25.役割分担をしました
「王位継承祭は二部構成になっている。第一部は世界縦断レース、第二部は決闘大会だ」
「それぞれの部門で順位別にポイントが割り振られます。合計点が一番高いチームが優勝します。そのチームの中の龍族が次期王となるのです」
なるほどな。
龍以外の種族も祭には参加できるが、王になるのは龍ってことか。
龍の王だから当然だよな。
「つまり理想は、俺達のチームが勝って、テルサムを王にすればいいってことですね?」
「ああ、その認識で構わない」
「分かりました。勝算はあるのか、テルサム?」
「レースで逃げ切れれば、いけなくもないかもです……」
「レースで逃げ切る? 決闘大会はどうしたんだ?」
俺がそう聞くと、赤龍達はみんな顔をふせている。
それってまさか……
「決闘大会に強い奴がいないって事か?」
「はい、そうなんです。ぼく達の決闘大会でのエースはハシクです。ハシクはぼく達の中では強いのですが、他の龍の代表のウワサによれば強さが桁違いみたいなので、上位に入るのは厳しいかと」
「なるほどな……」
俺が焼き払ってしまった赤龍の中にいた一人がエースか。
確かにそれでは心許ないよな。
「決闘大会での実力者不在。そこを俺に埋めて欲しいって訳ですか?」
「ああ、その通りだ。全く関係のなかったライクさんを巻き込んでしまってすまない」
「いや、いいんですよ。いい暇つぶしにもなるでしょうし」
どちらにしろ三日間は人間に戻れないし、空中都市だと居場所があまりなかったからな。
もう事情もだいぶ聞いちまったことだし、後にはひけないだろう。
「赤龍からの参加者はテルサム、ハシク、俺ということでしょうか?」
「ああ、そうなるだろうな」
「分かりました。じゃあリーダー、作戦を頼んだぞ」
そう言って俺はテルサムの背中をポンとたたいた。
「えっ!? 何でぼくがリーダーなんですか!? ライク様の方が適任ですよ!?」
「未来の王様が何言ってるんだよ。王子様ならたった二人位は導いてくれないと。テルサムの指示で動くからさ」
「そうだな。ライクさんの言う通り、それ位は出来ないとな。テルサム、しっかりやるんだぞ」
「お父様まで!? そんなぁ……」
がっくりとうなだれるテルサム。
確かにコイツがリーダーでは心許ないよな……
でもここで頑張ってもらわないと、チームは勝てないだろうし、頑張れよ、テルサム。
他の龍が勝って空中都市に龍が襲いかかってくるなんて展開はカンベンだからな。
それからは俺とテルサムとハシクの三人で小部屋に集まり、作戦会議をする事にした。
どうやら王位継承祭は明日あるらしい。
急すぎるよな、おい。
だからこそ急いでいたんだろうけど。
「で、リーダー。作戦はどうなんだ?」
「そうですね。先程もお伝えした通り、勝つにはレースで逃げ切るしかないです。ぼくとハシクは戦闘が得意な訳ではないですし……」
「なるほどな。テルサムとハシクはレースは得意なのか?」
「ぼくは飛ぶ速さだけには自信がありますよ」
「おいらもあまり遅くはないと思うっす」
「そうなのか。なら最初のレースは安泰といった所か?」
「いえ、そうもいかないんです。このレースには妨害は付き物なので、速く飛べるからといって上位になれるとは限らないんです」
なるほどな……
どんなに速く飛べても、妨害に弱いんじゃダメだということか。
「だとすると、ただみんなで速くゴールを目指すだけじゃダメなんだな」
「そういう事です。速くゴールを目指す者、他チームからの妨害を防ぐ者、妨害を仕掛ける者など役割分担が大事になりますね」
「なるほど。一チーム三人だし、ちょうどそれぞれ分担するのが良さそうだな」
「そうっすね。どう分担します?」
分担か……
チーム全員が比較的得意な所に配置した方が良いよな。
となれば。
「まずテルサムが速くゴールを目指す役の方がいいだろうな。うちのリーダーでかつエースだしな」
「えっ、何言ってるんですか、ライク様!? エースはライク様ですからこの役割はライク様の方が―――」
「その役割を俺がやったとして、お前ら二人は速くゴールできるか?その役割をやることになったら俺、テルサム達のサポートなんて出来ないぞ?」
「あっ、そういえばそうですよね……それは困ります」
ゴールを目指すことに全力だと、後ろにいる仲間を守るだとかする余裕がないだろうからな。
レースのエースって何かと融通が利きにくいのかもしれない。
「だからこそお前がエースだ。お前は前を向いて進めばいい。後ろから俺がサポートしておくから」
「ライク様……」
結局、エースはテルサム、妨害阻止役はハシク、妨害役が俺になった。
テルサムとハシクが前に出て、俺が他のチームを行かせないよう徹底的に妨害すると感じの計画だ。
計画がうまくいけばテルサムとハシクが一位、二位になるし、ポイント的にも十分だろう。
果たしてそれがうまくいくのか?
話し合いが終わった俺は、緊張しつつも、その日は割り当てられた部屋で早めに休む事にした。




