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37/47

37.ちょっとやりすぎてしまったようです

本日二話目。

 ウィンリーが見張っているからか、ライダスの動きは俊敏だった。

 というか、やれば出来るじゃん、ライダス。

 今まで手を抜いていたのか?



「ほらっ、よそ見しない!」

「ヒィィィ!?」



 ライダスの精神的疲労は物凄い事になっていそうだが……。

 まあライダスのことだし、大丈夫だろう、多分。



「ライク。この上空にいるみたいよ」



 ウィンリーが指差した方を見てみる。

 だが、そこには何も見当たらない。



「誰もいないように見えるが?」

「まあ普通は見えないわよね。時の風!」



 そうウィンリーが言うと、途端に上空にある生物の姿があらわになった。



「あれは―――鷲?」

「ええ。疾速のスナイパーとも言われているヤツよ。彼はスピードを売りにしていて、誰も彼には追いつけないの。今は私が彼の動きを止めているからようやく見えるって感じね」



 へぇ、それは凄いな。

 というかウィンリー、何気に動きを止めるとかチート技使ってるし。

 さすがは五獣魔だな。



「ごめん、もう持たない……襲われると思うからライダス、守りはお願い」

「ああ、任せろ!」



 ウィンリーの魔法が解けると同時に鷲の姿が消えた。

 すると途端にゴツンとライダスが張ったバリアにぶつかる音が響く!



「おおっ、本当に一瞬で移動しちまうんだな」

「あっ、あれは……みんな、気を付けて!」



 ウィンリーが見ている方向を見ると、そこには竜巻が発生していた。

 もしかしてあの鷲がこの竜巻を起こしているのか?



「何とかして止めるわよ! ウィンドカッター!」

「サンダーボルト!」



 ウィンリーとライダスが攻撃を繰り出す。

 だが、その攻撃も竜巻に飲み込まれてしまう!

 二人は頑張って止めようとするのだが、一向に竜巻の勢いはとどまる所を知らない。

 竜巻はみるみるうちに巨大化していき、次第に周囲の物を巻き込み始める!



「ここは一旦引くわよ。相手が悪すぎる」

「そ、そうだそうだ! ライク様、早く逃げないか?」



 普通だったら逃げる一択だろう。

 だけど実はこれは好機だ。

 竜巻を活性化させようと今の鷲は竜巻の中央に陣取っている。

 つまり、そこを狙えば……



「ライク、何をしているの?」

「ライク様、まさか……」



 俺はサタンの体内に含まれるありったけの魔力を手の平に集める。

 すると手には黒く渦巻く邪悪なエネルギーの塊が発生した!

 そのエネルギーを一点に凝縮し、そしてそれを竜巻の中央部に全力をもって放った!



「ピギャァァァ!?」



 エネルギー弾は竜巻を切り裂き、そしてそのまま中央にいるであろう鷲にクリーンヒットした!


 鷲はエネルギー弾の勢いに押され、そのまま何百メートルも先の壁に体をぶつけることとなる。



 俺はバハムートの姿になり、鷲の様子を見に行った。

 だが鷲がいたであろう場所を見ても、何も見当たらない。

 もしかして逃げられたのか?



「ハア……ハア……龍のライクって移動するの早いわね。それより、早く鷲を呼び出してあげないの?」

「それがな……どこにも鷲の姿が見当たらないんだ」

「そんなの当たり前じゃない。あんなエネルギーの塊をぶつけられたら跡形もなくなるに決まってるわよ!」



 あっ、そういう事なんですか……

 てっきり逃げられたのだと思ったんだが。

 とにかく、そういうことなら早く呼び出してあげないと。



「えっと……出でよ、疾鷲ファス!」



 そう念じると、俺の目の前には鷲が現れた。



「……我が主よ。我はそんなに悪い事をしたのでしょうか……?」



 現れた鷲は、泣いていた。



「い、いや、本当ゴメン! でもこうするしか思い浮かばなかったんだって!」



 俺は事情を話すことで何とか鷲のファスをなだめることができた。

 というかコイツ、泣き虫すぎるだろ……



「ということは、我は何も悪くないのだな?」

「ああ、そうだ。ファスは何も悪くないぞ。悪いのはファスを召喚した奴なんだよ」

「そうなのか。おのれ、魔王め……」

「えっ、魔王?」

「ああ。我は魔王の意図によってここに呼び出された。小細工はしているようだが我の目は誤魔化せんぞ……!」



 えっ、犯人は魔王なの?

 そんなの初めて聞いたんだけど……



「魔王め、我をこんなに酷い目にあわせおって……絶対に許さんぞ!」



 い、いや、そんなに怒らなくても!?

 それに酷い目にあわせたのは俺な訳だし!



「ファスったら、ちょっと正気を失っているみたいね。妄言まで吐き出しているし、酷いわね」

「本当すいませんでした」

「いや、でもあのファスを仕留めるにはああしないと逃げられるし、仕方ないわよ。後はライダスが何とかしてくれるでしょう」



 そう言うとウィンリーはライダスを指差した。

 するとライダスがそっとファスの元へ近付いているのが分かる。



「ファス、お前の気持ちも分かるが、周りをよく見ろ。ライク様がお困りになっているだろう?」

「あっ……つい、我を忘れていた。すまないな、我が主よ」



 ナイス、ライダス!

 ライダスの一言で一気にファスが正気に戻ったようだ。

 本当、助かったわ。



「とりあえずお前は頭を冷やした方がいい。一度ネフターヌに戻ったらどうだ?」

「……そうだな。ライク様のお役に立てるまで、頭を冷やしてくるとしよう」



 そう言ったファスは姿を消した。

 多分ネフターヌに帰ったんだろう。


 これでファスの従属も終わって、残る五獣魔はあと一人か。



「ライダス、最後の五獣魔の居場所は分かるか?」

「ある程度の場所は分かるが……とてもいけそうにないんだよな」

「行けそうにない? 何か事情があるのか?」

「ああ。なんて言ったって、ソイツがいる場所は海の中だ」



 ああ、なるほどな。

 確かに虎のライダスじゃ海の中に潜れないか。

 なら今回はライダスに道案内してもらう事は出来なさそうだな。

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