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第20話 四大公家末席後継者問題

「時に、ひよこ君。質問をしたいのだが……良いだろうか?」


 かえでは続いてひよこに目を向けた。


『人妻キラー』として何人もの女性を恋に落として自分のクローンを孕ませた実績を持つかえでの甘い瞳にひよこは一瞬狼狽えた後真顔になってかえでを見つめた。


「このお蔦さんと言うお嬢様は不死人となった。それでは不死人の女性は子をなせるのかな?その点を僕は確認したいんだ。これは甲武四大公家の行く末を左右する重要な話だ。正直に話してくれたまえ」


 かえでの突然の発言に一同は唖然とした。その割にかえでの表情は真剣だった。


「それなんですが……不死人の排卵周期は少し変わっていまして……」


 恥ずかしそうにひよこは説明を始めた。


「きわめて不安定になる傾向が有ります。生理が止まることは無いのですが、その間隔が異様に長くなる傾向にあります。その間隔は百年とも二百年ともいわれています……研究が始まってまだ四百年しか時間が経っていないので正確なデータはまだとれていません。ただおそらくかえでさんが生きている間には隊長とお蔦さんの間に子供が出来ると言うことは科学的にはかなり難しいんじゃないかと思います」


 ひよこは遠慮がちにそう言った。


「そりゃあ、おかしいじゃねえか?アタシとかえでのお袋の鬼婆は不死人だがアタシとかえでは三つ違いだ。生理が来るのが百年後だったらそんなことあり得る話じゃねえだろ」


 ここで突然かなめが驚いた調子でそう言ってきた。かなめとかえでの母である西園寺康子は『甲武の鬼姫』と呼ばれて恐れられる今誠が知る限りランと並ぶ宇宙最強の『法術師』だった。そして彼女が不老不死であり、以前かえでに見せてもらった康子の写真はどう見てもかえでと同じくらいに見える康子の姿が写っていた。


「だから、きわめて不安定だと言ってるんです!数年で来るというデータも無いわけでは無いですから。西園寺さんと日野少佐の場合はそのケースだったと考えられます!」


 半分やけになったようにひよこはそう言った。


「そうか……リン。旅館の手配は終わったかい?」


「はい、かえで様。手抜かりは有りません。かえで様にいつも愛していただいている部屋を抑えましたし、他の部屋を予約している当日客には当家から保証をするということで支配人とも話がつきました。全室隊長の自由に使っていただいて構わないということです」


 リンはいつもの無表情で難しい表情を浮かべるかえでを見つめた。


 かえではそのまま顔をお蔦達に向けた。


「君達には嵯峨家の跡取りを産んでもらいたいと思ったのだが……そうなると難しい話になるね。僕は軍人だ。いつ死が訪れてもおかしくない仕事と言って良い。だから、その時の為に不死人である義父上にはお子を作ってもらいたい。だが、生理が来ないとなると……」


 かえではそう言って再びリンに目を向けた。


「ご安心ください。排卵誘発剤を使用するという方法があります。私は産婦人科を専門としています。当然その処置は私が行います」


 リンははっきりとそう言うとお蔦達に眼をやった。


「なるほど、その手があったね。ならば嵯峨家は今後も安心だ。出来れば僕が継いだ日野家の跡継ぎも作っていただきたい。何が起こるか分からない時代です。義父上、よろしくお願いします」


 かえでは微笑みながら義父である嵯峨に向けて笑いかけた。

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