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第二夜 



***


それから数日が経った。

僕は相変わらずトーマ家と仲良しだった。

不満なんてなかった。退屈もしなかった。

日常はあっという間に流れたし、それを気に留めたりしなかった。

なのに、この気持ちはなんだろう。

この、ざわざわする気持ちはなんだろう。

なにかが近づいている。よくない何かが起ころうとしている。


僕は不安がいっぱいで日々過ごしていた。



しかし、

数時間後、その正体がわかってしまう。


僕はこの時、学校から帰宅途中で、道草をくいながらとぼとぼ歩いていた。

近くに流れる川を見て「今日の夜ご飯はなんだろう」とこぼした。


家に近づくにつれて、人だかりがあふれていた。

―――なんだ?

「ちょっと、通してください」

僕は人ごみの中をかき分けて先を進んだ。

心のどこかで焦っていた。

ふと、父さんと母さんの顔が浮かんだ。少し背筋がぞわっとした。

なんなんだよ、こんな時に。

家の前までやっとたどり着いたとき。

僕は息をするのを忘れてしまった。



「――――――父さん…?母さん?」

僕の家には医者の人が何人も出入りをしていて、どの人もバタバタと忙しそうにしている。

誰、この人たち。

「……っ!父さん!!母さん!!!」

僕はその中に飛び込んだ。

どいて、みんなそこをどいて! 僕は叫んだ。

居間のほうに向かうと、

「…!!!!!!」

父さんと母さんが倒れていた。

その周りにはお医者さんがいて変な道具を使っては、

「聞こえますか!!」と父さんと母さんに呼びかけていた。


「ボウヤ!こんなところに入っちゃだめだよ!」

男の人が僕を連れて行こうとしたけど、僕は決して動かなかった。

どうして!!離してよ!!

父さんたちはどうしちゃったの。どうして倒れてるの。

あなたたちは誰ですか。ここは僕らの家なのになぜいるの。

僕は声が出せなくなっていた。

ただ茫然と項垂れている父さんたちをこの目に焼き付けることしかできなかった。

(誰か説明してよ)



父さんと母さんは死んでしまったらしい。

誰かに殺されたのか、それとも事故なのかは分からないらしい。

もしかしたら自ら―――。


ただ、二人とも一滴も血を流さず、怪我もなく死んだ。


どうして。



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