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プロローグ
クラスメイトの1人が奇病にかかったという話はクラス中に広まり、学年、学校まで届くこととなった。
病に罹ったのは女の子で、命の危険もあるらしい。
そんな具体性のない噂だけが伝播していた。
同じクラスの人達はそんなクラスメイトのお見舞いに行くことにした。
噂に反して女の子は元気で入院していたが、いつまでたっても退院する話は上がってこない。
初めは週に一回クラスメイトほぼ全員で病院に通った。
彼女は自分の人望を誤認した。
1ヶ月恒例行事が続くと、今度は比較的仲も良いグループのメンバーだけが見舞いに行くようになった。
そして3ヶ月も経つと頻度は少なくなっていき、いつのまにかSNS上でしか会うことができなくなっていった。
クラスはいつまでも彼女を必要としてはいなかった。
テレビの話題の方が彼女の安否よりも重要性を帯びていた。
そして、クラスの半数以上が彼女のことを記憶の片隅に閉じ込め、引き出すことをやめた。
だからこそ、俺は彼女に興味を抱いた。