42日目
ついに本性と本来の姿を取り戻したライムの容姿は、癖のある黒い髪の毛。僕と同じ黒い長袖パーカーに白いズボン。
そして手にまで包帯を巻いていて、肌は僕たちとは少し違う小麦色の肌に、靴下すらはいていない素足。
極めつけは僕と同じオッドアイで、灰色と黄色の瞳を持っている。
何より、灰色の瞳という僕と一緒の瞳を持っているのが、僕に嫌悪感を抱かせた。
僕と髪の毛、肌の色や瞳の色は違うが、ライムと僕はそっくりだった。
「…………」
「ライムにぃさま!」
不愉快そうなテナーとは違い、アリアはとても嬉しそうだ。
そんなことを思っていたら、僕としての体が完全に復活した。ライムが本来の姿を取り戻したからだろうか?
「アルくん!」
「アルトにぃさま……!」
「うわっ……!?」
気がつくと僕はエレジーの部屋にいて、テナーとアリアに抱きつかれていた。
僕は初めて実体でライムの顔を見ると、彼は嫉妬しているように見えた。
「……僕だけ仲間外れにするなんて、酷いなぁ。にいさんは。ねぇ、僕も混ぜてよ」
「アルくん、あいつの声に耳を貸してはいけません!」
テナーは僕をかばうように僕の前に出ると、両手を広げて僕とアリアを守ってくれた。
「酷いなぁ。酷いなぁ……。皆、僕だけ仲間外れにして……。そんなことして楽しい? 僕が嫉妬してて満足なの? にいさん」
「今までのことは謝るよ。本当にごめんなさい……。だから、僕も仲間に入れて……?」
何だか、ライムがかわいそうに見えてきた。それに、僕はライムの気持ちがよく分かる。昔、僕がそうだったみたいに。
「ごめん、ライム……。君の気持ちは、よく分かる……。でも、君は……悪い子、だから……」
「ごめん、なさい……」
僕は、ただ謝ることしかできなかった。




