43日目
「ふはっ。そっかぁ……。それは、仕方ないなぁ……。仕方のないことだよね……」
「ふふっ、あはは。そうだよ、これはきっと」
「……仕方のないことなんだ」
ライム体がぐにゃりと曲がったかと思うと、ライムの背後には巨大な闇の影を写し出していた。
「やっぱり、皆は僕だけ仲間外れにするんだ。僕が悪い子だから。僕がそうだから……」
「仕方ないんだぁ……きっと」
ライムが不気味に笑ったかと思うと、ライムの影はどんどん大きくなっていき、ライムは僕に手を伸ばしてくる。
「ダメです! 彼に触れたらいけません!」
「……!」
僕が思わずライムに伸ばしそうになった手を、テナーがつかんでくれて僕は正気に戻った。
「アリア様も!」
テナーはライムの手をつかみそうになった、アリアの腕を引っ張っる。けれど、彼女の様子がおかしいのが見てとれた。
「アリア様……?」
「……わたしはここにいる」
「なん、で……!?」
「なぜですか!」
アリアは一呼吸置くと、しっかりとした口調でこう言った。
「あの人は、わたしがいないとダメだもの。あの人にはわたしが必要だから」
その決意ある表情に、僕もテナーも心を打たれた。
「分かっ、た……」
「……分かりました、アリア様。どうか、お気をつけて」
アリアがライムのもとへ行くと、ライムは何やらぶつぶつと呟いていた。
「やだ……。嫌だ……。アリアだけじゃ嫌だ……。もっと、皆で遊ぼう……? そうしたら、僕も皆も幸せになれるんだ!」
「テナー!」
「アルくん!」
手を伸ばそうとしても、届かない。
「……あはっ」
その瞬間、僕たちはこの世界もろとも暗闇へと包まれてしまった。ライムが嬉しそうにしているのも知らずに。




