23.龍の国にやってきました
「あっ、ついに来てくださったのですか!? って、何を持っていらっしゃるのですか?」
俺がテルサム達の所に姿を現すと、赤龍達は俺が持っている食べ物に興味津々な様子だ。
「お前達腹が減ってるんだっていうんだろ? だから食べ物を持ってきてやったんだよ」
「そ、そうなのですか!? 初めて見る食べ物ですけど……」
「いらないのか? いらないならこちらで処分―――」
「いえ、いります! みんな、ライク様からの頂き物だ。ありがたく頂戴するように!」
テルサムは若干焦った様子でそう言った。
テルサムの指示で他の赤龍達は恐る恐る食べ物を口にした。
すると、一口食べた瞬間、皆、驚きの表情を浮かべ、物凄い勢いで食べ始めた!
そしてあっという間に俺が出した巨大な食べ物は跡形もなく胃袋に収まった。
「お、美味しかったです、この食べ物! 一体どういうものなのですか!?」
「うーん、まあ俺がよく食べていた食べ物だ。美味かったなら何よりだ。さて、お前達。何やら俺に対して悪いウワサを流しているようだな?」
「ギクッ!? えっ、えっと……ですね? それには色々事情がありまして……」
「事情……な。王位継承祭まで時間がないから早く俺を連れ出す必要があるとかそんな所か?」
「えっ、なんでその事を!?」
「それ位、大体想像つくわ」
コイツが悪いウワサを流す理由なんて、早く俺にウワサを止めに来させるくらいしか思いつかないからな。
恨みを晴らすためだけにわざわざそんな事はしないだろうし。
「そんで、王位継承祭の件だが……」
「あっ、すいません、その件は大丈夫です!」
「へっ、どうしたんだ、いきなり?」
「そもそもその件に関してはぼく達が決める権利ないですし、ライク様にはちょっとついてきてもらえればいいんです!」
そうテルサムが言うと、みんな真剣な表情でこちらを見てくる。
って、ただついていけば良いだけなんかい!
それなら断る理由も特にないか。
最初からそう言えばいいのに。
呼び出し方が気に入らなかったな。
「ついていくだけならいいぞ」
「本当ですか!? 嘘じゃないですよね!?」
「ああ、そうだと言っているだろう? なんでそんな大袈裟な―――」
「テルサム様流石です! あのライク様を相手に見事交渉成立させるとは!」
テルサムはホッとした表情を浮かべ、その取り巻きの龍がテルサムを讃える。
そんな褒める程の事だろうかとも思ったが、あえて言わないようにした。
「では早速向かいましょう! ぼくらの国へ!」
こうして赤龍達は外へと飛び立つ。
その姿を見送る俺―――
「ちょっと、ライク様、話が違うんですけど!?」
動く気配がない俺を見て慌てて戻ってきたテルサム。
「気づくの早かったな」
「気付くのが早いじゃないですよ! ヒヤッとしたじゃないですか!?」
「まあちょっとした悪ふざけだ。今行くさ」
テルサムの焦りようを見てちょっと気が晴れた俺はおとなしくついていくことにした。
テルサムや他の赤龍達について飛んでいく。
どんどん高度を上げるので、俺達がいた場所はみるみるうちに小さくなっていき、次第には海まで見渡せるようになった。
「どこまで飛ぶつもりなんだ?」
「ぼく達の大陸までですよ。龍国ヴェスバンはライク様がいらっしゃった大陸とは別の大陸にあるんです」
「別の大陸? ということはすごい距離があるんじゃ?」
「そうですね。でもぼく達、龍にとっては多少の距離はどうってことないですよ。むしろレースの練習になりますから、いい機会です」
「レースなんてするのか?」
「はい。王位継承祭で行われる競技の一つなんです!」
競技か……
誰が一番速く飛べるか競い合い、トップになった者が王になるといったところだろうか?
「詳しくは城に着いてからお話しますよ」
「ん? 別に今話してくれてもいいんじゃないか?」
「それはえっと……やっぱり楽しみは後にとっていた方がいいじゃないですか!」
うーん、それはそうだけど……
まあ早かれ遅かれ話してくれるんなら、急ぐ必要はないか。
しばらく飛んでいると、陸地が見えてきた。
「見えてきましたよ! あそこが龍国ヴェスバンです!」
「うわぁ、でけぇなぁ……」
そこに見えてきたのは、巨大な都市だった。
遠目で見ても分かるその広大さ。
多分俺が作った空中都市の百倍以上の広さはあるんではなかろうか。
実際に俺達が全員地上に着地しても道幅には余裕がある。
体長の大きな龍が複数着陸しても余裕がある道幅なのだから、相当だよな。
建物も俺が入っても大丈夫なほど大きな作りになっている。
多分人間の姿でここに来たら、自分が小人になったような気分になるだろうな。
色々とスケールがでかすぎる。
「ここから中心に向かったら城に着きますよ。では、行きましょう!」
俺はテルサム達についていき、城を目指す事にした。




