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#001「もう駄目……」

 目が覚めると見慣れた天井。


 今日も学校か……「もう適当に理由付けて休んでしまおうかな」っと呟いた。


朝はとても陰鬱な気分になる。


理由はよくニュースで報道されている……いじめだ。


 約三年間に渡るいじめにが続いている。あと二ヶ月で卒業式。ここ数ヶ月は特に酷い。クラスメイト達は高校受験で溜まったストレスにより悪化している。あと二日だから頑張ろうと気持ちを切り替える。否、切り替えたと思い込むことしか本当は出来ていない。それでも学校に行く。行かなければならない。


 私は布団から起き上がり制服に着替えて、顔を洗って、歯を磨いて一階にあるリビングに向かった。そしてリビングの扉の前で頬を少し上げ明るい雰囲気を作り扉を開けて、リビングに入る。


「おはよう! 」

「おはよう。あと少しで卒業だけど、学校はどうだ? 」

「楽しいよ。皆優しくしてくれるから」

「そうか」


 話が終わると少し悲しそうな顔をしたお父さんは、仕事に行く時間の為家を出ていった。


 私は物凄く後ろめたく、苦しい気持ちになりながら朝食を食べ始める。実際は正反対で虐められて楽しくなんてない。少し顔を俯いて泣きそうになった。


 すると後ろからお母さんがギューッと抱き締めてきた。虐められてからというもの毎日抱き締められている。すると気持ちが落ち着く。

「お母さんどうかした? 」

「ううん、なんでもないよ。ただこうしたいだけよ」


 お母さんはこういっているけど、本当は気付いているんだろうな。何も聞かずただ抱き締めてくれる。私が話してくれるのを待っているのかなと思うけど言えない。お母さんは恐らく少しでも私の力になろうと抱き締めてくれているのだと思っている。本当に優しいお父さんとお母さんだなと改めて思う。


「ご馳走様。それじゃ学校行ってくるね」


 学校への足取りは相変わらず重く感じる。下を俯きながら歩く。理由は誰かに指を指して笑いながら視られているのでは無いかと、ある筈のない光景目に浮かぶ。逃げ出したい逃げ出したいと何度も思いながら学校の近くまで来ると同じ学校の人達の笑い声が聞こえきて更に悪い方向へ思考が加速していく。

 そして学校の下駄箱に着くと鞄の中にある上靴を取り出す。下駄箱では無く鞄から取る理由は明白で虐めだ。一度だけ、下駄箱の上靴が切り裂かれていたことがあった。それ以来持ち帰るようにしている。私は上靴を履いていると後ろから衝撃があった蹴られたのだ。私はその場で転んでしまう。周囲からくすくすと笑い声が聞こえてくる。

本当に嫌だ怖い。

 私は急いで立ち上がり震える手で上履きを履いて逃げるように走り出したけど、逃げ場所など何処にも無いのだ。教室に逃げても教室には私の虐めている人達が待っている。というか三学年全体がそうだから逃げ場所は無いのだ。他の学年は大丈夫なのでは? と思うだろうけど私が虐められいることが広まっているのだ。それじゃあ職員室はどうか? それも駄目だ。先生が私が虐められている噂を聞きクラスに聞いたのだ。それにより、私は先生に虐められている事を伝えていないのに伝えただろ? と更に虐められた。なので、先生に聞かれても虐められていないの一点張りをするようになった。


 少し走って冷静になると教室に向かって歩き始める。いつもと変わらない日常だけど相変わらず毎日が辛い。何回も、死にたいと思った。でもそれは出来なかった。大切な両親を悲しませたくないから。


 教室に着いて鞄を机の横に掛けて席に座る。すると後ろから「金持ってる? 」と聞かれる。持っているとしか言えない。「……はぃ」と怖くてしっかり声が出ない。震える手で財布を取り出す。ばっと奪われ、札だけ取られ財布を私に向かって放り投げて来た。ふぅーっと思ったけど、大切なお金を取られた。でも返してとも言えない。また泣きそうになり必死に堪える。取られるなら持っていくなと思うでしょ。持って来なかったら、叩かれるのは勿論のこと殴ったり蹴られたりする。


 授業が終わり放課後。ペリトコール……雨の匂いがした。放課後は誰も来ない旧校舎に女生徒に呼び出されていたので行く。窓のない部屋に着くとそこには男子生徒が四人と女生徒が一人居た。見ただけで分かる関わっちゃ駄目な人達だと思った。


 部屋を見渡すと周りには積み重なった机と椅子、体育で使うマット。そしてダンボールの山がある。ダンボールの山の前にカメラと三脚が置いてあった。この部屋は物置として使われているのかと理解する。


「漸くきたわね。 約束のお金頂戴」

「ああ、分かってる」


 男子生徒は女生徒にお金を渡している。女生徒はお金を受け取ると部屋を出て行った。私はなぜ呼ばれたのか分からなくなった。私を呼び出したのは女生徒だったからだ。男子生徒の一人が私に向かって歩き始める。私は無意識に後ろに一歩下がった。


「何逃げようとしてんだ? 」

怒声がして、びくっとして大人しくする。その男が私の手を取り引っ張った。私は身体に力が入っていなかった。その為簡単に男の方に身体が引っ張られて、そのまま男に抱きしめられたのだ。私は小さな悲鳴をあげ鞄を落とした。ガクガクと震える私を抱きしめながら「順番だから、お前達は外に出ていろ」と男が言うのだ。私はその台詞でやっと今から何をされるのかを理解してしまった。私は今から強姦されるのだと、私はとうとう涙が堪えれず涙を流す。もう嫌だ。なんでこうなるのかな。あと少しで卒業だったのに……助けて……たすけてよ誰か……こんなのってないよ。


 男達は部屋の外へ出て行った。

 残ったのは抱き締められる私と抱き締めてくる男だ。男は両手で抱き締めるのを止めて片手で私のリボンを取りボタン取って私の服の中に手を入れながらマットの上に私を押し倒す。

 私は必死に男の身体を押し返そうとしても動かない。それどころか上乗りされて両手を抑えられた。私は必死に暴れまくる。

 私を押さえつけている手を全力で噛んだ。すると男の顔が歪み力が抜けたので、必死に抜け出した。だが男がまた捕まえようと迫ってきた。

 私は取り敢えず全力で足を振り上げた。すると見事に的中したみたいだった。

 私は鞄を拾いながら走ってドア開けると男達が座りながら煙草を吸っていた。

 迷わず走った。男達は驚きながらも追いかけ始めたが旧校舎から私が出ると追い掛けるの止めたのだった。それでも私は乱れた制服のまま走り続け学校の外へ逃げ切り、学校からある程度離れた場所で疲れ果てた。

 私は雨に打たれびしょびしょになり、そしてまた涙が流れ出す。呼吸が乱れながらもゆっくりゆっくり歩いて帰った。




 私は家に着くと玄関にタオルが置いてあったので軽く拭いて涙の跡を隠す為にタオルをかぶり顔を隠して自分の部屋にに向かおうとすると階段を登ろうとするとお母さんが私の方に向かって歩いてくる。


「なに? 」

「少し話でもしようかなってね」


 お母さんは私がかぶっているタオルで髪をしかっかり拭き直して抱き締めてくる。


「学校から連絡が来たのよ。あなたが乱れた制服で旧校舎から傘をささないで走って学校を出るのを見たって。旧校舎の入口には男子生徒が何人も居たそうじゃない? 何があったのかお母さんに教えてくれない? 」

 私は我慢が出来なくなり、お母さんの前で涙を流し、少しずつ……ぽつぽつと喋り始めた。


 お母さんは「ごめんね」って言いながら泣きながら優しく撫でてくれる。悪いのは黙っていた私なのに……心の中で「お母さんありがとう」と思った。


服と着替えを取り風呂に入り疲れを取った。


 風呂から上がり、髪を乾かしてリビングでしっかりお母さんともう一度話をした。


 夜になりお父さんが帰ってきた。お父さんが私の前に来たのだが、今日の出来事がフラッシュバックし呼吸を乱しながら、私は後ろに下がりそのまま自分の部屋に向かって逃げたのだった。お父さんが怖く感じてしまった。私はどうしようもなく自分が嫌いになりそうになった。


 あれから一時間くらい経ち、部屋にお父さんの声がする。

「今日あった事をお母さんから聞いたよ。近付いてごめんな……怖かったよな。また話せる様になったら話そうか」


 私はお父さんの言葉に返事出来ずそのまま一晩泣いていた。


 私は、この日以来、学校へ行かなくなったのだ。


【恐れ入りますが、下記をどうかお願いいたします】


本作をお読みいただきありがとうございます。


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