少年篇(2)
「お兄ちゃんは今日どうして私と遊んでくれたの?」
駄菓子屋で買った10円のガムを3つほど口に突っ込んで歪んだ風船を作っている妹がそう問いかけてきた。
お前が強制してきたからだろ。
まあ、そんなこと言ったらまたギャーギャーうるさいからなぁ。
「今日は足が痛いからサッカーはやめにした。暇で暇で退屈だからお前と遊ぶ気になったんだよ」
「えっ!!お兄ちゃん大丈夫!私と遊んでて痛くないの?早く帰ってお母さんに見せないと!」
「もう治ったって。大袈裟だ」
当たり前だ、仮病なんだから。こんな小さいやつには裏を考えるなんて無理か。気がついてくれないのはくれないでなんか……なんか、イヤだ。
お兄ちゃんってのは大変だ。
「そうなの?じゃ、じゃあ、お兄ちゃんはもうサッカーしに行っちゃうの?」
「今日はお前に付き合って決めたんだ。一緒に遊ぼうぜ」
「うん!遊ぼ!!これからどこ行く?プール?公園?それともゲームセンター?」
「ゲームセンターはお母さんと一緒に行かないと怒られるだろ」
「えーッ!たまにはいいじゃん!!お母さんには内緒で行こうよ!」
「しょうがないなぁ。今日だけ内緒で行くか!」
俺と妹は手を繋いで駄菓子屋を後にした。