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メビウスリング  作者: さいてす
第一章 成長と出会い
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希望と絶望のターニングポイント ~前編~

 廃工場での戦いから三十分ほど後。強力な戦力を加えた一行は工場より北に移動し、大型ショッピングモールの駐輪場で休憩していた。雪菜は服を買い換えて着替えたが、他は服は若干汚れてしまっているものの目に見える大きな傷を負ったメンバーはおらず、負傷した凰児はファクターによって治療済みのため、それほど目立たないのであれば今のところ人混みに紛れてしまう方がいいと考えたからだ。流石に武器を持ったまま中に入るのはまずいので、国道から敷地内に少し入ったあたりで集まり、凰児への状況説明と今後についての話をしているようだ。まあそのうちSEMMもさらに力を入れてくるであろうし、いつまでも堂々とはしていられないのだろうが。

 ちょうど浪がざっくりと説明し終わったところであるようだ。


「まあ、とりあえずはこんな感じっす。 時間稼ぎがメインになる感じっすけど……」


「まあ向こうが本気になればいつでも捕まえられるのかもしれないけど……。 何もしないよりかはマシか。 で、どこへ逃げようか?」


「正直どう動くのが正解かなんてわからないんすけど……。 とりあえず知り合いのいなさそうな駒木市方面っすかね?」


「安易すぎる気もするけど……、まあそれが無難か……」


 浪と凰児の会話がひと段落したところで、雪菜が突然立ち上がって拳を握り思い出したように怒り出した。


「それにしても!! あの人薄情すぎじゃない!? 浪やシロちゃんと一緒に住んでたのに本当に本気で襲って来るなんて!!」


 ぷりぷりと怒っている雪菜に苦笑いの一同。翔馬にも彼なりの考えがあるだろうし、しかも世間一般に考えれば自分たちの行動こそ間違っているのだと言われても仕方ないことから素直に賛同することもできないでいた。

 しかし翔馬の親友でありライバルである凰児は彼が本当は戦うことを望んでいないことを悟っていた。凰児がなんだか重い面持ちでゆっくりと語りだす。


「翔馬の味方するわけじゃないんだけど……。 あいつにもいろいろあってね。 俺からすべてを話すことはできないけど……」


 一瞬眉をひそめ一拍おいた後さらに続ける彼の話を、一同真剣な表情で聞いている。


「あいつはさ……、一時期いわばストリートチルドレンみたいな生活していた時期があったんだ。 中学生ぐらいの年だったからまともな方法で生きていくこともできず、軽犯罪を繰り返すうちにSACSに目をつけられて捕まったんだ。 あいつはそれ以前からホルダーだったからね」


「それがなんでSACSの隊員に?」


 もっともな浪の疑問に凰児が答える。


「乙部さんが引き取って訓練生として入れたんだよ。 SEMMという組織は翔馬に生きる術と生きる場所、そして自分の価値を与えてくれた場所でもあるんだ。 ……、そう簡単に裏切れるもんじゃないだろう」


 翔馬にも彼なりの考えがあるということぐらい誰もがわかっていただろう。しかし思った以上に込み入った事情があるようで一同言葉を失ってしまう。しかし追い打ちをかけるように凰児の言葉は続く。


「元々強かったからSACSの人たちも結構手を焼いたらしいけど、捕まったあとのあいつをみんな優しく迎えてくれたらしい。 俺はあいつのことを親友だと思っている。 でもあいつにとってSACSの同僚は俺以上に大切な仲間なのかもしれない。 俺たちだけがあいつの世界の全てじゃない。 ……、自分たちが誰かにとっての一番だと思うことは、とても傲慢な事だよ」


 凰児のきつい一言を受けて、誰もが目を伏せがちに俯いてしまった。雪菜が悲しみをはらんだ声でぽつりとこぼす。


「もう……、もとの関係には戻れないのかな……。 これじゃシロちゃんがかわいそすぎるよ……」


 雪菜の一言に凰児を含めた一同の顔がさらに曇る。しかし当の本人であるシロ自身は、悲しそうというよりもなんだか難しそうな顔で唸っている。


「翔馬とは……、ここで終わりじゃないよ。 たぶん、だけど。 だからそんなに心配しないで欲しい」


「そっか。 お前は最初からあいつになついてたもんな。 毎回こんな終わり方だったならそうはならないのかもな……。 もしかしてなにか思い出せたのか?」


 シロの言葉に若干の期待を含ませ浪が尋ねるも、シロは小さく首を横に振った。しかし、はっきりと思い出せたことはなくとも、彼女はなにか予感めいたものを感じていた。


「思い出せたことは、無い。 でも、何かが起こるよ……。 予感がするの。 もうすぐ何か、重要な転機があったんだと思う。 ぼんやりそう思えるのはだいたい、その時が近くなったときだから」


 シロの不穏な言葉に一瞬不安がよぎるも、彼女の表情がそれほど深刻でなさそうな事から、浪は無駄に心配しすぎるのも良くないだろうと話題を切り替える。


「とりあえずそろそろ移動するか。 問題は夜どうするかだな……。 ビジネスホテルみたいなとこって高校生泊めてくれるのか?」


「そういうところは逃げ場がなくなるからやめたほうがいいかもね。 女の子たちにはちょっときついだろうけど……、野宿が一番安全かも」


 凰児の提案にあからさまに嫌そうな顔をしたのは雪菜だけであったが、意外と凛も困ったような顔で頭をかいている。


「うぅ……、まじかー。 昨日アンリちゃんの家でお風呂入れてて良かった……」


「まあ、仕方ねえか。 とりあえず腹減ったしコンビニかどっかで食えるもん買いたいわ」


 凛の提案でとりあえず南東方面に歩きながら赤いロゴのコンビニに入り、各々適当に食べたいものを買っていく。現在持ち合わせがあるのは凰児と凛だが、とりあえずは上級生の凰児がおごっておくことになった。男ふたりの分の食事が多いのは普通のことだが、食欲が戻ってきたのかシロの分も浪の二割増くらいの量がある。いつもは五割増しくらいは食べるので、これでも全快ではないのであろうが。

 駐車場の隅でそれとなく周囲に気を配りながら食事を済ませ、他四名が一番遅い雪菜を待っていると浪の携帯に着信が入った。恐る恐る画面を見ると、


「っと、誰だこんな時に……。 まさかSEMMの……、って」


 画面には井上アンリの文字。あの時の状況から、彼女自身からとは断定できないが少し迷ったあと意を決して通話ボタンにタッチした。


「もしもし……、っと……。 よかった、本人だったか」


『どういう意味よ。 無事に逃げられたか気になって電話してみたんだけど、その様子だと今のところ大丈夫みたいね』


 電話越しの彼女の声は、安心して気が抜けたように聞こえた。心配してくれていたのだろう。しかし浪はむしろ自分たちを匿っていたアンリの身が心配だ。


「そっちは大丈夫だったのか?」


『自転車があって普通にバレたもんだから結構大変だったけど、シラきり通して何とかしたわ。 ちゃんと離れてるでしょうね?』


「まあな。 ちょっとピンチだったけどまあ何とかなってるよ。 正直予知のホルダーが何考えて動いてるのかわからねえから不安だけどな。 ここで襲ってこられたらやばかったってタイミングはあったんだが」


『命を削るって言ってたし、しばらく使えないんじゃないかしら? それかシロさんが力を使ってしまう予定の日が実は結構先でまだ全然余裕だとか』


「確かに余裕見せてるフシはあるけどな。 とりあえず戦力も増えたしなんとかやってやるよ」


『そうなの? 良かったわね。 じゃあとりあえず一旦切るわね。 無事を祈っているわ』


 電話越しだったが彼女の気遣いの言葉につい顔を緩ませ、浪は静かに電話をポケットにしまった。

 ふう、と息を吐き立ち上がるとそろそろ出発しようかと雪菜のところに歩み寄る。


「もう食い終わったか? もうそろそろ行こうぜ」


「ちょっと待ってあげて、今龍崎先輩が空良ちゃんに怒られてるところだから……」


 ははは、と苦笑いしながら雪菜が指さす先へと視線をやると、凰児が電話をしながら苦い顔で必死に言い訳をしているところであるようだ。


『だから今どこにいるかって聞いてるんだよ!? 私も合流するからー!!』


「いやいやだから君が下手に動くとつけられるから変に動かないでほしいんだって……」


『知らないよそんなのー!! 無茶ばっかして、こっち大変な騒ぎなんだから!! まだ一部の上級隊員しか知らないけど、本部からSACSの人間呼ぶとか……』


「本部からか……。 覚悟はしていたけど俺がこっちについた以上それなりの追手が来るのは当然か……」


『なに一人で納得してるのー!! まだ話は終わってないんだからねー!! 大体凰児はいつも……』


 空良のマシンガントークに説得は不可能だと察し、凰児はゆっくりと通話終了ボタンを押した。

 浪を始め若干あきれたような顔の一同に、凰児は疲れたような顔で苦笑いを返す。


「帰ったら鬼のようにキレられるだろうけど……、まあ考えないようにするよ」


「多分全員揃って説教っすね……。 とりあえず……、行きますか」


「そうだね。 まだ問題も山積みだけど、とりあえず移動しながら話そう」


 とりあえず一人は会話に参加せず周囲に気を配り、強力な魔力を感じないかアンテナを張りつつ移動する。凰児が加わったことにより理想となる対戦相手にも変更が出てきたので、あらかじめ担当を決め直しておくことに。


「なるほどね……。 その敵の特徴を聞く限り、凛ちゃんがカレイド、浪と雪菜で手品師、俺が金髪の男と戦う感じになるか」


「ま、あたしの力は不安定だから次も勝てるかはわからねえが、他の奴がやるよりかはマシだろう」


「俺は絶望的に相性悪いからね……。 あいつのファクターは当たったらアウトだけど、カレイド本人の技術やセンスはそれほど凄いってわけでもない。 翔馬相手に打ち合える腕があるならいけるかもしれない」


「実際相性考えなけりゃどんなもんなんだ?」


「……、五連星のうち一人だけ頭抜けてる人が居るんだけど、その人と俺たち他四人の間くらいってとこかな」


「それをあたしに倒せ、と……。 悪い、弱音言ってるわけじゃねえんだ。 だが勝てませんでしたじゃ済まねえからな。 やれる手は尽くす。 あそこの公園で少し休むぞ」


「……? 別に構わないけど……」


 凛の急な提案で近くに見えた小さな公園に立ち寄る。遊具はあまりなく、広場というべきか。凛は疲れたから休もうなどと言うようなタチではないし、一番体力のない雪菜も疲れている様子はないので気を使ったわけでもないだろう。しかし誰かが理由を尋ねるより前に、唐突に凛がシロに話しかける。


「シロ、お前にコモンファクターの使い方を教える。 今のままじゃほかの奴らより一歩劣るのは否めないだろう」


「……、何て?」


 一拍おいて不思議そうな顔で返すシロに、凛は呆れながら説明する。どうやらホルダーならば一般常識の範囲内のようだ。


「それが何かも知らねえのか……。 コモンファクターはホルダーなら誰でも使える共通の力だ。 服部が使ってた魔力を半物質化したりする力や、魔力を単純にエネルギーとして打ち出したり。 つってもまともな攻撃系ファクターと比較して変換効率が悪すぎて誰も使わないがな。 同じ威力を出すのにあたしなら三倍無駄に魔力を使う」


「そんなの練習してどうするの?」


「お前の魔力はあたしと龍崎と雪菜と緋砂さん足したくらいだって聞いてる。 三倍位訳ねえだろう」


 凛の言葉にシロは一瞬難しい顔をした。何も難しいことは言っていないのにと凛が訝しげに尋ねると、シロは考え込んだような表情のままつぶやく。


「なんか……、前にも誰かに教わって練習してたことがあるような? つかみさえできればすぐ使えるようになるかも知れない」


「なるほどな……。 まあ確かに前の世界でも誰かしら同じこと考える奴はいただろうしな。 記憶が戻ればある程度戦い方も思い出すってわけか。 近い未来のことなら練習してりゃすぐ思い出すだろ。 それじゃあまずは……」


 三人から少し離れてレッスンを始めた凛を見ながら、雪菜がニヤニヤと意味ありげな視線を送っているのに気付いた浪は、若干引き気味に声をかけた。


「何ニヤニヤしてんだよ」


「えっ!? いやぁ、凛ちゃんてやっぱり根は世話好きで昔から変わってないなぁ、って」


「礼央と黒峰と三人でつるんでたんだっけか。 ああいうの見てるとお前が言ってたことも信じられるかもな」


 二人の会話が気になった凰児がつい口を挟む。


「何の話?」


「黒峰がもともとは明るくて活発な今の雪菜と似たような性格だったって……」


 尋ねられた浪が説明していると……、


「おいソコ!! テキトーなこと言ってっとぶっ潰すぞ!!」


 凛が顔を真っ赤にしてカットインしてきた。

 日も傾いてきた頃、疲れてきたのではとジュースを買ってきた凰児と浪が特訓中の二人へ渡しに行くと、シロの顔には喜んでいるような様子が見えた。凛が若干ドヤ顔でシロに促す。


「ほら、見せてやれ」


「ん。 行くよ、離れてて」


 シロが手を地面と平行に前へ突き出すと、半透明な魔力が手を包み込むように発生し、グローブのように固まった。半物質化というやつなのだろうが、先ほどの話を聞く限りすぐできるようになっても別に不思議ではないのに、一同の反応はかなり大きかった。全員の気持ちを代弁したのは凰児だ。


「半物質どころか完全に固まってない!? すごいよコレ……」


「まだ驚くのは早いぜ。 ……、はあっ!!」


 凛が手に魔力を込めシロに向けて衝撃波を放つ。いきなりの行動に驚く一同だが、シロが手のひらを前方にかざすと魔力が渦を巻いてそれを受け止めかき消した。全員もはや声も出ない。しばらくしてから浪が半笑いでこぼした。


「……、コモンファクターのレベルじゃねーぞこれ……、ははは」


「これなら十分戦力だ。 魔力で手足を覆えばカレイドにも直接打撃が当てられる。 二人がかりならなんとかなんだろ」


「ありがとな。 一番無関係だったのになんだかんだお前が一番動いてくれてるよな。 俺ももっと何かできればいいんだけどな……」


「……、多分無関係でもねえよ」


 凛が若干顔を伏せてつぶやくので、浪は不思議そうな顔で言葉を待った。少しして、彼女が話し出す。


「エキドナん時シロが未来を思い出したらしいな。 龍崎たちの助けが間に合わずにあたしが相打ちで死ぬって。 その記憶があるってことはつまり、そこでシロが思い出さなきゃ死んでたってことだ。 むしろあたしが一番働いて当然なんだよ」


 凛の言葉に驚きつつも納得する一同。浪からジュースを受け取ると、凛は少し湿っぽくなってしまった空気を払うように話題を切り替える。


「そろそろ移動すんぞ。 流石に児童公園で野宿は通報されるわ」


「……、だな」


 浪は苦笑いで返した。

 その後今日の寝床を川が分岐しているあたりの橋の下に決めると見張りを決めて順番に休むことにした。

 日も完全に落ち夜の帳と静寂に包まれる中見張り番の二人、浪とシロが小さな声で話をしている。

 状況は凰児が合流してはいるものの良いとは決して言えないが、二人の顔に最初にSEMMを飛び出してきた頃の不安で落ち着かない様子はあまり見えない。全く無いかといえば、そうは言えないのであるが。


「井上に礼央、それに今ここにいるみんな……。 いろんな人の助けがあってまだここでこうしていられる。 絶対なんとかしなきゃな」


「ごめんね……。 後悔してない? あの山の公園で私を助けたこと」


 困ったような顔でそんな事を言うシロの額をコツンと叩くと、浪は微笑んだ。


「いまさらなこと言ってんなよ。 俺はやりたくないことと興味ない事はなんでもやらない主義だ。 テストの点とかも好きなのと全く興味ないのと三倍以上点違うぜ」


「あはは、なにそれ」


「後悔してるなら助けるようなことはしてない。 俺が助けるってことは、それが俺の望みでもある」


「……、私はいろんな世界でずっとみんなと一緒にいた。 だけど、みんなにとっては私なんか出会って間もない人間でしかない。 それが不安だったのかも知れない」


「お前、俺が今どう答えるかも知ってる……、ってか思い出してるんじゃないのか?」


「実はさっき、ね。 でも、思い出す前からわかってた。 やっぱり浪は私のお兄ちゃんだよ。 まぁ、私のほうが年上だけど」


 にこやかな表情でシロの返しを聞いていた浪だったが、最後の一文が理解できず妙な顔で固まったあとしばらくして、声を絞り出した。


「は……? 今なんて?」


「割とどうでもいい情報だけど新しく歳と誕生日を思い出した。 誕生日が四月二十二日で一七歳。 浪の誕生日は十一月だからまだ十六歳で私のほうが上。 これからは先生に新堂姉って呼んでもらわなきゃ」


 確かに大した情報ではないが、中学生にしか見えない彼女が年上だという衝撃的な事実に浪はつい声を上げてしまった。


「はああぁぁぁああぁぁ!? うっそだろ!?」


「なっ!? 敵襲か!!」


 突然の声に、橋の足の部分に寄りかかるようにして休んでいた凛が焦って飛び起きてしまったようだ。


「わ、悪い黒峰。 何でもない……、いや、あるけど……」


「あん? 何言ってんだ」


「シロが黒峰より年上……」


 身長差30cm以上の二人を見比べながら、浪は複雑な顔でつぶやいた。

 しばらくした後、見張りを変わってもらい交代で全員が十分な休息を取ることができた。正直朝方には気も少し緩んできてしまう。全員のコンディションが整ったこのタイミングで攻めて来るメリットが向こうには何一つないからである。


 しかし日が昇りしばらくした後、急いだ様子で雪菜に叩き起された浪はすぐに飛び起き、一瞬で目が冴えてしまう。浪たち五人の少し前方に、見覚えのある人間が四人。未来予知能力者の一行が勢ぞろいしていたのである。


「な、なんで……、どうして今なんだよ!?」


「落ち着いていただきたいですね。 待って差し上げた意味がなくなってしまいます」


 テンパりながら武器を手に取ろうとして浪が二度ほど空を掴む様子を見て、レミアは諭すように落ち着いた声で言った。

 だがやはり彼女の意図は全く不明だ。しかしそれについてはすぐに説明してくれるようである。


「コンディションの悪い状態のあなた方を負かしてしまうと今後への影響が大きい。 もしあの時ああしていたら、といつまでも引きずることになるでしょう? なので龍崎隊員が合流しなおかつ全員がベストコンディションの状態で挑むことにしたのです。 これで負けてしまうのであればどうあっても勝ち目はなかったと諦めもつくでしょうから」


「アフターケア、ってか? 何様のつもりだよテメェは」


「『運命の子』、あなたはもう勘付いてるんじゃないんですか? 黒峰凛さん。 まぁ、あなたは六人には含まれていませんがね」


「やっぱりそうか……、乙部がSEMMを動かしてるってんならあいつが世話焼いてる四人は怪しいとは思ってたが……。 あたしら相手に手荒なことはしたくないっつってたが、それは魔王と戦う六人のうち何人かがここにいるからか」


「こう見えて私も苦労してるんですよ。 だから本当は大人しくその子を渡して欲しいんですが」


「分かってやがるくせに無駄話が好きな奴だな。 オイ、新堂」


 クイッと凛に首で促され、浪が前に出る。先ほどの話が気にならないわけではないが、今考えることではないだろう。先ほどとはうってかわって落ち着いた様子の彼はぐっと剣を握り締め、キッと睨むように視線を向けると構えて叫んだ。


「いろんな人の支えで今ココにいるんだ。 今更無理そうなんで諦めるわとかいうわけねーだろ!! 誰がなんと言おうと俺がシロを見捨てる事は無い!!」


 浪が啖呵を切るとともに雷が落ち戦闘開始となる。

 運命の子とやらは割とすぐわかるようになりますが、わかる人には一人を除いてすぐわかるかと。残り一人はノーヒント状態なので無理臭いですが……。

 ターニングポイントは実はもう来てます。答えが分かるのは逃亡編決着あたりの予定です。

  では、ありがとうございました。

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