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プロローグ

初投稿です。

ヒロイックファンタジーものが書きたくてこうなりました。まだプロローグなので話は全然進んでいません。

投稿間隔は多分不定期となります。そもそもちゃんと続くのかすら未定です。でも書くのが楽しい限りは投稿していきたいです。

「死ぬ時には走馬燈が見える」とか言うが、意外とそれは本当らしい。

近頃ずっとニュースで騒がれていた通り魔に心臓に近そうな感じのする場所を刺され、今まさに命の危機に瀕している俺には走馬燈が見えているからだ。

まぁ、でも俺の人生はそこそこ充実した人生だったと思う。

終わりこそあっけなく通り魔に刺されて死ぬ事になったけど、天涯孤独で成人してからも独り身だったけど毎日そこそこしんどくて、毎日そこそこ楽しかった。

当然仕事は楽じゃなかったけど、そこそこの位置に着けたし、大型犬みたいで可愛い後輩も出来た。後輩は俺より要領のいいやつだし、俺がいなくなってもきっと上手く回してくれるだろう。

ペットもいないし、独り身だし、冷蔵庫の食材は昨日の後輩たちとの鍋パで使い尽くしたし、何も思い残す事なく心おきなく死ねる。出来る事ならさっさと意識を失って、痛みから逃れたい。

遠くで救急車のサイレンが鳴っているような気がしたが、それが近付いているのかも分からないまま、本当に俺は意識を失った。



―――ふと、意識が浮上する。

走馬燈まで流しておいて生き残ったのか、と一瞬思ったが、どうやらここは病院ではないらしい。雲の上にある病院なんて聞いた事がないし、実際にあったとしてもベッドもナースコール設備もない病院なんて今時ないだろう。とりあえず目が覚めたなら、と起き上がると、雲の上にある病院くらい実在しなさそうな存在が突然目の前に現れた。

「貴方は14時48分に通り魔に殺害されてお亡くなりになられた東雲龍之介(しののめ りゅうのすけ)さんで合っていますね?」

そんなトンチキな事を聞いてきたのは、水色の髪の毛にピンクの瞳をした羽根が生えた人間のようなものだった。

“人間のようなもの”と評したが、先程の発言も相俟ってとても人間には見えないそのひとは、ニコニコと笑うばかりで状況説明をする気はなさそうだ。多分先程の意図が分からない不気味な質問に俺が答えないと状況は進まないのだろう。

そうですが、と躊躇いがちに答えると、ここは一体どこなのかと聞く前に水色髪の謎の人物が話し出す。

「では、本人確認が取れた事ですし、貴方がどういう風に転生したいのか聞きましょうか。」

「ま、待って下さい、転生ってどういう事ですか!?俺が死んだのは分かりますけど…」

本当に転生ってどういう事なんだ。人間は死んだら地獄に落ちて閻魔様とやらに罪を裁かれるんじゃないのか。それが何だってこんな胡散臭い外見の不気味なやつに会わなきゃならないんだ。そもそもこいつは何なんだよ。話の前にまず1から10まで全部説明してほしい。

「説明とか、ないんでしょうか…」

俺が説明してほしいと言って初めて、水色髪の人物はポンと手を打って説明というものの存在を思い出したかのような反応をした。

「ああ、そう言えば何も説明していませんでしたね。同僚の所は何も説明しなくても何故かすんなり受け入れてくれてたので、てっきり貴方もそうなのかと。」

何の説明もなしにこんな状況をすんなり受け入れられるやつなんていないと思うが、噓を言ってはいなさそうなのでそういうものとしてスルーしよう。いちいち突っ込んでいたら何も始まらないし終わらなさそうだ。


水色髪の人物いわく。ここは死後の世界のようなもので、ここで死んだ誰かとこの水色髪の人物(ミルトンというらしい)と話し合って死後の処遇を決めるらしい。

生前に善い事をたくさんしていれば、よりたくさんの要望が通りやすく。生前に悪い事をたくさんしていれば、より少ない要望しか通らないそうだ。

では俺はどうなのかと言うと、「善くも悪くもないので5つくらいの要望なら聞きましょう。」だそう。どのくらいまでの要望なら通りそうなのか聞いてみると、「世界征服出来るようにしてほしい、くらいまでなら」との事なのでその程度を目安に決めよう。

しかし、目が覚めた時はどうなるかと思ったが、案外どうとでもなるものだ。これもこの異様な状況への慣れなのだろうか。雲の上で動き回るのは未だに不安が残っているものの、それも何とかならなくはない。順応さえ出来るならどんな場所でも生きていけそうだ。

…もし転生する先にゲームみたいな世界が選べるなら、ヒロイックファンタジーの世界なんてどうだろう。幼い頃に憧れた物語の主人公のように、剣と魔法を使いこなして仲間と共に旅が出来たなら、それはとても心踊る事じゃあないか。

出来るようなら早速お願いしようとミルトンに話しかけようとするが、スマホのようなものを見つめて難しい顔をしていたので躊躇してしまう。何か良くない事でもあったのだろうか。もしそうなら今は俺に構ってる場合ではないだろう、そう思って少し離れた場所に座る。

そうして5分程経っただろうか。難しい顔で唸っていたミルトンが俺の方へやってきた。難しい顔そのものは継続中だが、何だか申し訳なさそうにもなっている。何かあったのだろうか。数秒後、ミルトンは言いづらそうに口を開いた。


「大変申し訳ないのですが、龍之介さんにはとある世界へ転生して頂きます。」




ミルトンは男女どっちでもない存在なので、お好きな性別設定でご覧ください。

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