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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『駄目人間』の青春と初めてのデート  作者: 橋本 直
第四十四章 変わりゆく月島屋

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第199話 面倒な『駄目人間』の闖入

「こんばんわー、春子さん。お蔦さんが迷惑かけてないかな?」


 そう言って縄暖簾をくぐって現れたのは嵯峨だった。その月3万円で生きる男の登場にこの場に居る誰もが凍り付いた。


「なんで叔父貴が……ここで酒を飲むような金あんのかよ」


 かなめはついそんなことを口にしていた。


「ああ、別に酒を飲みに来たわけじゃ無いよ。晩飯なんだけどお蔦さんがここで食っていけばいいからってことで春子さんが作るまかないで済ませることになったんだ。だからこれからは毎日俺はここに来るよ」


 嵯峨はそう言うと甘い言葉をささやきあうことに夢中なかえでとリンの隣のカウンターに腰を掛けた。


「新さんも常連になるのね。これはお蔦さんがここで働く条件に新さんの晩御飯を付けたのは正解だったかも」


 そんなことを言いながら嬉しそうに春子は奥の方へと消えていった。


「春子さん……嬉しそうだったわね。お蔦さん、安城少佐、そして春子さん。三人も一気に落とすなんてさすがは策士と言うところかしらね。誠ちゃんもいつでも私を落としていいのよ。大歓迎だから」


 アメリアはそんなことを言いながら誠を握るてにさらに力を込めた。


「あの、アメリアさん。さすがにそこまで力を入れられると痛いです」


 誠の言葉と表情を見てようやくアメリアは誠の手を離した。


 お蔦はそのまま誠の所まで行くと耳元にまで口を寄せてきた。


「あのね、アタシだけじゃ新さんを満足させられないって言ったら春子さんも協力してくれるって。今日はその日。君が帰った後でこの店で三人でお店の中ってのも面白いじゃないのさ……少し興奮した?」


 いたずらっぽくささやいてくるお蔦の言葉の意味を察して誠は顔を赤らめた。


「しかし、神前よ。お前さんもいい加減諦めたらどうだ。貞操を守るのも考えもんだぞ。俺は9歳で子供を作るように当時皇帝をしていた婆さんから言われて女を抱く毎日を続けてたんだ。親父があまりに使えねえ馬鹿で薬に手を染めて政治なんてできる状態じゃ無かったからな。だから、遼帝家の力を強めるために一刻でも早く孫を作れって急かされてそうなった。だから俺には貞操観念なんて言う面倒なものは無い。お蔦は不死人だから次に子が作れるようになるのは何時になるか分からねえ。その点、秀美さんはサイボーグだからその気になれば保存されている遺伝子を人造卵子に組み込んですぐにでも子供が作れる。春子さんは不死人じゃない遼州人だから地球人とその点については差が無い。俺、いい加減に皇帝辞めたいんだ。あんな面倒くさい事好き好んでやりたがる人間の気が知れないよ。まあ、いくつか消しとかなきゃならない人間があの国にもいるからそいつ等を始末したら皇帝の位を秀美さんとの間の子に譲るつもりだよ。まあ、それまで20年くらいはかかるだろうけど、まあ仕方がないよね」


 嵯峨はそう言うと笑顔で焼鳥丼の賄を運んで来た春子からそれを受け取るといつも通り乱暴に食べ始めた。

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