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24.龍の王と話してみました

「おお、テルサム、心配していたぞ! ん? その者は何者だ?」



 城の中を進んでいき、王の間に到着した俺達。

 そして現在、部屋の中心で俺達と王は向かい合っている。

 王はテルサム達よりも一回り大きな体をしていて、威厳があるな。



「ライク様です、お父様。ぼくが困っている所を助けて下さったんです!」

「おお、それはそれは。息子が迷惑をかけましたな。心から感謝を申し上げます」

「いえいえ、成り行きでそうなっただけですからお気になさらず」

「それにしてもテルサム、助けられたと言ったが、またアイツらに襲われたのか!?」

「い、いや、今回は違うよ! 話すからちょっと落ち着いて!?」



 王、かなり短気だな。

 今にも外に出て、何者かを懲らしめるかのような勢いだ。

 テルサムの従者も王に似たのだろうか?



「なるほど。見えない空中都市……なかなか興味深い。そして、そこの主がこのライクさんだと?」

「そうなんです。ぼくは助けてもらったのに、ハシク達が勘違いしてライク様に襲いかかってしまったんです」

「なんと!? それでライクさんは無事だったのか!?」

「いえ、むしろハシク達が返り討ちにあいました。一瞬で消し炭と化したんです」

「一瞬で……だと!? ハシクは戦闘面では今回の祭りのエースだというのに!?」

「ええ、ぼくも信じられませんでした。ですからお父様にも一目見てもらおうと、ライク様に頼んでここまで来てもらったのです」



 そうだったのか。

 だからテルサムはここに来てほしいと俺に頼んでいたんだな。



「……ライクさん、折り入って頼みがあるのだが、聞いていただけないだろうか?」

「はい、なんでしょう……?」



 何か嫌な予感がする。



「どうか、そのお力を我々にお貸しいただけないだろうか!? このままでは我が国が危ないのだ!」



 やっぱりきた……

 結局こうなるのね。


 速攻で断ろうとも思ったが、相手は王なので、さすがにそうもいかないだろう。

 事情をとりあえずは聞くことにした。



 王位継承祭は三人一チームで五チーム参加するそうだ。

 赤龍、青龍、黄龍、緑龍、紫龍それぞれの代表が競い合う。

 長年赤龍が祭に勝ち、国をまとめてきたのだが、今回は赤龍の中に実力者が不在。

 そして他の龍達は赤龍達よりもさらに攻撃的で、他国侵攻計画をたてているのだとか。



「つまり、他の種族が王になったら、俺達の大陸にも攻め入ってくるかもしれないと?」

「その通り。世界制覇をして、龍が中心の世界を作ると他の奴らが言っているのをよく聞く。過去のあやまちを繰り返すだけだというのに愚かなものだ……」

「過去のあやまち? 何かあったんですか?」

「実はかなり昔の事にはなるが……これを見てくれれば分かる」

「これは……水晶玉?」

「ここに先代の赤龍の記憶が全て入っている。この中に、その負の記憶も入っているのだ」



 先代の記憶……

 龍って長生きしそうだから一体どれ位前の時代の記憶があるんだろうな。

 ちょっと気になるな。



「その記憶を見ることは出来るんですか?」

「ああ、だいぶ過酷な内容にはなるが、それでも構わないか?」

「うっ……まあ見るだけだし、大丈夫です」

「それでは、映すぞ―――」



 俺は赤龍の記憶というものを見た。

 それはもう生々しかった。

 もう二度と見たいとは思わないな。


 見た内容を簡潔に言えば、世界征服した赤龍達は酷い目にあったということだ。

 征服下にあった他種族による反乱によって龍の統治は終わり、その反乱の余波による龍を迫害する流れは長年続いたのだとか。

 現在は何とか信頼を回復できているそうだけど。



「だからこそ、こんな愚かなことは起こしてはならないのだ」

「そんな経緯があるならどうして他の龍の代表はまた同じ事をしようとしているんでしょう?」

「実は他の種族はこの記憶を知らないのだ。偽りの忌まわしい記憶として知ろうともしないからな……」

「その記憶を知らないからこそ、力を誇示しない今の統治に不満があると?」

「そういうことだろう。身体能力の高い我々は、力で征服しようと思えばできてしまうかもしれない。だが、それではいけないのだ」



 そうだよな。

 力によって征服しても、過去のように不満を持った人々の反乱によって体制が維持できなくなることは目に見えている。

 実際に起きた事から目を背けて、同じ過ちを繰り返そうとしているなんて、何てマヌケな話なんだろうな。

 でもそんなことで近い未来に襲われたらたまったもんじゃない。



「赤龍達はこの記憶を知っているんですか?」

「それはもちろん。小さい頃に教え、そしてそれを教訓としてしっかり生きている。だからこそ他種族とも友好的に振舞っている」

「つまり赤龍が勝てば俺達を襲わないと?」

「もちろん。こんな過去を目にして、なお同じ事をする愚か者は我らの種族にはいないだろう」



 そうなのか。

 つまり、赤龍が祭に勝てば、俺達の平和も約束されると。

 なら協力する他にないかもな。



「そういう事ならば協力しましょう。ですが、赤龍でない俺は代表になれないのでは?」

「あっ、そこは気にするな。王位継承祭とはいっても、それぞれの種族だけが参加しないといけない訳ではないのだ。龍じゃない種族だって参加することもできるほどだ」

「つまり、人間でも参加できるということですか?」

「それはもちろんだが、なぜそのような事を?」

「いえ、何でもないんです。ちょっと確認しただけですから」



 人間でも参加できる。

 なら俺が参加しても全く問題ない訳だな。

 部外者だから祭に影響を与えない方がいいとは思っていたが、公式に参加資格があるなら話は別だ。

 せっかくだし、色々祭をかき回してやろうか……

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