第19話 はじめてのにんむ
/639年6月23日/
2人の仲間が加わって、2日経ったが、声を上げるものは出てこなかった。
朝の8時
いつもの場所でリューソーと朝食をとっていると、別部屋のレイとパルスが後から起きてきた。
2人も朝食をとろうと、注文をして、やがて食事が届いた。リューソーはレイの食事の量に驚きを隠せないでいる。
リ「とんでもねぇくらい食うんだな」
パ「ほんとにね。それなのにこんなに細いなんて、栄養はどこに行ってるんだろうね」
タ「昔からなんだよね〜」
レ「あげないよ?」
リ「もう食べ終わったし、見てるだけでお腹いっぱいなんだが」
んんッ、
とリューソーが咳払いをし、やや真面目な表情をした。
リ「てかさー、流石に魔法主体の遠距離のやつ居なかったらきついだろ。どうするよ?」
パ「もう、お前がなれよ」
リ「俺、この世界で一番の剣士になるのが目標だから、魔法なんて使いたくねぇよ」
パ「はぁ?じゃあお前、魔法使えないんじゃなくて、使わないだけなのかよ!?」
リ「これで四等星まで行ってるので文句は言わせません〜」
バチンッ!
パルスのまぁまぁ強めのビンタが、リューソーの右頬を襲い、清々しい程の快音が鳴り響く。
パ「うぜぇなお前。引っぱたくぞ」
リ「もう、手ぇでちょ/パ「うるせぇ」
バチンッ!
今度は左頬にビンタを食らわせる。
リ「こんな理不尽な世界を変えてみせるッ!」
レ「正直、相手が遠距離だろうが、近づいてしまえばこっちのもんだから、遠距離専門の人はいなくても何とかなるとは思う」
パ「私の神技でも近づけるしね」
リ「遠距離主体の相手からしたら、一直線に向かって近づいてくる集団とか、恐怖そのものだろ」
タ「まぁ、そんなことよりさ、とりあえず今日、何かしらの任務受けてみない?」
パ「だな。そのうち仲間になってくれるやついるだろ。知らんけど」
タイトの発言でとりあえず、任務を受けようと、一行は冒険者協会へ移動した。
時計の針は9時よりも少し前を指している。協会の中は、多くはないが、何人か人は居た。
タ「ほんじゃ、先に受付で登録してくる」
任務を受けるためには、隊の正式な登録を済ませる必要があるため、タイトは受付に行く。
受付人「では、隊の正式な登録を行います。それに伴い、階級を定めさせていただきます。
仲間の加入や脱退があった場合はなるべく早めに報告をお願いします。
只今より、階級を審査いたしますので、少々お待ちください。最後に隊の名前をお聞きしますので、お考えください」
タ「隊の名前?」
受付人「はい。あとから変更は可能ですが、他の方から周知されるため、区別をつけやすくするために、各隊には名前を付けて頂いております」
タ「分かりました」
みんなの元へと早歩きで向かうタイト。
レ「おかえり」
リ「そんな急いでどうした?」
パ「このアホ(リューソー)は人として数えるなって言われた?」
リ「酷ない?」
タ「ギリ違う」
リ「ギリ?」
タイトをチラ見するリューソーをガン無視し、タイトは真面目な表情で話を始めた。
タ「えーっと、今から隊の名前を決めたいと思います。はい、では何にしますか?」
パ「この物語の副題みたいなとこあるから慎重に決めないとな〜」
レ「あと、ちゃんとした名前にしとかないと、もし、仲間に入ろうと思った人がいて、あまりにも変な名前だったら、「入るとこ間違えたかな?」とか言われそう」
タ「難しいね」
少し考え込む4人。
リ「攻略組とかは?」
パ「別作品で使われているので却下」
リ「おぉっ、そんな理由で拒否られるんか」
タ「正直、どんな名前にしても、何かしらに被ったり、似た感じになりそう」
レ「気にするだけ無駄な気がする」
パ「あとから変えられるんなら、とりあえず仮でいいんじゃね?名前の最後に(仮)って付けとこうぜ」
リ「いいなそれ!」
タ「ちゃんとした名前とはどこへやら」
レ「仮だからね、なんでもいいんじゃない?」
リューソーがハッ!と思いついたような表情を見せた。
リ「『魔殺隊』でいこうぜ!」
タ「後ろに刀持った集団が見えるな、その名前」
レ「呼吸で殴られそう」
タ「それはもうどういうこと?」
パ「あの作品の組織名、悪役側への殺意が高過ぎ問題」
リ「絶対に殺すっていう気持ちが見えるよな、
あれ絶対、作者鬼に親殺されてるよ」
レ「題名にも『滅』って入ってるし、刀にも悪鬼滅殺て書いてあるからね。相当なもんだよ。あれ」
タ「何の話だよ」
パ「では、ここで他の作品の主人公側の組織名を言っていこう。
呪術師、攻略組、魔法騎士、防衛隊、勇者一行麦わらの一味、木ノ葉隠れの里、防衛軍、ヒーロー、86、ハンター、公安退魔特異四課、武装探偵社、怪物屋、鬼機関、SSS、消防隊、万事屋、かすかべ防衛隊」
次々と組織名を挙げていくパルス。タ「最後だけ異才を放ってる」パ「メキシコではメキシコ防衛隊になるぜ!」((映画だと、ジャングルが一番好き))リ「聞いてねえ〜」
リ「で、『鬼殺隊』だろ?やっぱ殺意が段違い」
レ「まぁ、政府非公認の組織だからギリ大丈夫みたいなところはある」
パ「そういえばそうだったな。その設定忘れてた」
タ「そんなことより、早く名前決めよ。まだまだ朝早いとはいえ、人が来て、良い任務が無くなるよ?」
リ「そっか、だとしたら早く決めないとな」
また、しばらく考え込む。数分の後、パルスがやや諦めた表情で顔を上げる。
パ「もう(仮)なんだし、『魔王倒し隊(仮)』で良くね?全く思いつかん」
タ「ほんとにそれでいいの?ねぇ、みんなは?」
レ「思いつかない。とりあえず、それで任務受けてもいいんじゃない?」
タ「そ、そんな。リューソー、リューソーは?」
リ「『呪術ハンターヒーロー消防衛けもの万事勇者一行の一味』とかどう!?」
タ「よし、『魔王倒し隊(仮)』で登録してくる」
即座に立ち上がり、受付へ歩き出すタイト。パ「誰が呪術とか使うんだよ笑」リ「結構いい線いってると思ったんだけどなー」パ「本気、だったのか、、、」
隊の名前を決めたことで、受付へと行くと、既に隊の階級が決まって、少しだけ待っている様子。
タ「すみません、少し遅くなりました」
受付人「いえいえ、お気になさらないでください。それではこちらが、隊の証明証となります。審査の結果、階級は五等星と定めさせて頂きました。四等星の任務まで受けることが可能です。
では、隊の名前がお決まりでしたら、お聞きしてもよろしいですか?」
タ「えーっと、仮、ですが、
・・・魔王倒し隊(仮)、です」
やや恥ずかしそうに俯きながら答えるタイト。
今まで明るい声で受け答えをしていた受付人が急に黙り、タイトが恐る恐る顔を上げると、ポカーンとして固まったままの受付人と目が合った。
受付人「・・・え、えーっと、魔王倒し隊(仮)、で、よろしかったですか?」
タ「はい、、、それでお願いします。」
受付人「分かりました。もう一度お伝えしておきますが、後からでも変更は可能なので、いつでも仰ってくださいね」
タ「・・・はい、ほんとにいつもすみません」
受付人の温かく、鋭い優しさがタイトの胸に突き刺さる。正式な登録を全て終え、任務を選んでいるみんなの元へと歩くタイト。
リ「お?登録終わった?今度は暗そうな顔してっけど、またなんかあった?」
タ「隊の名前、答えたら、「こいつ正気か?」みたいな顔された。そんで、あとから変更できるって説明をもう1回された」
パ「ウケる」
タ「誰のせいじゃい」
レ「まぁまぁ、ほら、タイト、良さそうな任務見つけたから、落ち着いてよ」
タ「落ち着いてはいるけどね?あと、それで落ち着くやつあんまり居ないと思う」
レイが差し出してきた任務を見るタイト。
任務階級は四等星。
内容は、体長3m級の熊型魔獣の討伐。街を出て、2時間程歩いた先にこの魔獣の群れがあるらしい。個体数は5体ほど。
タ「お、ちょうど四等星まで受けれるから、これ受けれるよ」
レ「じゃあ、私たちの隊の階級は五等星だったんだね?」タ「そうやで」(`・ω・)bグッ! パ「察しがええなぁ」
リ「これ残ってるの結構運がいいよ。こいつはなぁ、冬だと冬眠ができなかった奴らが冬を越すために、凶暴になるし、個体数も増えるしでかなりやばいんだよな。階級も二等星まで上げられる。
でも、この時期だと、そこまで凶暴じゃないし、個体数も少ないから、報酬としては冬よりも減りはするが、かなり美味しい」
タ「へぇー、そうなんだ。詳しいね?」
リ「伊達に2年以上冒険者やってませんから!」
パ「おー、かっけえ!めちゃくちゃ痛い目見てほしい!」
リ「当たりが強いなぁ。あとめちゃ笑顔なのやめて。ほんとに怖いから」
タ「じゃあ、この任務受領してくるね!」
レ「うん!お願い」
リ「任せたぞぉー」
受付にて
受付人「任務の受領ですね?では、こちらにご自身の名前をご署名ください。」
そう言って、色々な規則や誓約が書かれた同意書のようなものを渡された。内容は以前に冒険者登録をした時に言われたことと同じようなもの。
タイトはサラッとそれらを読み、署名をした。
受付人「ありがとうございます。えー、今、調べたところ、こちらの任務が既に別の隊が受領をしてはいますが、人数が少ないということで、未だに募集をかけている状態です。
任務は先に受領されていた隊との共同となりますが、よろしかったですか?」
タ「はい!大丈夫です!」
タ(ここら辺に多少、土地勘のある人がいた方がいい)
受付人「ありがとうございます。ではこちらの任務、明日の朝9時に街の南側へ10分ほど歩いたところに野原の中に大地の盛り上がりでできた、2つの岩があります。
そこが集合場所となっておりますので、遅れることがありませんようよろしくお願いします。
共同で任務にあたる隊の名前は『昼の双星』です」
タ「了解しました。」
タ(うちと違って名前がかっこいい!
・・・なんか悲しくなってきた)
受付人「それでは、任務頑張ってくださいね!
『死ぬこと以外かすり傷。命は大切に』の精神で行ってらっしゃいませ!」
タ「受領してきたよー。なんか、既に受領してる隊がいたから、共同で任務に行くみたい」
リ「あー、だから残ってたんかー」
タ「なんかダメだった?」
リ「いやいや、別にいいんだ。ただ、共同での任務の場合、報酬は山分けだからさ、こっちの隊と、あっちの隊の二分割で報酬が減るんだよなぁ」
タ&パ「「へぇー、そうなんだ」」
リ「まぁ、いいか!任務決行はいつだ?」
タ「明日の9時に街の南に10分くらい歩いたとこにある岩に集合だって」
リ「あぁ、あそこの岩ね。りょーかーい」
レ「じゃあ、明日まで各自自由だね」
パ「なにすっかなー?タイトとレインは何する?」
タ「うーん、今んとこなんもすることないなー」
レ「私も」
パ「じゃ、みんなで仮想空間で特訓でもするか?」
リ「おー!いいねぇ!やろうぜ!」
パ「リューソー、てめぇは誘ってねぇよ?」
リ「そんな、薄情な!」
その後は、一日中仮想空間に篭もり特訓をした。
タ「リューソーには言ってなかったけど、俺足から魔法出せるんだー」
地面に足をつけたまま、土魔法でちょっとした台地を作るタイト
リ「なんだそれ?!おもろすぎる」
パ「隙あり!」
リ「いてぇ!」
タイトの魔法に夢中になってるリューソーを容赦なく剣の腹の部分で頭を殴る
リ「それは狡くない?今、タイトのやつ見てたじゃん」
パ「隙を見せたお前が悪い」
レ「そう、そしてあなたは、たった今、もう一度死んだ」
気づけば、リューソーの首元に刀を添えているレイ。
リ「なっ!、、、お前、今の今までどこにいたんだ?全く気づかんかったッ!」
特訓の後は食事を取り、宿に身を預けた。宿でリューソーがお風呂に入っている間、タイトは紙飛行機を折っていた。紙飛行機が完成し、今から投げようとしたところでリューソーが浴室から出てきた。
リ「ん?紙飛行機?何してんだ?」
タ「あぁ、気にしないで。これは俺の姉ちゃんが毎日やってたことだから、俺もやろうかなって思ってしてるだけだから」
リ「ほーん、まぁなんでもいいけどよ。風呂、入っていいぜ!」
タ「了解!」
外へと投げた紙飛行機をタイトは見ることなく、浴室へと向かった。ゆらゆらと音もなく揺れながら、落ちることなく暗闇を進み続ける紙飛行機をリューソーは見ていた。
リ「よく飛ぶなぁ」
と、ボソッと一言だけ言って。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
/639年6月24日/
8時30分
朝食を摂り、準備万端の状態で、街の南側の出入口へと立つ4人。タ「朝、ちゃんと食べた?」レ「うん、バッチリ、!」
タ「そんじゃ、そろそろ行こうか」
レ「うん」
リ「よっしゃ!初任務!気合い入れてくぞ!」
パ「リューソーごとぶった切ってやる」
リ「やめちくれ」
と、こんな感じで、馬鹿しながら目的地へと歩く。
やがて、遠くの方にそれっぽい、2つの岩が見えてくる。パ「お?あれだね。多分。」タ「うん。多分あれ」
近づいてみると岩の上に人が10人位は乗れそうなほどの大きな岩となっていた。
リ「あ!てか、共同で任務する、隊の名前ってなんだった?」
タ「もう目的地に近づいてきたのに、今聞く?」
リ「聞くの忘れてた」
タ「えーっと、たしか、、『昼の双星』だったと思う。」
?「あ、!君たちかな?今回、共同で任務を行う隊は、」
そう言って、1人の男が岩の向こうから回って出てきた。
見た感じ、タイトと同い年で身長も、体格もほぼ同じ。髪は、夜の星のような白さで、耳の真ん中らへんで切られている。瞳はどこまでも続く、果てのない大海を連想させるような深い青。
全長が身長程もある、大きな魔法の杖を持つ少年。先端の真ん中には強い魔力を感じる、小さい球体にそれを覆うような半透明の炎を模したような装飾。
美形な顔立ちをしており、全てを包み込むような、優しそうな雰囲気。
?「僕の名前はシキ・アイビー。魔法を主に使うよ!階級は、、四等星。今日はよろしくね」
シキは邪気を一切感じない、柔らかい笑顔で握手をするように手を差し伸べてくる。
?「あれ?もう来たの?」
と、岩の後ろから、女性の声が聞こえてくる。岩の後ろから回ってもう1人、少女が出てきた。
身長はレイよりもやや低いくらい。少年と同じく、煌びやかな白く、ウルフカットの少女。瞳の色はほのかな情熱を感じる淡い赤。
背中に弓矢を担ぎ、手には、弓を引くためか、手袋を身に付けている。
?「私はコクウ・センニチコウ。主に弓矢で戦うよ!階級は同じく、えーっと、、四!よろしくね!」
無邪気で、可愛らしく笑う少女。お似合いと言うべきか。両者ともに整った顔立ち、お互いを尊重し合えるような優しそうな性格。
この出会いはきっと運命だったのだ。誰にも変えることの出来ない、間違いのない、不変で、最初から決められたような、絶対の出会い。
タ「2人とも、よろしく!」
タイトはそう言って、差し伸べられた手に、自分の手を重ねる。
この物語は少しずつ、ゆっくりとそして、確かに加速を始める。




