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41日目

「お、おばさま……」


「エレジー様……」


 エレジーの突然の死に、アリアとテナーは驚きを隠せないでいた。僕もそうだ。他人(ひと)のことは言えないが、身内を殺すだなんて。


 あまりにも残酷すぎる。でも、ライムは僕との状況が違う。


 僕がアリアを殺したのは正当防衛だ。誰に何と言われようとも、この意思は曲げない。


 なのにライムは、まだ何もしていないエレジーを殺した。


 エレジーは僕らを監視していたけれど、それは叔母である立場ゆえだったのではないかと今更ながらに思う。


 それに、エレジーは僕とテナーを殺し合いを提案したが、直接的な危害はほとんど加えなかった。


「なのに、どうして……」


 僕は透明で浮いた体で呟き、僕の体を使っているライムは満足そうに答える。


「それはね、にいさん。テナーとアリアにも言うけど……。さっきのは、ただの暇潰しだよ」


 何てことない顔で平然と言ってみせた彼の表情は、悪魔以外の何者でもない。まさか、ライムが……。


「ふざけるなっ! この悪魔が!」


 考えている一瞬に、テナーが僕の体を操っているライムの胸ぐらを思いっきりつかむ。


「あは。テナー、口の聞き方がなってないなぁ。もう一度あの頃のように戻りたくなかったら、口をつつしむんだな」


「ぐっ……。それでも、私は……。いいや、俺は!」


「俺のご主人はアルトだ! お前のような悪魔じゃない!」


 その言葉を聞いて、ライムは目を見開いてあのひん曲がった笑顔を見せる。


「あっは」


 そして、本来の姿を取り戻した悪魔のような人間……ライムは、口を開いた。


「言うようになってきたじゃないか、テナー」

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