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「・・・合格だ、サトリ。君はもう“幻影”の力を十分に習得している。」
『残身』と『無音』を組み合わせた『残影』を使うことで上手く注意を引きつけ、最終的にオレはヨミに一撃を加えることができたのだった。まぁ・・・オレはその前に何発ももらっていたのだが。
「いや、ははは・・・やっぱりヨミは強いな。オレが頑張っても一撃しか入らなかった。」
「そんなことないさ。もう十分、サトリはこの世界で通用する強さだよ。」
そういってヨミはスーラ村まであと3日といった街道でこちらを振り返った。
「・・・だから、僕らはここでお別れしようか。」
「? ヨミ?」
突然のヨミの告白にオレの体が固まる。・・・なんとなく、このよく分からない異世界に来て、初めて会った親切な美少年とずっとこのまま一緒にいる気がしていたのだ。
「・・・そりゃあ、まぁ、オレはヨミに迷惑かけてばっかだし、食事も寝床もあげく修行までつけてもらって・・・ごめん、ヨミ。」
「! ち、違う、サトリ。そう言った意味で言ったんじゃない。」
ヨミが少し慌てる。・・・慌ててるヨミなんて、初めて見るんだが。
「・・・サトリ、僕はスーラ村で行う目的がある。それにサトリを巻き込みたくないんだ。」
「? ヨミ、目的って?」
「悪いが、それは言えないんだ。・・・だけど大丈夫、サトリにはこの世界に詳しい、僕の知り合いに連絡してある。彼に面倒を見てもらうといい。」
・・・ヨミには、オレがおそらく異世界に来てしまったこと、これからどうすればいいか悩んでいることを打ち明けていた。そのことをヨミは真剣に考えてくれていたらしい。
「じゃあ、サトリ、明日からは別行動だ。・・・今日は、最後にみっちり修行をつけてやる。」
「ええ!? 最後まで修行すんの!?」
そうして、最後の最後までヨミには世話になった。そして、オレは明日からヨミの薦めで“黒の兵団”にやっかいになることになる。