22日目
「……くん。起きてください、アルくん」
誰かに揺さぶられている。テナーだろうか?
「アルくん、起きてください。もう朝の十時ですよ」
僕はその時刻を聞いてすばやく起き上がると、テナーはにんまりとした顔を浮かべていた。
「おはようございます、アルくん。あなたの寝顔は最高でしたよ」
「おは、よう……。ん、写真……?」
「えぇ。アルくんが寝てる間にちょっぴり」
テナーはそう言いつつ、スマホを操作してアルバムアプリを開く。
「これのどこが、『ちょっぴり』なの……?」
僕はテナーのスマホを覗きこむと、僕が寝ている写真が五十枚ほど保存されていた。
もうこいつはダメだ。早く警察につきだそう。
「通報していい……?」
「ダメですよ。とにかく、早く朝ごはんを食べてください。ベーコンとスクランブルエッグの炒め物と、ライス。そして野菜ジュースです」
僕はソファから立ち上がると、朝ごはんのいい匂いがした。『美味しい』ご飯を食べるのは久しぶりだ。
「……いただきます」
僕はフォークを使って、スクランブルエッグをじっくりと噛みしめる。
本当ならライスと一緒にかきこみたいが、一口目は我慢する。
にんじんを主に使った野菜ジュースを飲み、僕は『やってはいけない』禁断の食事方法を思いついた。
それを察したのか、テナーが僕を止めようとする。けど、もう遅い。
「ベーコン付き、スクランブルエッグ乗せライス……! 略して、ベーコンエッグライス……!」
「あぁ、アルくん……。ついにやってしまったのですね……」
「うん。美味しい……」
「あああぁ……」
テナーはへたりこみ、僕はベーコンエッグライスをスプーンでかきこむ。
美味しい。ご飯が美味しいのは幸せなことだ。
僕はご飯を食べるのが大好きで、よく怒られたり驚かれたけど、今はそんなの気にしない。
今、僕はとても幸せだ。
日記のページにまた書くことが増えて、僕は幸せと喜びに満ちていた。




