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37日目

「な、何で……。アリア……。生き、て……?」


 僕の頭はパニックで爆発しそうなほどだった。


 それもそうだ。僕はあの時、確実にアリアの心臓と頭を撃ったんだ。なのになんで……。


「わたしはにぃさまの婚約者(フィアンセ)だから、あなたの考えてることはよーく分かるわ。なぜわたしが生きているのか、疑問に思っているのでしょう?」


「う、うん……」


 アリアは一呼吸置くと、さも当然かのようにこう言った。


「それはねぇ、呪術よ」


「呪術……!」


 僕はアリアを睨み付けると、アリアは大げさなリアクションをする。


「にぃさまこわーい。でもそれが事実なの。わたしのような呪術師なら……人体の蘇生(そせい)ほど簡単な物はないわぁ。ちょーっといじくっただけで不死になれるもの」


「そ、それなら……」


 僕が言おうとしたその時だった。


「あたかも私自身を操り、テナーを意のままに操れる……。とでも思っているのかしら、にぃさま? でもざんねーん! ハズレよ!」


 十二歳の年相応にはしゃぐアリアを見て、本来なら微笑ましい雰囲気になるのだが、こんな状況もあって微笑ましいどころかはらわたが煮えたぎってくる。


「アリア……」


「なぁに、にぃさま?」


 僕はそのふつふつと沸き上がる怒りを、アリアに銃を向けて解き放った。


 今度はアリアの腕を狙った。しかし、アリアには痛みすら感じないように思える。


「……あはっ」


 腕を負傷してもなお生き続けるアリアに、僕は恐怖と焦りを覚えた。


「くそっ、くそっ……!」


 今度はアリアの両腕に二発。そして、頭と胸元辺りに一発ぶちかます。


 けど、彼女は死ぬところか笑っていた。けたけた、けたけたと馬鹿にするように。あざ笑うかのように。


 僕は、人生最大の危機を迎え入れようとしていた。

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