けながら、刀を首目掛けて、思い切り振り抜き、燃えたことで薄くなった毛、脆くなった皮膚と筋肉を切断した。
レインは突進してくる熊を前に、刀を前の方に出し、中段の構えをとる。
熊は突進の体勢から上体を起こし、腕を強く振り下ろした。
ブゥン!
レインは紙一重で熊の攻撃を避け、体を捻り、刀を腰の辺りまで引き、思い切り刀を突き出す。
レインの刀は熊の心臓に突き刺さり。熊は咆哮をあげる間もなく、絶命した。
<瞬間移動>
パルスは瞬間移動を駆使しながら、熊の噛みつき、引っ掻きに避けながら隙を見て剣で攻撃するも、なかなか通らない。なので、魔法を主軸にパルス立ち回る。
パ「しゃーねぇ。剣は一旦やめだ!」
瞬間移動で避けながら腕を燃やし、足を凍らせて動きを止める。動きを制限され、360°を自在に飛び回る、パルスを追おうと、腕を振り回しながら、周りを見回す熊にパルスは正面から顔目掛けて水魔法を放出する。
視界を閉じたことで、平衡感覚を失ったところに、パルスは瞬間移動で少し離れ、交代で、レインが熊の目の前に立つ。
静かに腕を伸ばし、指を突き立てて
レ「撃て。撃て」
と言い、
パン!パン!
と2発空気の弾丸を熊の顔目掛けて撃ち放ち、弾丸の威力に熊は完全に体勢を崩した。
シ「レイン!離れて!」
シキの言葉を聞き、咄嗟に離脱するレイン。レイン離脱直後に、シキは熊の上空に小さな氷魔法の塊を作り出す。だんだん魔法を外付けして氷の塊の大きさを大きくしていく。
やがて、全長5m程の特大の氷塊を魔法で作り出し、熊に向けて落とした。
シ「ごめんね」
そう、一言だけ言って、
ドォォォン!
氷塊は音を立てて地面に落下した。
ようやく、討伐目標を達成した。
コ「タイトー!やったね!!」
タ「コクウのおかげだよー!」
パ「レイン!ありがとう!もうどうしようかと思ってたよ!」
レ「ううん、私は特に何もしてないよ。お礼ならシキ言って」
パ「シキもありがとう!」
シ「いえいえ、2人が隙を作ってくれたおかげだよ」
という会話を、少し離れたところから羨ましそうに眺めるリューソーであった!
シ「それじゃ、素材剥ぎ取ろう」
タ「そうだね、忘れるところだった」
爪、毛皮、牙、食べられそうな肉片を少し、剥ぎ取って売るといくらかお金になる。
タイトは自分が討伐したやつから剥ぎ取ろうと近づくも、燃やしたせいでほとんど残っていなかった。
他の個体の剥ぎ取りはそれぞれ(シキとコクウは同じ個体で一緒に)行っている。
タ(レイの手伝いでもしよっかな?)
レインを手伝おうと、タイトは振り向くと、意味わからんくらいの速さで剥ぎ取りをしているレインを見て、タイトは諦めた。
暇になったので、ふと、空を見上げた。青空の中をゆっくりと泳ぐ白い雲。
サァー、
少し強めのと気持ちいい風が吹き込む。風の音に合わせ目を閉じ、深呼吸をして、風が止んだ頃合で目を開けて空を見上げた。
タイトのほぼ真上の位置に、小さな鳥が3匹、タイト立ちを中心に旋回をしていた。太陽の位置関係で影となり、よく見ることが出来ないが、
タ(ツバメかなんかかな?)
と、タイトは思っていた。
しばらく見ていると、段々と鳥の高度が下がってきて、実態が大きくなっていく。大きく、さらに大きく、さらに大きく、
タ「おい、おかしいって、ちょまて、待て待て!」
風に巻き上げられた葉が、鳥の方へと飛んでいく。それを基に大きさを概算すると、
タ「体長5m!?」
翼を広げた時の大きさが約7mの化け物でかい鳥もどきが、旋回しながら近づいてくる。嘴が1m、異常に尖り、丸みを帯びた足の爪。ギョロギョロとした可愛げの欠けらも無い、大きな目。
明らかに鳥に分類しては行けないような化け物。
タ「空からなんかやばいのが降りてきた!!」
みんなに報告するタイト。みんなもタイトの言葉に空を見上げる。
リ「フッ、まだまだ子供だな、空からなにか来るくらいいつも通りさ。どれどれ?お兄さんも見てやろう。」
そう言って、リューソーはドヤ顔を見せながら、ゆっくりと空を見上げる。
その瞬間、うざいくらいのドヤ顔が一気に、豹変する。
リ「うわぁ!!なんかやばいのがいるぅぅ!助けてぇ!」
パ「おめぇ、2度と先輩面すんな」
シ「うわぁ、なんかあいつの討伐依頼の任務が前からあった気がする。
報酬は美味しいけど、なかなか降りてこないし、移動はするしで、誰も受けなくなったんだよなー。で、討伐した魔獣とかの肉を攫っていく、僕ら冒険者の目の敵にされてる奴ら」
コ「ちなみに二等星任務だったと思うよー」
パ「なんか、次々に急降下して来てない?」
化け物共の中の1体が米粒程度の大きさから、音速に近い速度で一気に近づいてきた。
シ「みんな伏せて!」
シキ言葉にみんな反射的に体勢を低くした。化け物は地面にぶつかるギリギリの約地上1m付近で、ほぼ直角に方向転換し、タイト達の頭上スレスレを通り過ぎて行く。音速に近いそれは、周りに突風を巻き起こしながら、タイト達が討伐した熊の死体を1つ掻っ攫って行った。
奪って行った後は速度を落とし、余裕と言った感じ飛び去って行く。
リ「あ!あいつ、横取りしていきやがった!まだ剥ぎ取り終わってないやつを!!
おい!!返しやがれ!!」
目標を達成したことで、大空へと帰り悠々と飛ぶ化け鳥に対して、吠えるリューソー。
パ「おい!んな事言ってる場合じゃねえぞぉ!もう1体くるぞ!」
コ「まーた、奪いに来たの?」
リ「もちろん俺らは抵抗するで」
各々、しまっていた武器を取り出し、返り討ちにするために構え始めた。
化け鳥の1体が先程と同様に、音速に近い速度を維持しつつ、地上の約1m付近で方向転換し、一直線に熊の死体目掛けて飛んで行く。その化け鳥と熊の死体の間にリューソーが剣を鞘に収めた状態で構えている。
リ(引き付けて、引き付けて)
リ「イヤン、やっぱ超怖い」
横に飛んで、情けない声を出しながら逃げるリューソー。あまりの速度と化け鳥の剣幕に気圧されたみたいだ。
死体がまた1つ、攫われた。
パ「お前何、ビビってんだよ!?取られちまっただろうが!お前が体張って餌になっとけや!」
リ「そんな、!酷いわ!こんなか弱い乙女に犠牲になれだなんて、、この人間の底辺!!」
パ「ヨシ!○す!絶対に○す!」
そのやり取りをみんなで魅入ってしまったのがいけなかった。
タイトの視界の端で、シキとコクウの後方数十mから化け鳥が既に狙いを定めて、2人目掛けて飛んできているのに気づいた。
タ(間に合え!)
タイトは咄嗟に走り出し、急いで2人に近づく。
タ「2人とも!!」
シ「あ!」
コ「ん?どしたんたん?」
タイトは2人を横方向に勢いよく押して逃がす。シキはとても驚いきながら、2人を押して逃がしたタイトを見つめる。
2人を押したことで、場所が入れ替わり、タイトが捕らえられてしまった。タイトの両肩を足で掴み、宙ぶらりんの状態で飛行する。
タ「うわあぁぁぁぁぁ」
シ「タイト!」
シキは咄嗟に土魔法を幾つか飛ばし、迎撃するも、化け鳥に見ることなく、避けられてしまう。
その間に、化け鳥はゆっくりと逃げながら、上昇を始めた。
リ「ちょ、逃がすかぁ!」
リューソーが走って近づいて、大きく飛ぶ。剣で化け鳥を攻撃しようとするも、
リ「追ーいかけーて、届かない」
ギリギリ届かず、剣は空を切る。
リ「タイト、ごめーん!」
と言い、ゆっくりと落下を始めるリューソー。
レ「ごめん、リューソー、背中借りる」
そう言い、レインがリューソーの背中側から飛び上がって来た。そして、リューソーの背中を踏み台にもう一度飛び、攻撃を試みる。
が、尾に掠りはしたが、致命傷とは行かず、レインは追いつけずに落下する。
シキとコクウは魔法と弓矢で攻撃を開始した。が、やはり当たらない。
シ「どうしよう、あいつどこから物体とか魔法とかが飛んできてるか、見なくてもわかってるやつだ」
コ「鳥でそれできるの強すぎない?てか、どうしよう、タイト、助けたいのに」
遠距離攻撃が効かないため、頭を悩ませる2人。
タ「離し、やがれ!」
刀で攻撃を試みるも、肩を掴まれたせいで可動域が少なく、当たらない。
なので、右足を後ろに上げ、上体を反らし、右足の裏から風魔法を放出しながら、化け鳥の腹の当たりを思い切り蹴りあげる。
ドンッ!
鈍い音が響き、タイト自身も手応えを感じたが、肝心の化け鳥はまるで何も無かったかのように、あいも変わらず飛び続ける。
タ「あかん、これやばいかも」
〜10秒程遡って〜
レインに背中を踏み台にされたリューソーが無事、着地した。
<瞬間移動>
パルスが瞬時にリューソーに近づく。そして、右手の親指をタイトを攫って行った化け鳥に突き立てる。
パ「40?いや、45くらい?6回か、」
何やらブツブツと1人で喋っている。
リ「どしたん?」
パ「おい、リューソー、構えろ。飛ぶぞ」
リ「へ?飛ぶ?構える?」
何がなにやら状況が全く掴めないリューソーの背中にパルスは手を当てる。
<瞬間移動>
パルスはタイトまでの直線距離、能力の限界までリューソーだけを先に移動させる。続いて、自らもリューソーの辺りまで飛ぶ。
リ「う、うわぁぁ!」
パ「何あほ面してんだよ、構えろつってんだろ!」
リ「そんな、人は急には適応できません」
パ「うるせぇ、言い訳言ってねぇで構えとけ!」
<瞬間移動>
もう一度リューソーを飛ばし、パルスと後を追うように飛ぶ。
リ「人使い荒いな」
パ「うっせ!おら、今からあのクソ鳥のちょい上に飛ぶから、飛ばした方の片翼ぶった切れ、反対側は私が切るから」
リ「あいあいs<瞬間移動>
リューソーは剣を右肩に構えた状態で化け鳥の右翼のやや上に飛ばされ、パルスは反対側の左翼のやや上へと飛ぶ。
タ「あかん、これやばいかも」
蹴り上げた状態で悟りを開き始めていたタイト。
リューソーは体を捻り、上空で回転しながら、パルスは剣を上から思い切り振り下ろす。
2人は急に近づいたことで、反応しきれていない化け鳥の両翼をぶった切る。
タ「うおお、なんだ?」
リ「へっ!隊長!助けにぃ、うわぁぁぁぁ!助けてぇぇぇぇぇ!」
タイトの目の前をリューソーらしき何かが落ちてゆく。そして、タイトも化け鳥が翼を失ったことで急降下する。
タ「うわ、どうしよ。死んだかもしれん」
落下しながら再び悟りを開き始めるタイト。
コ「あ!2人が翼を切ってくれたよ!」
シ「めちゃくちゃ素晴らしい!今ならぶち当てれる!」
レ「私も手伝う」
シ「ありがとう!とりあえず、タイトとあの鳥を引き離そう」
レ「わかった!私、風魔法であいつの足切り落とす」
レインは刀を鞘に収め、右手に魔力を込める。タイトには当たらないように落下の速度を予測し、掌を前に突き出すのではなく、人差し指で線を描く様に。風魔法を細長く圧縮させて腕を横に振り、放出する。
魔法は空気を、風を切り裂きながら飛んで行き、予測した通り、化け鳥の足だけを切り落とすことに成功した。
タ「何やら神業の匂い」
以前、落ち続けるタイト。
その間、シキは氷魔法を先端が尖るように、生成、圧縮させ、強度を高める。もっと鋭利に、もっと硬く。
化け鳥とタイトが引き離されたところで氷魔法の作業をやめ、放出する方に注力する。
化け鳥目掛けて狙いを定め、氷魔法放出と同時に速度をあげるため、氷魔法の後ろから風魔法を圧縮させることに集中する。
シ「ここ」
そう言って、反動で後ろに体を持っていかれ、シキの周りで大きな砂埃立てながら、とんでもない速度で放たれた氷魔法は化け鳥に命中、そして貫通して、空の彼方へと消えて行った。
タ「みんな、すごいなぁ。俺なんて、落ちてるだけなのに。鳥のこの足、取れるかな?あ、取れた」
コ「タイトー!助けに来たよー」
突然、やや下の方からコクウがにっこにこの笑顔で手を振りながら近づいて来た。
タ「おぉ!、、え?」
完全な空中でコクウは浮かんでいた。
「物理法則なんぞなんぼのもんじゃい」と言った様子のコクウに、助けて貰える安堵と喜びと、わけも分からない感情が混在し、タイトの思考が一旦止まる。
そんなタイトを気に停めず、落下するタイトに優しく手で触れる。
コ「はい、もう大丈夫!」
勢いよく落下していたはずのタイトが、急にゆっくりと降下を始めた。
タ「おぉ、凄い!なんか、助けて貰ってばかりで悪いなぁ」
コ「なーに言ってんの?先に助けて貰ったのこっちだから、そんなこと気にしないでいーの!」
タ「そう?あ!
あと、助けて貰っといてまだ注文すんのかよって感じでほんとに申し訳無いんだけど、リューソーとパルスも助けて貰える?
多分、2人も落下中でどっかにいると思うから」
パ「私は大丈夫だよー!瞬間移動を連続させて、落下の勢いを殺して降りてるから!」
ゆっくりと降下する2人にパルスが瞬間移動で近づいて来た。パルスは瞬間移動を短い感覚で行い、落下の勢いを殺しつつ降下していた。
タ「おおー!それは良かったくない!リューソーは?!」
パ「あ、、、えへっ!」
タ「えへっ!てなんだよ!?」
ドゴォォン!
タイト達のほぼ真下で大きな音と土煙が立つ。地面に着地し、みんなで事故現場へと向かう。
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事故現場へ到着すると、まだ土煙が立ち込めて、よく見えないでいた。
パ「くっ!あいつは最後まで勇敢な男でした!ですが、こんなところで死ぬなんてッ!」
コ「演技派〜。ほぼわざとでしょ笑」
土煙が落ち着いてきて、ようやく見えてきた。と、思ったら、何やら、くぐもった大きな笑い声が聞こえてきた。
リ「フッハッハッハ!残念だったな!残念なことにこの物語はギャグ寄りなので、こんな状態でも生きてます!残念だったな!!お前たち!特にパルス!!!
ハーハッハッハッハー」
リューソーは頭から地面に突き刺さり、体を真っ直ぐ伸ばしたまま、不動で突き刺さり尽くしていた。
パ「・・・チッ」
リ「今、誰か舌打ちしたな!?誰かほぼ明確だけど」
シ「・・・プッ、アッハハハハ、なんだよ、それ、意味わかんない、フフ、」
想像よりも、大きな声を出して、大笑いするシキ。釣られてみんなも笑い出す。リ「おい、笑ってないで早く抜いてくれ!」
シ「あー、涙出てきた」
コ「こんなに笑ったのいつぶりだろ」
その後、ひとしきり笑った後にみんなでリューソーを引っ張って、収穫した。「うんとこしょー、どっこいしょー」((まだまだリューソーは抜けません。))パ「しゃーない。置いて帰ろ」リ「不法投棄!ダメ!絶対!」タ「自分で自分を物扱いするなよ」
タ「結局、2体持ってかれちゃったね。」
シ「まぁ、こればっかりは時の運だから。仕方ない。代わりにこの鳥を持って帰って売りつけよう」
コ「良い値がつくといいねー」
コクウの言葉に、キリッ!とした表情で急速に振り返るリューソー。
コ「・・・たまたまだから。一緒にしないで」
リ「ふむ!攻撃力の高い言葉だこと!」
シ「ヨシ!それじゃ帰ろっか?」
タ「そうだね!今日は色々とすみません」
シ「いやいや、こっちも色々世話になったから、」
剥ぎ取りも終わって、街までの帰路に着く一行。話しながら帰り、街の出入口が見えたところでリューソーがシキとコクウには聞こえない声で耳打ちしてきた。
リ「なぁ、あいつらうちの隊に誘わね?」
タ「あの2人を?」
リ「あぁ。俺らの探してた魔法使いと遠距離主体の奴らだぜ。もし、あっちがこっちの状況と目的を話して、納得してくれればいいんだが、」
タ「うーん、誘っておいて損はないし、一応誘ってみるか。断られる可能性があるけど」
リ「頼んだぞ、隊長!」
背中をトントンと叩きながらおだてるリューソー。
タイトは満更でもないようで、笑顔を隠せずにいる。
タイトは1度深呼吸して、緊張を抑えようとする。そして、2人の前に立ち、
タ「あの、ちょっといいですか?」
シ「ん?どうしたの?敬語に戻っちゃって」
タ「私たちの最終目標は、魔王を討伐することです。そして、魔法主体、遠距離主体の人を探していました。もし、よろしければ、2人とも私たちの隊に入って貰えないでしょうか?」
シ「魔王、討伐」
コ「すごく大きい目標だね」
リ「だろー?」
タ(笑われるだろうか)
そんなことを考えていたタイトだが、予想とは異なり、シキは真剣に考え、悩んでくれていた。
シ「うーーん、ごめん」
タ「そうか、すまなかった、こんなこと聞いて、」
シ「あー、違う違う。そのごめんじゃなくて、えーっと、タイト達はいつまでこの街にいる予定?」
タ「あー、まだこの街出る予定は今のとこない」
シ「そう、じゃあ、少し考えさせてくれないかな?
決まったら君たちを、まぁ、何とか探し出すから」
タ「うん、わかった!全然、断ってくれても、良くは無いけど、これは2人のことだから、いいからね!」
シ「あはは、悪いね、気を使わせちゃって」
タ「ううん、じゃあ、いい返事を期待して待ってる」
そう言って、タイトとシキは固く握手を交わした。
リ「入ってくれなきゃ、泣きじゃくるからなー」
パ「はい、今、お前のせいで、この隊の株が下がりましたー!」
リ「フッ、・・・誠に申し訳ございませんでした」
パ「よろしい」
レ「私、今回ほぼ空気」
2人の会話を見て、ボソッと、つぶやくレイ。
パ「そんなことないよ!このバカがうるさすぎるだけで、ちゃんと活躍してたから!大丈夫!自信もって」
リ「おいおい、あまり褒めるなよ」
急速に慰めの言葉をかけるパルス。リューソーの言葉は無視するパルスッ!
その後、任務完了の報告をシキと2人で行い、報酬をもらい、素材を換金したところで、シキとコクウと別れた。
リ「仲間になってくれるといいなー」
パ「まぁ、そればっかりはなー。私たち、目標が目標で、世間体というものもあるしなー、難しいかもな」
タ「とりあえず、2人の返事を待とう。俺、しばらくこの街でブラブラしてるから。みんなは自由にしてていいよ」
レ「あ、じゃあ、私もタイトと一緒にこの街見て回りたい」
タ「いいの?」
レ「いいの」
リ「ほーん、じゃあ俺は街の外で特訓でもしとくわ」
パ「じゃあ、わちしはそれに着いていこうかな?」
リ「お?勝負すっか?」
パ「上等だ、返り討ちにしてやる」
明日以降の予定が、決まってないようで決まった。
その後、宿を取り、晩御飯を食べ、タイトはいつものように紙飛行機を飛ばし、就寝した。




