表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/47

4.一気に色々と生み出してみました

 結局今日一日かけて三軒家を建てるつもりだったらしいので、今日の仕事は終わってしまった。

 俺が作った三軒の家に住むことになった人達は家を見て驚いていたな。

 でも喜んでいた。


 喜んでもらえているのなら俺としても作った甲斐があるってもんだ。

 ちなみにもう一軒自分用に家を建てておいた。

 ハス+(う)で”ハウス”。

 こういう感じでな。


 もちろん自分用の家を建ててもいい場所をバーグに教えてもらってから家を建てることにした。

 建てていい場所悪い場所があるだろうからな。


 俺が家を一瞬で建てている様子を見たバーグは相変わらず腰が抜けそうになっていたが、何とか耐え切ったようだ。


 こうして異世界に来て早々、俺はまさかのマイホームを入手する事ができたのだった。



 やる事もなかったので、家に入ってから俺は必要な物を取り揃えることにした。


 まず、元の世界と同じ生活をするには電気が必要不可欠だ。

 なので自家発電機と蓄電器、電気コードを各部屋に設置する。

 そして冷蔵庫や洗濯機、電子レンジなども完備。

 貯水施設、水道管も作って家のライフラインは完璧。

 貯水槽内で水を発生させてあらかじめ水を貯めておくのも忘れない。

 あっ、ちなみにオール電化なのでガスはいらないです。


 後はずっと寝巻きでは嫌なので何種類か服を作って、着替えておいた。

 クローゼットやハンガーを作り、服のストックは作っておく。

 後は日常で使うソファーに机、タンスに観葉植物。

 そしてくつろぐためにポテチにジュース。

 うん、完璧だな。



 さすがに色々とやろうとするとワードが足らなくなるので、別の言い方にしたり、それでもダメな時は時間を置いてからワードを使う事にした。

 一時間待てばワードは再使用できるから、日常生活では全然惜しげも無くワードを使えるよな。



 しばらく快適な暮らしを作る為に頑張っていると、ドアをトントン叩く音が聞こえた。

 俺はドアの方へ行って開けた。



「夕食の時間だよ! って、ライク、その格好どうしたの!?」

「ああ、ちょっと着替えてみた。変か?」

「変わった服だけど……ってそうじゃないよ! まあ家を一瞬で建てるほどだし、何が起きてもおかしくないか。それより、早く食堂に行こうよ。あたし、お腹空いちゃった!」



 お腹空く?

 ああ、そういえばいつの間に外が暗くなっていたな。

 電気つけていたから気付かなかったわ。


 ネルシィと外へ出ると、大勢の人がどこか遠くに走り去っていく様子が見えた。



「あの人達はどうしたんだ?」

「ライクの家を見に来たんだよ。火を使わないで明るくできるなんて珍しいから」



 なるほど。

 この世界では電気が普及していないのか。

 そりゃ初めて見る人は不思議に思うだろうな。



 俺はネルシィと話しながら食堂で夕食をとり、そしてまたネルシィと話しながら家に帰って別れ、寝た。

 うん、何だかんだで充実した一日だったわ。




 翌日。

 カーテンから漏れ出る朝日を浴びて、俺は目が覚めた。


 うーん、いい朝だな。

 俺はそう思いながらカーテンを開けた。


 ジーッ


 うっ、なんだこの視線。

 軽く数十人はいるかという人々の目線を俺は浴びる事になった。

 もしかしてこの人達、寝ないでこの家の事を見ていたのか?



 トントントン。



 またドアを叩く音だ。

 今度は誰なんだろうな?

 俺はドアの方へ向かい、ドアを開ける。



「あっ、ライク。大変なの。大勢の人が自分にもライクに家を作って欲しいって言うの!」

「そうなのか? だから俺の家の前にこんなに人が集まっているのか……」

「そうみたい。昨日ライクに作ってもらった家の出来が評判になってね。口コミでどんどん情報が広がったみたいなの……」



 そういう事だったのか。

 俺が作った家を気に入ってくれたのは嬉しいのだが、まさかこんな事になるとは。

 口コミ、恐るべし。



「結構な人数なんだけど、ライク、お願い出来たりする? 作らないと不公平みたいな声が出てきちゃってるから困ってるの」



 まあ確かにな。

 人によって割り当てられる家の質が違うというのもおかしな話か。

 不平不満がでてもおかしくないだろう。



「分かった。時間がかかるかもしれないけど、頑張ってみるよ」

「本当!? 助かるわ!」



 こうして俺は家作りを始めた。

 ここから連日、俺は家作りに追われることになる。

 できるだけのワードを使って家を作り、一時間休んで、また作る。

 ひたすらこの繰り返しだった。


 まあ家自体は一瞬で出来るし、魔力を使う訳だから全然疲れないんだけど。

 むしろ一時間も時間を開けないといけないことが暇で苦痛だった。

 そこで暇な時間を使って家に使わないワードを使って他の物を生み出す事にした。

 花壇とか街路樹とか、町を彩るものをな。

 あと荒れた地面にレンガを敷いたり。



 すると数日後には……


「本当、ライクってスゴイね。もうここが魔王軍に壊された町だとは思えないよ……」


 思わずネルシィがそうつぶやく。


 うん、俺も結構頑張ったと思う。


 まず、床に行かれているレンガの道。

 今までの床は焼け跡や汚れが目立っていたからそこはもう全て作り変えちゃいました。

 これだけでもだいぶ印象が変わるな。


 次に、等間隔に並ぶ一軒家。

 コンクリートの家もあれば木造家屋があったりデザインにバラつきがあるのはご愛嬌だが、どれもなかなかの出来の家だと思う。

 簡易住宅とは大違いだろう。


 そして極め付けは町を彩る花や木々などの植物。

 所々にカラフルな花を植えておいたので、今までのような殺風景さがなくなった。

 自然豊かなになったので、何となく癒されるというか、目の保養になるというか、落ち着くよな。

 ちなみに落ち着いて休むための広場も作っておいた。

 中央に噴水を配置し、周囲に花壇、そしてベンチ。

 町の人々からの評判も上々だ。


 町に大きな菜園スペースを作り、そこに食べ物の株を生み出して植えていった。

 すぐに食べられるものだけでなく、将来収穫できるものもあった方がいいからな。


 こうしてこの町は一気に復興を遂げたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ