「急いでおるのだか?」「……規則ですので…」
書けたどー!いざ投下!!
王城の城門の警備に勤しむ、兵士達にその日は戦慄が走った。マブーレ王国は比較的に長く平和が続いており、兵士達は平和ボケ…もとい、緊張感などが欠落し始めていた。
そんな矢先に物凄い音を響かせながら城門に近付いてくる馬車があった。異変に気付いた兵士が制止の声を上げるが、馬車は速度を落とさない。
「と、止まれっ!止まりなさいっ!!」
「邪魔だてするでないっ!ええいっ!開門、開門!!」
イーリャの操る馬車は、城門にぶち当たる位の勢いで突っ込んで行く。
兵士は馬車を操っている人物が御者でもなく、若く麗しい女性であった事にも驚いたが、その馬車の白薔薇の紋章は公爵家の家紋であった為に、すぐに理解した……ああ、この女性が噂の公爵家の変人姫なのだと。
兵士は理解した後の行動は素早かった。直ちに城門を開させると同時に、馬車が目の前を駆け抜けて行った。間一髪であった。
それにしても、もし判断が間に合わなくて公爵家の姫が城門に激突していたら……と、思うと今更になって体が震えて来てしまうのであった。
一方、馬車を操っているイーリャの方はというと、スピードが余り出ない馬車に対して、文句を言って居た。
「っ……。やはり遅い…。今日に限って我が愛馬が厩舎に居らぬとは……ゴーシェ兄上あたりの策略であろうか?」
やたら広い王城の庭に辟易しながら馬車を操っていると、今度は王宮へ繋がる堅牢な門扉が見えて来る。
流石にここは無理矢理押し通るのは無理だと判断したイーリャは、まだ完全に止まってない馬車から、フワリと飛び下りた。
その瞬間を目撃していた兵士達は、その人ならざる華麗で素晴らしい体さばきに、しばし見とれてしまったのであった。
その動きから、ただ者ではないと思った兵士だが、女性は美しく、着ているドレスも華美であった為、不審者なのか貴族の娘なのか判断がつかず、様子を見る事にした。
「すまぬが、王宮への道を通して頂きたい!大至急である!!」
「………はい?今直ぐにで御座いますか?」
「そうだが?理解したか?理解したのならば、素早く動くのが兵士のつとめではないか?」
「で…では、入城許可証などはお持ちでしょうか?確認させて頂きますので、提示をお願いいたします」
「む?その様な物は、持ち合わせておらぬが………無いと、王宮へ入るのは無理なのであろうか?」
兵士はその発言を聞いて内心、これは持っていない
パターンだな……と、直ぐに察したのであった。
「はい。申し訳御座いませんが、規則ですので無理で御座います……。ですが、右手側に見えます審査塔にて、入城許可証の発行を行っておりますので、そちらで審査して頂く事になっております」
イーリャは少し考えて、兵士に今一番大事なことを聞く。
「急いでおるのだが?」
「……規則ですので…」
「一大事なのだが?」
「……規則ですので…」
イーリャは諦めた………穏便に王宮に入るのを。
時間がないので、強行突破することにした。イーリャは兵士に魅惑的な微笑みを残し、一瞬にして目の前から消えたのであった。
後に残された兵士は困惑し、止まったままの馬車の白薔薇の紋章から先程の人物が、王国一の変人であるローゼンバーグ公爵の一人娘、イトリィーリャ姫である事に気付いたのであった。
「噂に違わぬ変人ぶりであった………。しかし、何処に行かれたのか……。気になるな……」
そう呟くと、兵士は辺りをキョロキョロ見回すが、イトリィーリャ姫の姿はやはり確認できなかったのであった。
何処に消えたのかは、次の話で。では、ちょっくらスプラト○ーンをやって来ます。御免っ!!!