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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『駄目人間』の青春と初めてのデート  作者: 橋本 直
第四十五章 腹黒い『伏兵』

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202/206

第202話 眠れない夜

 かえでの車で寮に着くと誠はすぐにシャワーを浴びパジャマに着替えて布団に入った。


 いつもならすぐに眠りに付けることだけが誠の取柄だったが誠の目は冴え切っていた。


「僕はモテているんだな」


 誠はそんな独り言を言った。この『特殊な部隊』に来るまで誠はモテたことが無かった。


『モテない宇宙人』である遼州人に産まれた以上、その運命を誠は自然なものとして受け入れていた。


 しかし、明らかにかなめ、カウラ、アメリア、かえでは誠に気があるのは明らかだった。


 そして、先ほどはリンまでもが誠を独り占めしたいと言い出した。


「女難の相っていうのは遼州人にはほとんど無いって言うけど、たぶん僕はそんな感じなんだろうな」


 誠は急に変わった環境に戸惑い何をすればいいのか迷い続けていた。


 まず、かなめを選ぶとする。そうすると当然誠はマゾヒストとして開花し荒縄で縛られ鞭打たれることに快感を覚えるような自分になるだろうと想像した。


「やっぱり、西園寺さんと付き合うのは無理だ。僕は先のとがったお馬さんとかには乗りたくないからな」


 誠はただかなめを選ばなければそれはそれで酷い報復を受けるだろうがその方がマシだと考えるようになった。


 次に思い描いたのはアメリアだった。


 アメリアとは趣味が合う。これだけは間違いない。しかも趣味人でいて社会常識にも明るい。自分でもアメリアならば信頼できるような気がしてきた。


「でも、アメリアさんは面白ければそれで良いという人生訓の人だからな。付き合ったら付き合ったでどんな目に遭わされるか……この隊に入った時もいきなり金盥を落としてくるような人だもんな……まあ、西園寺さんよりは僕は人間らしい生き方は出来そうだ。とりあえずキープで」


 誠の脳内は完全にモテ男気取りのそれになっていた。


「そしてかえでさんか……まあいわゆるエロゲで言う『ハーレムエンド』だよな。かえでさん、そしてリンさん、そして多くのメイド達とやりたい放題……でもその先に待つのは……肉玩具としての運命か……なんだかあの姉妹どっか頭のネジが抜けてるぞ。僕は人間なんだ。だから……でもハーレム気分でウハウハが良い感じなのは『駄目人間』の隊長を見ていると分かるからな……とりあえずこれもキープで」


 そう言うと次は誠はカウラの事を考えた。


「カウラさん。これが一番まともなルートだな。家庭的……では無いな間違いなく。優しい笑顔が素敵……あの人年中無表情だからな。しっかり者で家計もばっちり……あの人パチンコ依存症で車に金は惜しまないからそれは無いか。どこがまともなんだ?他の女子達がおかしすぎるから普通に見えるだけでかなりおかしいぞ。でも一途に僕を愛してくれそうだからこれもキープ」


 誠の脳内はほとんど恋愛趣味レーションのエロゲバージョンと化していた。

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