表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/47

42.魔王(?)に出会いました

本日五話目。

「あっ、見えました! あそこが魔王城ですよ!」



 しばらく飛んでいると、漆黒の城が見えてきた。

 どうやらそこが魔王城のようだ。



「それにしてもライク様、速いですね……まさかここまで来るのに三分もかからないなんて」

「ああ、ちょっと飛ばしすぎたか? 悪かったな」

「いえ、ここまで速く飛んで空を移動出来るなんて新鮮な体験でした。ありがとうございます」



 レティダと一緒に飛んでも良かったのだが、急いだ方がいいとおもったので、俺がレティダを乗せて全力で飛んで行ったのだ。

 結構な風圧がかかっていたと思うんだが、泣き言一つ言わないのはさすがは魔族の幹部と言った所だろうか。



 魔王城の近くを飛んでいると城の方から黒い塊がこちらに近付いてくるのが見えた。



「来ましたね……魔王軍!」

「魔王軍か……それにしても何かレティダ達の部隊よりも断然数が多くないか!?」

「私達の部隊は遊撃が主の部隊ですから、数は多くないんです。ここはもちろん本拠地ですから、そこに割く人員は相当なものですよ! ささっ、ライク様、ここは一発すごいものをお願いします!」



 まあそりゃそうだわな。

 攻めに人員を割いて守りが手薄な構成なんて少数派だろう。

 数の上ではこちらが圧倒的に不利。

 つまり、ここは射程に入っている間に殲滅するしかないな。

 


 俺は身体中のエネルギーを口元に集め、そして―――



 チュドーン!!!



 俺は黒い塊に向かってブレスを放った。

 すると黒い塊ごと地面に移動する。

 というより、落下していくと言った方が正しいだろうか?



 魔物の大群を殲滅した後もブレスの勢いは衰えることを知らない。

 そのまま魔王城へと着弾し、そして、城ごと吹き飛ばしていった!?



「あっ、やべぇ、やり過ぎたかもしんない……」



 先程まで城があったはずの場所には大きな穴が開いているだけで、建物は跡形もなくなっていた。

 だがレティダには戸惑う様子が見られない。



「さすがはライク様です! これで他の魔物達もようやくライク様の偉大さが伝わるでしょう!」

「えっ? 偉大さって……俺、多分魔族を大量虐殺しちまったんだけど? 多分これ恨まれるだろ?」

「いえ、そんな事にはならないですよ。私達の命の元、コアはこの城にはありませんから何の問題もありません! まあ、ここまでやられたら、しばらく実体化はできないでしょうけどね」



 へぇ。

 命の元が無事だから死んではいないということか。

 ちょっと肩の荷が下りたわ。



「あっ、あそこにいるの、もしかして魔王じゃないですか!?」



 レティダが指差すその先を見ると、確かにそこには俺がサタン変身した姿そっくりの奴が地上にいる様子が見えた。



 バハムートのブレスを受けても平然としているなんて、流石は魔王だな。

 とりあえず俺は魔王の近くに降り立つ事にした。



 魔王の近くに着地した俺。

 すると魔王は身体をブルブル震わせている。

 あまりの惨状を見て、怒り心頭といった所だろうか?

 急に攻撃が来ることを警戒し、俺は身構える。



 だが、その後も状況に変化はなく、しばらく沈黙がこの場を包み込む。



 なんだ?

 来るなら早く来いよ。

 俺、こういう駆け引き苦手なんだけど……



 すると見るに見かねたのか、俺の背後からレティダがついに口火をきる。



「おい、魔王! ライク様の力を見ただろ? 謝るなら今のうちだぞ!? 何とか言ったらどうだ? あぁ?」



 レティダさん、口悪すぎ!

 というか、挑発し過ぎだろ!

 いくら何でも煽りすぎだから!


 いつ攻撃が飛んできてもおかしくない。

 俺はさらに警戒を強め、魔王と対峙する。


 するとついに魔王が体を動かし、そして俺の方にそっと近付いてきて―――




「本当今まで悪事を働いていてすいませんでしたですから何とか許してくださいお願いします何でもしますからもうこれ以上ここを荒らさないで下さい本当どんな事でも何でもあなた様の命に従います例えあなたの足をペロペロなめろと仰ればその通りに致しますし犬になれと言えば全力でワンワン吠えて差し上げますからですから命だけは―――」



 そうひたすら早口に言葉を言っては何度も土下座を繰り返し、魔王の頭が地面にその度にめり込んでいった……



「い、いや、もういいから!別に戦う気がない相手を追い詰めるほど俺は戦闘狂じゃねえよ!?」

「ほ、本当でございましゅでしょうかぁあ!?」

「ほ、本当だから……って何だよ、その顔!? 顔拭けよ!?」

「ああ、何という素晴らしきお言葉!? ありがとうございますぅぅ!」




 涙、鼻水、よだれなどで顔をぐしゃぐしゃにする魔王。

 何ていう姿してくれてるんだ。

 これじゃ魔王の名が泣くぞ?

 というか、レティダの冷酷な魔王イメージはどこ行ったんだ、一体?



「レティダ、何かお前から聞いていた魔王のイメージと全く違うんだが……」

「確かにそうですね。何かがおかしい。この魔力反応―――この人は魔王ではないですね。もしかして、ベクタル!?」

「そ、そうです。よく分かりましたねレティダさん」



 すると魔王の格好をしたベクタルという奴は姿を変え、レティダと同じような悪魔へと姿を変えた。



「やっぱり! でもだとしたら本物の魔王はどこに―――? ベクタル、あなたの知ってることを話してくれる?」

「あっ……でもそれを話したら魔王様から……」

「ベクタル、一刻も早く情報が欲しいんだ。頼むからお前の知っている情報を教えてくれないか? お前だけが頼りなんだ」

「えっ、おれだけが頼り……? であれば喜んでお話しますとも! ええ! 魔王なんてもうどうでも良くなってきたってんだ!」



 ベクタル、言葉遣いがコロコロ変わるし、いまいちつかみ所のない奴だな。

 まあ協力してくれそうだし、良しとするか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ