4.人間失格スキルを手に入れてしまいました
翌日。
学校から帰って来たムロは、チャンネル登録者数を確認する。
「チャンネル登録者15人! 作戦は成功だ!」
ムロがチャンネル登録者を増やす為に、した行動というのは、
「色んなショート動画を回って、コメントをすること。勿論、宣伝にならないようにその動画に合ったコメントをした」
中にはコメントだけで、チャンネル登録者を1000人以上集める人も存在する。
だから、動画投稿と合わせれば絶大な効力を発揮すると予想したのだ。
「1日に10件あたりで止めておくのがポイントだ。あまりにも多いと、スパム判定されるかもしれないからね」
今は実際に悪質な宣伝コメントや、他の悪質なサイトへの誘導がある為、その辺りは厳しくなってきている。
チャンネルが停止にならないように、そこは気を付けなくてはならない。
「こんにちは。そっちは、上手くいってますか?」
自室にあるダンジョンゲートから、ギラの住処へと向かい、そこにいるギラに挨拶をする。
「おう! いい感じ肉が焼けてるぜ!」
「いい匂いですね!」
ギラは、モンスターの肉を火で焼き、それに人間界から持ち込んだ焼肉のタレをかけていた。
「練習はバッチリだ! 今度は俺が料理している所を撮影して、投稿するんだったよな?」
「はい。ドラゴンであるギラさんが料理をする動画で、再生数を稼ぎます。
勿論、今の時代動画生成AIもありますから、映像そのもののインパクトは足りないかもしれません。
しかし、モンスターが料理をするということ自体は極めて異例です。
本物だと分かった瞬間、多くの登録者が望めるハズです」
上手く行けば、チャンネル登録者が一気に80人くらいまで行くかもしれない。
いや、もしかしたら100人を超すこともあり得るだろう。
「今度でもいいですけど、今から撮影できますか? ショート動画なので、すぐ終わりますよ」
「悪いな。肉はこれで全部だ」
「そうなんですか?」
「ああ。今から取りに行くか?」
「はい。もし良かったら、荷物持ちくらいはしますよ」
そういえば聞いてなかったが、このダンジョンで肉がドロップするモンスターはいるのだろうか?
昨日入った時には、スライムくらいしかいなかったのだが。
「このダンジョンでも肉はドロップするが、はっきり言ってモンスターが出て来ない時もある! ということで、別なダンジョンに行くぞ!」
「別なダンジョン?」
ダンジョンは基本的に、別なダンジョンに繋がっていない。
「どうやって行くんですか?」
無理だと思うが、駄目元で聞いてみた。
「こっちだ!」
住処の奥へと案内された。
そこに広がっていたのは、
「なんですかこれは!?」
ダンジョンゲートが複数ある部屋であった。
「面白いだろ? ここから色んな所に行けるんだぜ!」
「本当ですか?」
「当たり前だろ! ずっとここにいたら、暇過ぎだろうが!」
確かにそうだ。
しかし、そんなことあり得るのだろうか?
「どちらにせよ、他のダンジョンに行くのでしたら、私は正式に冒険者にならなくてはなりません」
「冒険者?」
ギラは首を傾げた。
「冒険者というのは、要するにダンジョンを探索する人達を指します。冒険者ギルドに行かないと複数のダンジョンに行くことはできない決まりになっています。例えば、私がこことは違うダンジョンに入るなら免許のようなものが必要になるんです」
本来であれば、「冒険者になりたい。でも、なる前にダンジョンがどんなものか下見をしておきたい」そんな人の為にこの決まりは存在する。
いきなりドラゴンに出会う為のものではない。
「更には鑑定アプリも貰えますので、それがあれば今後の活動もしやすくなるでしょう」
「鑑定アプリってなんだ?」
「物事をある程度詳しく見ることができる、冒険者ギルドの公式アプリの1つです」
ムロはギラの住処を後にすると、冒険者ギルドへと向かった。
◇
冒険者ギルドは、それ専用の施設が全国各地に存在する。
小さな建物だが、実際はその中にダンジョンゲートがあり、その中で登録などを行うのだ。
ムロは受付のお姉さんに案内され、室内にあるゲートをくぐる。
「受付終了です! ありがとうございました!」
そして、酒場のような冒険者ギルドで、書類を書いたりした。
公式アプリも、スマホにインストール完了だ。
(ステータスアプリを開けば、私のステータスを見ることができる。スキルの【鑑定】よりは精度は落ちるけど、スキルの確認くらいなら簡単にできる)
ムロは冒険者ギルドの椅子に座り、自身のスキルを確認する。
(私の初期スキルは【身代わり】だけか)
このスキルは、ハズレスキルとして有名だ。
(このスキルは私もwikiで見て知っている。念の為、効果を改めてアプリで確認しておこう)
☆効果:ダメージや、状態異常をテイムしているモンスターが代わりに受ける
(一見ハズレには見えないけど、使う人は人間失格みたいな風潮があるスキルだ。テイムモンスターに優しくないからね。私もなるべく使わないようにしよう)
もっとも、これはモンスター側で拒否をすることも可能なので、悪用しなければそこまで心配する必要はないだろう。
(というか、私テイムモンスターいないし。ギラはテイムモンスターに見えて、ただの友達だし。友達……でいいんだよね)
友達がいないムロにとって、初めての友達ということになる。
(ともかく、これから先モンスターをテイムすることになっても、使わないことにしよう。って、え!?)
冒険者アプリを触っていたら、驚くべき事実が発覚した。




