2
「君の髪の色は珍しいな。・・・南大陸の生まれか?君は?」
ヨミと名乗った少年は、そう訪ねた。・・・ここが異世界だとしても、全く情報が足りない。自分の赤い髪をつまんで、考えた。
「ええと・・・多分、そうだと思う。何分、名前以外の記憶は曖昧で・・・」
・・・ヨミは不思議な少年だ。現実世界では間違いなく、某アイドル事務所に所属しても間違いないくらいの容姿である。それなのに、どこか話しやすい雰囲気がある。そして、その服装は日本では見られないような民族衣装を着ている。歳は、10歳くらいだろうか?
「ふむ・・・とりあえず、ここでは場所が悪いな。この辺は盗賊も出ているし、もっと落ち着いた場所で話したい。僕はスーラ村に向かう途中なんだが、良かったら付いてくるかい?」
「うん、そうしてもらえると助かる。・・・ありがとう。」
「ああ。じゃあ、行こうか。」
オレは他の人間に会うまでは、ヨミに付いていくことにした。どうして自分がここにいるのかも分からないし、この世界のことをもっと知らなければならない。何より、ヨミは信頼できそうな美少年だ。
・・・そうして、オレとヨミは森を進み、ごつごつとした岩場に出てきた。開けて見た一面は、まだまだここが人里離れている場所なんだと思う。
「うへ・・・まだスーラ村まで距離がありそうだね・・・。」
「ああ。このペースで行くと、1ヶ月くらいで着くかな。」
「・・・1ヶ月!? それはまた・・・遠いね・・・」
「はは、大丈夫だよ。寝床も食事も、二人分でも十分な量はあるから。・・・サトリ、ちょっと待て。」
話の途中でヨミは険しい顔をする。オレは前方を見ると、粗野な格好をした男が3~4人ぞろぞろと現れてきた。・・・やばい、嫌な予感がする。
「・・・おおぉ! ガキじゃねぇか!! おい、お前ら。金目のものを全て置いていけ。」