第97話 話題は下の方に向かい……
「おい、かえで。いつアタシが神前の隣にオメエが座って良いって言った!そこをどけ!アタシが座る!それとリン!そこにもカウラを座らせる!オメエ等みたいな変態を神前の傍に置いとくと何をするか分からねえ!どうせこの帰りにどう神前を襲うかの相談でもするんだろ!そんなことさせてたまるか!神前はアタシんだ!」
かえでの後ろで銃の入ったホルスターを叩きながらかなめが怒鳴った。
「お姉さま。いつ誠君がお姉さまのものになったのかな?誠君はまだ童貞ということはその事実の認識は間違っていると僕は思うよ。それに誠君は僕の『許婚』だよ?決してお姉さまだけのものでは無い。それにリンもいずれ誠君の子をなすことになる。そんな関係の二人が神前君の両脇に居るのは当然の話なんじゃないのかな……そうだな、春子さん。今日はワインは白がいい。モーゼルの2436年物を」
かえではまるで姉の言うことなど無視してそう春子に頼んだ。そのあからさまにかなめを無視する態度にさすがのかなめも諦めてかえでの隣に腰を下ろした。
「かえでちゃんの妄想話は良いとして。いつものように焼鳥盛り合わせ人数分と誠ちゃんには豚串。それとかえでちゃんは鶏の刺身がお気に入りだったわよね」
悪くなる雰囲気をなんとかなだめようとアメリアは気を利かせてそう注文した。
「神前君だったよね……しかし、アンタもモテるんだねえ……こんなにいい女を沢山従えちゃってさあ……さぞかし夜の方も凄いんだろ?」
誠に中ジョッキを運んで来たお蔦が誠の耳元でそうささやいた。
「ああ、お蔦さん。誠君は童貞だよ。でも、彼の大きさは……たぶんお蔦さんが相手にしてきたどの客のそれよりも大きい。才能は間違いなくあるから僕はそれにすべての穴を責められて自分の身体が自分のモノでなくなるような感覚を味わうことをいつも夢見ているんだ。それを想像するだけで僕は無上の女として産まれた喜びを感じることが出来るんだ」
かえでは春子から白ワインのボトルを受け取りながらそうつぶやいた。
「へえ、そんなに大きいのかい?新さんよりも?」
お蔦は顔をワインオープナーをかえでに手渡す春子に向けた。
「そうねえ……新さんよりかなり大きいわね。たぶんお蔦ちゃんは見たことが無いだろうけど、黒人の大きいことが自慢のAV男優よりも大きいくらいだから」
春子はとんでもないことをサラっというので誠は顔を赤らめてうつむいた。
「それは凄いんだろうねえ……でも大きさだけじゃだめだね。早いのはいただけないよ……どうせすぐ出しちまうんだろ?」
お蔦の言葉にリンは静かに首を横に振った。
「誠様を射精させるのには私も苦労させられました。眠って淫夢を見ているらしいのですがそれでも手だけで出すのは無理で結局舌を使って舐めあげて刺激を与えてようやく採取に成功しました。誠様はかなりお強い方です」
リンの無表情のまま誠の一生の不覚の話をするのを聞いて誠はただ俯くだけだった。
「そりゃあ凄いねえ。でも素人で初めてってのはいただけないね。アタシみたいなその道の一流が教えてあげようか?まあ、アタシには新さんが居るからそれでアンタがアタシに夢中になっても無駄だけどね」
「お蔦さん。それ洒落になって無いです」
欲に目が眩んだ目で自分を見つめて来るお蔦に誠はそう言い返すのが精いっぱいだった。