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46.王の取り巻きと戦いました

本日二話目。

「魔王―――なんて汚い事を!?」

「我を魔王呼ばわりとは……失礼にも程があるな。皆の者! 侮辱罪でそいつらを懲らしめなさい!」

「「オー!」」



 王の指示を受けて一層気合を高める騎士達。

 まずいな……

 ここは室内の上、味方も近くにいるから、うかつに強力な攻撃は出せない。

 とはいえ、数で圧倒的にこちらが不利だから言語魔法でも対処できる数に限界がある。

 なかなかやってくれるな、魔王。



 とりあえずこの人間の姿では槍で一刺しされたら即死なので、バハムートに変身しておいた。

 レティダとベスレも本来の悪魔の姿へと戻る。



「ライク様、私が見た所、戦闘力は軽装の人間の方が圧倒的に高いようです。ライク様はその軽装の人間の攻撃を抑えてもらえませんか? 数の多い騎士はこちらで何とかできると思うので」

「そうだな……努力してみる」



 軽装の人間とは言っても、ざっとみて五人はいるからな。

 その五人の攻撃全てを防ぎきるのは少々骨が折れるが、やるしかないか。

 ちなみにその中に俺と同時に召喚された男の方の勇者も混じっている。

 女の方の勇者はこの場にはいないようだ。



「おお、なんとみにくい魔物!? そして強大な力なのだろう!? 皆の者、心してかかれ!」



 その王の言葉と同時に周りを取り囲んでいる騎士達が一斉に襲い掛かってきた。



「ベスレ、いきますよ!」

「はい、隊長!」

「ネルシィ、いくぞ!」

「任せてー!」



 レティダはベスレと組み、バーグはネルシィと組んで、二人一組で戦いに挑んでいった。

 数の上では圧倒的に不利にも関わらず、二組とも見事な連携によってその不利な所を補う。

 むしろ単体では弱い騎士達を徐々にではあるが押し始めている!


 しかし、そこに勇者達の追撃が迫る!



「サンダーボルト!」

「グランドスピア!」

「おりゃあああ!」

「アイスニードル!」

「フレイム!」

「”衝撃波”ー(うげきは)で”しょ”! ”みまもり”ー”み”で”まもり”!」



 一人桁違いの攻撃をする勇者の攻撃だけは直接打ち消し、他はバリアで防ぎきる。

 よし、第一撃は何とかなったな。

 後は―――



「”服”-”ふ”で”く”!」

「うわぁぁぁ!?」

「キャアアア!?」



 俺は勇者達が来ている服を重たい金属へと変化させ、地面にうつ伏せにさせた!

 これでしばらく身動きがとれないだろう。


 勇者達に攻撃をさせないでいるうちに、レティダ達は騎士を倒し切ったようだ。



「ありがとうございます、ライク様。おかげで何とかなりました」

「いや、こちらこそ助かった。勇者の対処だけに集中できたから何とかなった、ありがとう」



 騎士は倒れ、そして勇者達は金属化した服によって身動きがとれない。

 そもそももう抵抗する事を諦めた者もいるほどだ。

 まあここまで人数差があって、この状況だもんな。

 戦いを諦めたくなるのも無理はないだろう。


 だが俺と同時期に召喚された勇者だけは立ち上がった。

 つぐつぐ厄介だな、コイツ。



「くそっ、ドラゴンめ……お前のような奴はいつか倒される運命にあるんだよ!」



 そう言って剣を両手で持ち、向かってくる勇者。

 勇者が剣で俺に直接切りつけようとすると



 ペラッ



 へっ?

 戸惑う勇者。

 剣を当てたはずの勇者。

 だけど実際に当てたものは―――ただの一枚の紙きれだった。


 剣+(し)で”試験”。

 つまり剣を試験用紙に変えておいたのだ。


 残念だったな、勇者。

 ドラゴンがいつかやられる運命にあるのはゲームの中の話だけなんだよ。

 これはゲームではないのだ。

 というかそもそも俺はドラゴンじゃねーしさ。


 決死の一撃が空振りに終わって絶望したのか、勇者は地面に倒れる。

 まあ気が抜けたら金属化した服の重みで地面に倒れるわな。

 というかその状態で俺に走ってきたこいつの身体能力が恐ろしいわ。


 さて、これで周囲の奴らの片はついたから、後は王だけだな。



「くそっ、役立たずどもめ! 何をやっておる!?」

「ふふっ、魔王、これで五対一ですわね? それでもまだ降参はしないと?」

「フフフ、レティダ、言ってくれるじゃないか。お前程度の奴が調子に乗るなよ!? タイムストップ!」

「えっ!? 一体何を―――」



 するとこの場の全体の時が止まった。

 話し声も、そして動きも、全てが停止した。



「ハハハ、俺様とお前達では格が違うのだよ!? 恥を知るがいい! さぁて、どいつからなぶり殺してやるか……」



 そう言って王はゆっくりとレティダの方へと近づいて行った。



「やはり目障りのコイツからだな。コイツは本当使えない奴だった。使えない割に色々と注文をつけてくるから本当イラつかせてくれたもんだ。だが、それもこれでもう終わりだ!」



 王は自身の手を黒いカマのような形状に変え、そしてレティダにカマを振りおろそうとした!



「させるかよ!」



 俺はそんな王の腹を思いっきり蹴り飛ばした。

 すると王は一瞬にして吹き飛び、壁に衝突した!



「フフフ……まさかタイムストップが効かないとは……少々お前をみくびっていたようだ」



 舞い上がる土煙が消えて、王の姿があらわになった時、そこには―――



「分かってはいたが、やはりお前は魔王だったんだな」

「フフ、この姿になるのも久しぶりだな。だが、それでもなお、こんなに傷を負うのか。さすがは龍の身体能力といった所か」



 そうつぶやく、俺がサタンに変身した時と全く同一の姿の魔王がいた。

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