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44.みんなに真実を伝えてみました

本日七話目。

「あっ、おかえり、ライク! 早かったわね!」



 空中都市に到着するとネルシィとバーグが迎えに来てくれた。

 


「ただいま。それよりネルシィ、バーグ、二人にお願いがあるんだが、聞いてもらえるか?」

「ええ、私達で良かったら聞くわよ?」

「ありがとう。俺はこれからみんなに大事な話をしたいと思うんだ。だから人間のみんなを広場に集めてもらえないか?」

「大事な話? 何かあったのか? 多分そこの見慣れない悪魔と関わりがあるんだろうが」

「ああ。結構大きなスクープだと思う。だからこそまだ発表は控えたい」

「そうなのか、分かった。じゃあとにかく広場に人を集めてくるわ。数十分ほどもらってもいいか?」

「ああ、大丈夫だ。よろしく頼む」



 ナミラ町の人達にはナミラ町の住人であるネルシィとバーグからお願いしてもらった方が聞いてもらいやすそうだからな。

 ちなみに悪魔達にはレティダから伝えてもらうことになった。


 俺は人間に変身して、みんなが集まるまで広場でべクタルと一緒にじっと待つ。



「ここ、ライク様が作ったんスか? ウワサには聞いていましたが、まさかこれほどとは……」

「ここの存在をべクタル達は知っていたのか?」

「はい。あくまでウワサ程度ではありますけどね。龍がこの大陸に現れたりしたらやはり注目するッスよね」



 そういえばそうだったな。

 龍は隣の大陸に住む生物で、この大陸にはいないんだっけ。

 そりゃ目立つよな……



「ということは、魔王にもその情報は知れ渡っていると考えた方が良さそうか」

「そうでしょうね。おれよりも魔王様は断然情報収集に長けてますから。そう考えた方がいいかと」



 ですよねー。

 こりゃもうちょっと気を付けて行動するべきだったかな。

 今更遅いけどさ。




 べクタルとしばらく話して時間をつぶす。

 そして人が十分集まった頃を見計らって、俺は広場にある高台に立ち、そしてマイクを使って話し始めた。



「みんな、集まってくれてありがとう。これからついさっき知った事だが、衝撃の事実を俺は知ることになった。それを今からみんなに伝えたいと思う」



 俺の言葉を聞いてざわつき始める住民達。

 何を話すのか、どんな事を話すか予想していたり、色々と気になっているようだ。


 そしてしばらくザワついた後、俺の話を聞こうとみんなが黙り込む。



「では今から発表する。心して聞いてほしい。魔族の王、魔王がいるよな? その魔王が実は俺達人間の王と同一人物だったんだ!」



 すると住民達からどよめきが聞こえる。

 人間達だけでなく、魔族の人達も驚いていることから、魔王が人間の王であることはトップシークレットだったんだろう。



「現に、今まで魔王として活動していたべクタルが証言してくれた。べクタル、みんなに説明を頼む」

「了解ッス、ライク様」



 こうしてべクタルはみんなにべクタル自身と魔王の関係性について話す。

 そして全てを話し終わった後、べクタルは謝罪した。

 

 今までこき使ってしまった魔族の人々に対して。

 さんざん襲って傷つける事になってしまったナミラ町の人々に対して、それぞれにだ。

 

 一部住民から罵声がとんだものの、擁護する声もあり、しばらくするとみんな思う所はあるものの、落ち着きを取り戻した。



「そんな訳でべクタルは行き場を失ってしまったんだ。みんな、べクタルを受け入れてはもらえないだろうか?」



 住民のみんなの意見は様々だった。

 賛成意見だけでなく、当然反対意見もあった。

 だけど話し合いを続けた結果、べクタルは空中都市に受け入れられることになる!



 発表会が終わり、解散していく住民の人達。

 するとネルシィとバーグが俺の元へ近寄ってきた。



「ライク、あなたの事だから王を懲らしめに行くんでしょう?」

「ああ、よく分かったな。でもこのままじゃ……」

「ライクが悪者になる、だろ? 分かってる。だからこそ、ここは俺達に任せるんだ」

「バーグ達に?」

「ああ。俺達が地上の人達にさっきの情報を流してくるよ。そして王への不信感を煽るんだ」

「元々王に不満を持っている人は多いわ。だからそうするだけで、きっと王はいつかは王でいられなくなる」



 ネルシィとバーグもウワサから攻めた方がいいと思っているようだ。

 でも確かに直接手を出せない以上、そうした方が良さそうだよな。



「俺も手伝うよ。地上に降りる為には誰か飛べる人が必要だろ?」

「確かにそうね。でも、いいの? 手伝わせちゃって?」

「ああ。どうせやる事もないし、ちょうどいいさ」

「そうなのか。なら一緒に頑張ろうな、ライク!」



 こうして俺はネルシィとバーグと一緒にウワサを広める工作をすることになった。

 だけど今日は色々あって疲れたので、一回部屋に戻って休むことに。




 そして翌朝―――



「みんな、準備はいいか?」

「ええ、いつでも大丈夫よ!」

「もちろんだ!」

「私も大丈夫です」

「あっしも平気っすよ!」



 バハムートに変身した俺の背中にはネルシィとバーグ、それに何故かレティダとベスレも乗っていた。



「どうしてレティダやベスレまで乗っているんだよ?」

「えっ? だってワクワクするじゃないですか? ウワサを流すなんて」

「あの魔王を何とかできるかもしれない一大プロジェクトっすからね。参加しない訳にはいかないっすよ」

「でもそんなこと言っても、二人とも悪魔だし、人間の町には入れないんじゃ?」

「そこは問題ありません。私もベスレも変身魔法には自信がありますので」



 えっ、そうだったの?

 そんな事初めて聞いたんだけど?

 ま、まあそういう事なら別に手伝ってもらっても大丈夫か。


 

 俺は四人を乗せて、まずは近くのナミラ町へと向かった。

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