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頭の中がぼんやりする。・・・なんだか、ヨミの質問に答えなきゃいけない気がする。
「・・・オレの“運命”は“模倣”です。」
「ふむ、どんな能力だ?」
「・・・他の人の持つ“運命”を使うことができます。」
「おお、それは凄い! いい“運命”に選ばれたな、サトリ。」
「・・・ただし“運命”を模倣するには条件があり、①対象の“運命”を直接見ること。②対象の“運命”がどういった力であるか理解すること。③対象の“運命”を担う者に直接触れること。・・・以上の条件を満たした時のみ、“運命”を模倣することができます。」
「なるほど、便利な“運命”の分、条件はやや面倒だな。」
・・・その他にも色々と聞き出され、オレは意識を取り戻した。
「むー・・・」
「あはは、まぁ、そう怒らないでくれ、サトリ。」
「ヨミの“運命”は卑怯だよ! ほんと、なにそのチート能力!? どっかの騎士団で仮面でもかぶってるわけ!?」
「騎士団、仮面? ・・・まぁ、それは良いとして、なかなかいい情報も入ったんだぞ。」
この黒髪の美少年がおせっかいにも色々と聞き出してくれたおかげで、オレの“模倣”の正体が大体分かってきた。この“模倣”はやはり、他の人の“運命”を使えるスキルであったらしい。条件は色々とあるが、オレだって十分チートになりうるスキルである。
「能力や条件は大体分かったけど、ホントに他人の“運命”をいくつも使えるわけ?」
「ああ。・・・ただし、模倣できるストックは、『3つ』までだ。それ以上の“運命”を模倣しようとすると、一番前に模倣した“運命”が模倣できなくなるようだ。」
「3つまでかぁ・・・。まぁ、それでも十分強いとは思うけど・・・。」
「制限はそれだけじゃないぞ? 模倣した“運命”だと本来の力の7~8割しか使用できないみたいだ。」
「・・・」
・・・あれ、意外にオレの“運命”って微妙だったりする?
「あはは、そう捨てたもんでもないさ。要はどの“運命”も使い方次第なんだからな。・・・それに、サトリは間違いなく強くなる。」
「? なんでそんなこと言えるのさ?」
「・・・なぜなら、君はこれから最も神に愛された“運命”である“幻影”を模倣し、同年代で最も強いこの僕が君に修行をつけるからだ。」