表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/60

13日目

 意識が遠のく。まるで、海の底にいるような感覚だった。


 うまく息ができない。僕は目の先にある光に手を伸ばしたけど、届かなかった。


 僕は暗い海の底へ沈んでいくばかりで、どんどん光も意識も無くなってくる。


 僕はこんなところで死んでしまうんだろうか? 嫌だ、まだ死にたくなんかない。


 でも、暗い部屋に閉じこもっていたときは、死にたいと感じていたときもあった。


 こんな僕を、神様は許してくれるのだろうか?


 真っ暗な部屋で、誰も来ない部屋。


 友達なんて当然いない。だから、僕はいつもぬいぐるみで()()()いた。


 その後のことはあまり覚えていない。


 一瞬だけ、ノイズとともに誰かが浮かび上がった。


 誰かは分からない。名前も分からない。けど、僕に似ていた気がした。


 でも、僕とは髪の毛の色も違う。それに、大人しい僕とは反対の活発で……。


 頭が混乱してきた。僕に弟なんていなかったはずだ。

 そう、()()()()()はずなんだ。


「ぐっ……!?」


 急に頭が痛くなる。耳鳴りも酷い。

 でも、僕は何か大事なことを忘れている気がする。


 それはいったい何なんだろう? ツギハギ男でも、アリアでも、ストーカー女でもない。


「誰だ……? 誰なんだ……!?」


 そのとき、ふっと僕の目の前にその『誰か』が現れた。


 男の子で、髪色と肌の色は違うけど僕にそっくりだった。


「思い出してくれないんだね。僕のこと」


「僕は悲しいよ。ねぇ、にいさん。本当に、何も覚えてないの……?」


 僕がうなずくと、その男の子は悲しげに微笑んだ。


「そっか。じゃあ……仕方ない」


「僕を思い出すまでは、僕に会えない。またね。アルトにいさん」


 男の子は僕を突き放し、暗い闇の底へと沈めさせる。


 新たな日記のページは、黒ずんでいて何が書いてあるのか分からなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ