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 翌日。


「1万1200再生か! 悪くない!」


 ムロはスマホ画面を見て、珍しく得意気な表情をしていた。

 いくらショート動画といえども、無名投稿者だったので2桁再生も覚悟していたからだ。


「ショート動画は、最初にスワイプ率が高かった場合、【※ショートフィード】から追放される。それがこれだけ再生数が回ったんだ。それだけ、多くの人が手を止めてくれたということ。悪くない所か、最高のスタートだ」

【※ショートフィード=色んな種類のショート動画が無差別に載っている専用ページ】


 高評価は252。

 まずまずといった所か。


 チャンネル登録者数は10人「も」増えた。

 10人「も」というのは、別に自虐ではない。


「今の時代、ダンチューブのAIも賢くなった。だからわざわざチャンネル登録しなくても、自分が興味のある動画が投稿されれば、ホーム画面に表示される。つまり、チャンネル主を応援する意味以外でのチャンネル登録の必要性は薄い」


 その中で、10人も増えたのだから凄いものだ。

 それに約1万再生だから、1万人が動画を見た訳ではない。


 昨年2025年にダンチューブの再生数のカウントが変更され、0秒でスワイプしたものも再生数としてカウントされるようになった。

 それを考えると、この伸び良いスタートと言えるだろう。


「コメントは何が来てるのかな?」


 全部で5件来ていた。

 1つずつ返信していこう。


 ・この映像本物?


『はい。本物です』


 ・迫力あって草


『ありがとうございます。本物のドラゴンです』


 ・チャンネル登録しました!


『ありがとうございます。皆さんの応援が力になります』


 ・そのドラゴン、初見だけどなんていう種族?


『申し訳ございません。調査しておきます』


 ・ドラゴンチャンネルのパクリ乙。消えろ


 最後のコメントだが、これに対しては削除一択だ。


「一見不誠実に見えるけど、こういうコメントが1つあると、初見の人がそういうチャンネルだと思って見てくれなくなる可能性もある。それにこれに続いて、同じようなコメントが続いて荒れる可能性がある」


 最後のコメントは削除し、ユーザーはブロックした。



 昨日のダンジョンゲートをくぐり、またしてもドラゴンの住処にやって来た。

 ダンジョンゲートは相変わらず自室で開いたままなので、いつでも来ることができる。


 ちなみに今は連休だから良いが、学校が始まるまでにはどうにかして対策を考えなくてはならないだろう。


「昨日の動画はどうだったんだ?」

「中々良かったですよ。この調子で行けば、1年でチャンネル登録者500人は行くでしょう」

「チャンネル登録者500? それって凄いのか?」


「はい。非常に多いです。ダンチューブではチャンネル登録者が多いチャンネルが、検索結果に出やすいです。

その為、ほとんどのチャンネルはそれくらいは突破していると思いがちです。

ですが、実際に0から始めると、登録者100人ですら難しいと言われています。

なので、1年間で500人というのはごく普通の学生にしてはかなり多い登録者数ということになるでしょう」


 いきなり1000人を目指すのもいいかもしれないが、増えなかった時に心が折れてしまう。

 500人であれば、現実的だ。


 昨日の大して手間が掛かっていない動画を投稿しただけで、10人増えたのだから、500人なら1年で突破できるだろう。


「でも、前に俺が盗み聞きしたら、登録者1万人で少ないって言ってた人がいたぞ?」

「盗み聞きばかりですね。それと、1万で少ないは感覚が麻痺しています。おそらく、そこまでの数となると、何かしらの配信か動画、または連携しているSNSでバズったのでしょうね」


「バズるってなんだ?」

「バズるというのは、ネット上で注目されている状態を指します。一度その状態になってしまえば、皆が登録しているからということで、どんどん登録してくれるでしょう」

「お前はバズらせないのか?」

「バズらせようとして、バズったら苦労しませんよ。ある程度頑張ったら、後は運ですからね」


 だが、希少性のあるような動画であれば話は別だ。


「あなたには、可能性があります。そういえば、自己紹介していませんでしたね。私は松原ムロといいます」

「俺か? そういえば、名前なんてないな!」


 モンスターの種族名は、wikiで人間が決めている。

 その為、種族名すらも知らない。


(コメントでは、後で調査しておくみたいなこと言ったけど、どうしよう?)


 答えるとは言っていないから、良しとしよう。


「名前決めてくれよ!」

「私がですか? ネーミングセンスないですよ?」

「人間に付けて貰いたくてな」

「じゃあ、ギンドラ」

「ギラ?」

「銀色のドラゴンだから。銀色ドラゴンから2文字取りました」


 モンスター育成RPGは昔からやっているムロであったが、ニックネームはあまり付けない。

 種族名そのままなのは、「犬」を犬と名付けるようなものだという意見もある。


 しかし、ムロがニックネームを付けないのには理由がある。


(ゲーム製作者、つまりはプロがそのモンスターの特徴から名付けた素晴らしい名前なのだから、わざわざ素人の私が付ける必要もないかなって)


 ギラという名前、ドラゴンは喜んでくれるだろうか?


「2文字か! 呼びやすいのはいいな! 気に入った!」

「そうですか?」

「ああ! 俺もお前のことはムロと呼ぶぞ! よろしくな!」

「こちらこそ、よろしくお願いします! 共に500人を目指しましょう!」


 なんだか、楽しい。

 ムロは珍しく、そう感じていた。


 今まで、こんなに楽しいと思えることはなかった。

 だからこそ、お金目当てではないにせよ、本気でやってみようと思う。


「ギラさん、ちょっとお願いがあります。私は私で動きますので、これ頼めますか?」

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