8日目
僕がリビングで人の気配を感じた頃には、もう遅かった。
僕が目覚めた瞬間、僕の目の前には謎のツギハギ男が立っていた。
「どうも、お邪魔してますね。アルくん」
僕が素早く振り向くと、ツギハギ男はにっこりと微笑んだ。
髪型は銀と水色のメッシュ。瞳は黒と水色のオッドアイ。
服装は質素で、茶色のインナーに水色の半袖シャツ。
そして白い長ズボン。足は裸足だが、靴ひもがゆるゆるなスニーカーをはいていた。
ここまでは良い。けど、かなり目につくものがある。
そのツギハギ男は、腕や足に糸が縫われていた。さらに、口もとはチャックされる寸前のところだ。
「……どう、も」
僕は会釈をし、ツギハギ男を警戒する。
「アルくん。そんなに警戒しなくてもいいですよ」
ツギハギ男はゆっくりと僕に近づき、ソファに手を置いて耳元でささやいた。
「だって私は、アルくんの唯一無二の友人で親友じゃないですか」
「お前が、僕……の、友達……?」
僕は目を見開き、驚いているとツギハギ男は『えぇ』と返し、穏やかな笑顔を見せる。
「そうです。アルくんは、よく私のことを直してくれましたよね」
「私はあなたの『お人形』でもあり、それはもう……大切に扱ってくださいました」
その時、僕が見たツギハギ男の顔は生涯忘れないだろう。
「そんなアルくんを、私は好きで仕方がないんです」
歪んだ笑顔に赤く染まる頬。手にはキッチンにあったナイフを持って。
ツギハギ男は、僕の心臓めがけてナイフを放つ。
白いページは、まだ赤に染まらなかった。