ゆめ
私は夢をみた。
それは酷く悲しい夢。
いつも通り私はその夢を母に告げる
母はいつも通り
「あなたが夢を見るのは現実に怯えているから」
「少しでも外に出れば夢は見なくなるわ」
と言った。
けれど思う
外に出た所でなにが変わるんだろう、と。
私が見た夢はひどく悲しい夢だけれど
夢の内容が現実に起きたことは一度もない。
ただただ怖いだけ。怖くて母に話しているだけ。
話す人が母以外いないから、というのもあるのかもしれない。
その晩母はいう
「今日は私と一緒に寝ましょう?」
あぁ、またこうなる。
母が自分の恋人を亡くしてからもう1年たつのに
母は恋人の顔に似ているからか私にそう誘うのだ
「わかったわ」
私はそれだけ言うとすぐに寝室にいった。
(ごめんなさい、母さん、私貴方に似て母のことが好きになりそう)
(でも、貴方がいないから悪いんだよ?貴方がいないから母も悲しがって私を布団へ招くの。)
(夢を見たとうそをついた私も悪いけど…)
(仕方ないじゃない、好きな人と寝るにはこうしないといけないんだから)
end