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14.バーグのスキルが判明しました

 町から飛び立った俺達は復興の町、ナミラ町の近くにある森に着地した。

 いきなり町の中にいってしまうと混乱は必至なので、ここでそうならないための準備をしようって訳だ。



「とりあえず、二人にこれを着てもらうとしようか。木+グミ+(る)で”きぐるみ”! 木+グル+(み)で”きぐるみ”!」



 俺は二人に着てもらう用のきぐるみを用意した。



「な、何ですかこれは? 動物に似てなくもないですが?」

「これは被り物をすることでお祭り事とかの時にみんなを楽しませるものなんだ」

「そ、そうなのですか……」

「ちなみに中に翻訳機もつけておいたから話しても問題ないぞ。近頃は話すゆるキャラも珍しくないから話しても大丈夫だ」

「ゆるキャラ? それって何ですか?」

「あっ、こっちの話だ。気にしないでくれ」



 ゆるキャラなんて概念はこの世界にある訳ないわな。

 というか、着ぐるみ自体受け入れられるか怪しいんだが……まあ、何とかなると信じよう。


 俺は二人に着ぐるみを着てもらうことにした。



「うーん、ちょっと窮屈ですが、でも何とかならなくもないですね」

「ちょっと動きにくいっすね。でもこれで町中に入れるならお安い御用っす」



 二人は着ぐるみをしっかりと装着してくれた。

 魔力の放出も抑えてくれているようだし、後は俺が人間に戻ればーーー



「おーい、そこに誰かいるのか? って、なんだぁ、お前ら!?」



 げっ!?

 誰かに見つかっちまっただと!?

 近くに人がいるなんて全然気付かなかったぞ!?


 俺は声がした方を振り向く。

 するとそこには見覚えのある人物が腰を抜かした様子で俺達の方を見ていた。



「って、なんだ、ライクじゃないか。驚かせやがって。一体どこほっつき歩いていたんだよ? みんな心配して探し回っていたんだぞ!? それにその格好はなんだ? 何か祭りでもするのか?」



 そこには俺を馬車で町まで運んでくれた人、バーグがいたのだ。

 って、何でバーグは俺の事が分かるんだ?

 まだ人間の姿に戻っていないというのに?



「すまないな、バーグ。ちょっと色々事情があってな。それよりよくこの格好をしているのに俺の事が分かったな?」

「ふふ、おれ様をなめちゃあいけねえよ? こう見えてもおれは”真実の眼”というスキルを持ってんだ。多少の変装をみやぶるなんてことはお手の物よ」



 そっか。

 バーグだって町から出て活動していたんだから、何かしらのスキル持ちなんだよな。

 そのスキルがそういうみやぶる系統のスキルだったって訳か。

 理解が早くて助かるわ。



「それよりどうしてそこに変な格好をした悪魔が二人いるんだ? 一体何をするつもりなんだ?」

「えっと、ちょっと長い話になるんだが……」



 俺はバーグにこれまでの流れを一通り話す事にした。



「なるほどな。あまりにメチャクチャな話だが、どうせライクの事だ。それ位本当にやってしまうんだろう」



 ハハハ……と苦笑いするバーグ。

 ぶっ飛んだ話をしてもそう受け入れて理解してくれるのはありがたい。

 普通の人には俺が嘘言っているようにしか聞こえないだろうからな。



「それにしても魔王軍を追っ払ってくれたのはライクのお陰だったのか。本当助かったわ、ありがとな、ライク」

「いや、大した事なんてしてないって。サタンに変身したら勝手に相手が誤解して退却していっただけだからさ」

「そ、そうなのか。戦った跡がないから不思議に思っていたが、そういうことだったんだな」



 まああんな魔物の大群が襲いかかってきていたのに、どこにも争った形跡がらないのは確かに不自然だよな。



「それにしても変身なんて出来るんだな。もしかしておれの姿に変身する事も出来ちまうのか?」

「うーん、どうなんだろう? まあできたとしてもしようとは思わないけど」

「言ってくれるな、お前。というかさっさと元の姿に戻れよ。今のお前と話していると首が痛くなるわ」



 あー、確かに今の俺は体長が大きいもんな。

 顔を見て話そうとするとバーグは俺の顔を見上げ続けないといけないのか。

 それは確かに辛そうだ。


 俺はみんなから少し離れ、そして……



「”一人”ー(り)で”ひと”!」



 すると俺の姿はみるみるうちに変わっていく。

 しばらくすると変化はおさまって、慣れた元の姿へと戻ることができた。



「やっぱりライクはその姿じゃないとな!」

「ライク様、本当に人間だったんですね……信じられません」

「どこからどう見ても魔王様と同じ格好で面白かったんだけどなあ。あっすいません、独り言っす」



 安心するバーグ、それに対して落胆するレティダとベスレ。

 やっぱり自分と同じ種族がいた方が安心するんだろうか?

 別に俺は俺で変わりないんだけどなあ。



「そういえばバーグ、俺がいない間、町の方は変わりないか?」

「そうだったら良かったんだけどな。残念な事になった」

「残念な事……それってどういう事だ?」

「一人の魔女が来て町を占領しているんだ。多分王の回し者だろうな。本当に厄介なものだ」



 はぁ……とため息をつくバーグ。

 どうやら結構深刻な問題のようだな。

 せっかく作った町がそうやって占領されると横取りされたみたいで腹立つ。

 やっぱりこの世界の王ってクソだわ。

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