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第99話 誠はみんなの『おもちゃ』

「話は変わるけど……かえでちゃん……ちょっと気になるニュースがあるのよね……」


 アメリアは思わせぶりにかえでに向けてそう言った。誠の安物のベルトのバックルと悪戦苦闘していたかえではアメリアを見上げた。


「なんだろうか?これから僕は誠君がお蔦さんの尺八にどれほど耐えられるかを見ることにしか関心が無いんだけど」


 かえではキレた糸がベルトのバックルに引っかかって中々外れない誠のベルトと格闘していた。誠はもう自分は女性のおもちゃに過ぎないというあきらめの境地に達して黙ってその様を見つめていた。


「だからこの店はピンサロじゃねえって何度言えば分かるんだ!」


 お蔦に誠のものをしゃぶらせる気満々のかえでに向けてかなめが激しいツッコミを入れる。


「いえね、別に誠ちゃんがお蔦さんに尺八を吹かれることは特に関係ないのよ。むしろ関係あるのはかえでちゃん。貴女の方」


 アメリアはそう言うと携帯端末を取り出した。


「清純派で売ってた演技は女優の『氷上君子』っているわよね。それが急に芸能界の引退と妊娠を発表したの。あまりに突然の出来事にワイドニュースはそれ一色になったわ。しかもお相手は一切発表せず。会見では結婚せずにシングルマザーとして子育てに専念するとか言ってるのよね……お相手って誰?かえでちゃん?」


 誠はドラマを全く見ないので女優の名前などほとんど知らなかったが、氷上君子の名前は知っていた。


 アニメを見るたびに流れる清涼飲料水のCMのイメージガールを長年務めてきた彼女の顔は誠も知っていた。


「おい、かえで。オメエはまだ『マリア・テレジア計画』を続けてるのか?氷上君子の子供もオメエのクローンか?こりゃあとんでもないスキャンダルだぞ!バレたらうちにマスコミが雪崩を打って押し寄せるぞ!どうしてくれるんだ!」


 かなめが立ち上がってまだ誠のズボンを下ろそうとしているかえでに向けてそう言った。


「ああ、彼女の事か……彼女と僕が肉体関係にあるのは事実だよ。しかし、信じられないね。清純派女優と言うのが本当に処女だったとは……芸者が女優を務める甲武じゃ考えられないことだ。でも彼女は僕にすべてをささげてくれた。いや、それ以上のものを彼女は欲しいというんだ。美しいというのは罪なものだね。僕は罪な女だ。そして望むものは全て与えたくなってしまう。それはいけない事でしょうか?」


 かえではそう言うとやっと誠のベルトのバックルを外すことに成功しズボンのボタンに手を賭けた。


「かえでさん……止めてくれますか?僕、まだ酔って無いんで。素面なんで。いきなり脱ぎだすのはさすがに恥ずかしいんで」


 誠のそんな懇願は完全に女性達に無視された。


「そんな文化論の話をしてるんじゃねえ!じゃあ、寝たのは事実でどうやって氷上君子を孕ませた!答えろ!」


 かなめは強い口調でそう言った。


「ああ、彼女がどうしても『僕の思い人』の子供を思い出に欲しいと言うんだ。それでね……」


 かえでは誠のズボンを脱がしながらさらりとそう言った。


「『思い人』の子供……まさか……」


 ここに来てアメリアは驚愕したような表情で誠のパンツに手をかけるかえでを見つめた。


「そうだよ。培養した誠君の精液で彼女は妊娠した。つまり、氷上君子さんの子供は誠君の子供だ」


 誠はパンツを下ろされながら自分の顔から血の気が引いていくのを感じていた。


「僕の子供……しかも人気女優との間の子供……童貞なのに子供がいる……」


 誠はただひたすら混乱していた。そんな誠のものをお蔦が器用に口でくわえようと顔を近づけた。


「お前らいい加減にしろ!」


 さすがのかなめもここにきてお蔦を誠から引きはがした。誠は混乱に目を白黒させながらパンツをゆっくりと上げた。

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