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第62話 話題に花を咲かせる人々

 いつものようにかえでが本格的に第二小隊での活動を始めてから始められたランの指導による誠、かえで、アンの法術戦闘訓練を終えた誠は着替えを終えて機動部隊の詰め所に戻った。いつものようにかえでがランの代わりに指導を務め、ランは腕組みしたまま微動だにしない。


 その性的嗜好性の異常性は別として仕事に関してだけはランはかえでを信用していた。そしてかえでもまたランに次ぐ実力者として誠やアンの攻撃を息も切らさずあっさりかわして見せた。

 

 誠は今日もかえでに一撃のダメージも与えられなかった。その事実だけが脳裏によぎりながら誠は着替えを済ませて機動部隊の詰め所に戻った。そこには法術師の戦いを見学していた法術師ではないパイロットのかなめ、カウラ、リンの姿があった。


「お疲れさん。かえでの奴ももう少し手加減してやりゃあ良いのに。銃器訓練の時はあんだけオメエにセクハラし放題のくせに法術となると人が変わったように本気でオメエを潰しに来る。鬼だなあれは。まあそれだけ早くオメエを『漢』にしてえんだろ?そしたらランの姐御に結婚を許してもらえる。アイツの脳内にはその考えしかねえ。あの女には『色欲』以外の意識は存在しねえのか?」


 自分の席に着いた誠に向けてかなめはそう言い放った。


「でもおかげで僕の『光の剣』と『干渉空間』の同時展開なんてことが出来るようになったんだから感謝しないといけませんよね。それにあの人はどうやら僕に『愛』とやらを教えるために『愛の鞭』でいつも法術訓練の時は厳しく当たってくるらしいです」


 誠は照れながらそう言った。


「そうか、貴様が法術師としてより強くなればフォローする我々の負担も減る。その事だけは日野少佐にも感謝しないといけないな。それにしてもその日野少佐とクバルカ中佐、それにアンはどうしたんだ?」


 となりでいつものようにブラウン管端末でパチンコゲームで終業までの時間を潰そうとしていたカウラが話しかけてきた。


「二人はクバルカ中佐のマンツーマンレッスンでアンの特訓のお付き合いです。アンの法術『テリトリーサーチ』以外の法術が何か使えるはずだと言うのが二人の意見なんで」


 アンは法術師だが、物理的攻撃はまるでできなかった。


 その使える法術は『テリトリーサーチ』。アンのテリトリーに入った人物の思考はすべてアンには筒抜けになる。どんなに物陰に隠れようとも、光学迷彩やジャマーをどんなに展開しようともアンの前では何の意味も無かった。その力のおかげで使い捨て同然に戦場に放り込まれる『少年兵』は今まで生きてきた。それは紛れもない事実だった。


「アイツに他にとりえがあるか……アタシも科学的には法術師になってもおかしく無いんだぜ?二人ともなんでアタシの法術師としての可能性を見出そうとしねえんだよ?不公平じゃねえかそれは?法術訓練は常にアタシは見学で一切手出し無用ってなんなんだよ。アタシだって素質は有るんだぜ?法術適性も『アリ』って結論だった。だったらアタシがどんな法術を試せるのか教えてくれたっていいじゃねえのか?ランの姐御のかえでびいきにも困ったもんだ」


 かなめは不服そうにそう言うと組み立てていた愛銃スプリングフィールドXDM40のスライドをレールにはめ込んだ。


「それは銃以外に貴様に凶器を与えるとろくなことにならないと中佐は踏んでいるんだ。ただでさえむやみに銃を振り回す貴様のおかげで近隣住民や豊川署から厳重注意を受けているんだ。もし貴様にパイロキネシスなどの危険な法術の発現が有ってみろ。それこそ今どころの騒ぎじゃなくなる。これ以上中佐の仕事を増やすんじゃない」


 カウラはフィーバーする画面から目を離さずに冷たくそう言い放った。


「お二人とも仲良くしましょうね……それにしても隊長普通でしたね。売春合法の甲武の一番の売春婦の人が奥さんになってこれからは自分の為だけに尽くしてくれるんでしょ?あの『駄目人間』のことだからもっと『駄目っぷり』を見せると思っていたのに……」


 誠は今月使用した公用車のガソリン代の請求書に判を押しながらそんなことをつぶやいた。


 その言葉を聞いて二人の女はピクリとまゆを動かして誠を見つめた。

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