意気揚々とご帰還
書き方変えた…というか、やっと自動文字下げに気付いた今日この頃です。
読みづらかったらご免なさい。何時もの事ですが。
「ただいま帰参した。……ザザは居るか?」
「お帰りなさいませ姫様、メイド長で御座いましょうか?直ちに呼んで参りますっ!」
「うむ……」
イーリャは大急ぎでで王城より、帰参すると自分付きのメイドのザザを呼んでもらう事にした。隣国に嫁ぐ準備をせねばならない為である。
何を持って行こうかイーリャが悩んでいると、ふと自分の身体がベタついている事に気づく。
「……我は少々汗くさくなかろうか?ザザに湯の用意をさせるべきだな……」
ザザを待っている間に自身の汗くささに、辟易していると、ザザより先に兄のゴーシェがご機嫌な様子でイーリャの視界に飛び込んで来る。
「どうだった~♪随分とお早いお帰りだけど、無事に父上は止められたか~?ぷぷぷっ…」
「………ゴーシェ兄上、その顔……腹が立つので殴り潰しても宜しいだろうか?」
その場でルンルンスキップでもし始めそうな程ご機嫌顔なゴーシェに、イーリャは握り拳を作り、あまつさえ素振りを始めた。
ブゥンブゥンと、空気を裂く音が辺りに響くと流石に体力面ではイーリャに敵わないゴーシェは、慌ててだらしない笑みを捨てて真顔を取り繕ったのであった。
「おいっ!?宜しい訳が無いだろ?どこの公爵令嬢が実の兄の顔を殴り潰すんだよ?常識的に考えて有り得ないだろっ!」
「いえ、我が居るので有り得ますが?それに兄上に常識を考えろと言われると、何やら心底不愉快になってしまうのですが?」
「ったく、酷い言い様だな…俺はただ、結婚の話がどうなったのか聞きたかっただけなんだけど?」
「嫁ぐが?」
「ふ~ん…やっぱりお前には結婚は無理だった……はぁ?………えっ?へあああっ!?」
イーリャが即答で答えると、ゴーシェは驚いておかしな声が出てしまった。
「ふっ…。何でしょうな?今の声は………」
「だっ…だってよぅ…お前が嫁ぐとか有り得ない冗談を言うからだろぉ?あんまし面白く無かったぞ」
「いえ、冗談では無いのだが………」
その時、ガシャンッと何かが落ちる音が響いた。音の方にイーリャとゴーシェが振り向くと、虚ろな視線でブツブツ「可愛いイーリャがっ…そんなっ!嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ………」と、呟きながらその場に崩れ落ちるもう一人の兄セルジュと、持っていた陶器のティーセットをトレーごと落として涙ぐむ老メイドのザザの姿があった。
「姫様っ……ついにご結婚をお決めになり、大変よろしゅう御座いました~!婆やは、心配申し上げて居りました。年頃になっても剣を振り回されたり、ご自分の身体に貴族の女性には無用な筋肉をつけたりして居られましたから、ご結婚は無理だと思うて居りましたが、ついに………」
「うむ?……結婚しても剣や肉体の鍛練は怠るつもりは、微塵も無いが?」
「ええっ?まだおやりになるのですか?隣国の王子に嫁がれますので、レディー教育も超特急で致しませんとなりませんのに……」
「うぬ……レディー教育…とな?……苦痛な時間だな……そ、それよりも、我は湯あみをしたいのだ!湯の準備を頼む」
「………かしこまりました。てすが、レディー教育は必ず受けて頂きますからそのおつもりで居てくださいませ?」
イーリャは、レディー教育という言葉を聞かなかったふりをしてザザに湯の用意を頼んだのであったが、ザザはイーリャがわざと話を聞かなかったのを承知しつつも、念を押すことを忘れ物れなかったのであった。
「では、湯あみの準備をして参りますので、失礼致します」
軽く頭を下げた後、その場から去って行くザザを見ながら、イーリャは今後始まるのレディー教育に頭を抱えてしまいたい気分で一杯だった……ゴーシェの呟きと共に指差した人物を見るまでは。
「で?この、生ける屍はどうするんだ?」
ゴーシェが指差した場所には真っ白に燃え尽きたセルジュが膝を抱えながらうずくまって居たのであった。
文字下げするの忘れそうです。忘れてたらご免なさい。