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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『駄目人間』の青春と初めてのデート  作者: 橋本 直
第四十四章 変わりゆく月島屋

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第195話 ちょっとお姉さんからひと言

「確かにかなめちゃんは成長が必要かもね。でも、かえでちゃん。かなめちゃんも誠ちゃんが来てからだいぶ成長したのよ。かえでちゃんはまだ社会人経験が浅いから分からないかもしれないけど、人はそれぞれの速度で変わっていくものなのよ。カウラちゃんも変わってきてる。社会に出たばかりの誠ちゃんの成長速度しか見えないなんてかえでちゃんこそまだまだってところだと私は思うわよ」


 今日は地雷系の女子のような格好をしているアメリアがいつの間にかかえでの隣に立っていた。その雰囲気すら察知できなかったことにかえでは驚いたような顔をする。


「なに驚いた顔をしてるのよ。かえでちゃんでも驚くことが有るのね。そちらの方が驚きだわ。でも、かえでちゃんは確かにあの一日で誠ちゃんを大きく成長させたかもしれないけど、私も結構誠ちゃんの成長させた自負はあるのよ……ね?」


 そう言ってアメリアは誠に笑いかけてきた。


「たしかに、この国が『ビッグブラザー』によってゆがめられているとか、戦争するには経済が大事だとか、遼州人はモテない宇宙人だから僕がモテないのは当然だとか色々教わりました。まあ、それ以上にエロゲの趣味の話ばかりがメインで……アメリアさんのヒロインは最終的にかえでさんの今の状態みたいになるんであまり説得力は無いよな気がするんですけど」


 誠はアメリアの誘導されるがままにそう答えていた。


「エロゲは趣味!フィクション!私は現実の話をしているの!そう言うわけだから。確かに、かえでちゃんのこれまでの経験は普通じゃつめないほど濃厚で密度の濃いものでそれだけ早くかえでちゃんは成長したのかもしれない。けど、それはたまたまそんな環境に産まれてそう言う生き方を選んだと言うだけの話でしょ?でも、人はそれぞれ違う。違う産まれ方をして、違う道を選んで、違う生き方をして、違う成長をする。何も成長が早いことだけが自慢じゃないわよ。そんな事を言ったらブロイラーの中の鶏が宇宙で一番偉いことになっちゃうじゃない。でも彼等はいずれ『月島屋』で焼鳥として食べられるためだけの存在なのよ。そんなの嫌でしょ?誠ちゃん、『月島屋』にもかえでちゃんの車で行くんでしょ?じゃあ出発しましょう」


 アメリアは言うだけ言うと満足したように機動部隊の詰め所を出て行った。


「確かに成長速度の自慢だけならブロイラーの中の鶏が偉いか……クラウゼ中佐は何時も良いことを言う。僕もまだまだということか。誠君、着替えるんだろ?リンと車で待っているよ。今日はリンと久しぶりに二人で話したい気分なんだ。店でも久しぶりにアメリアさん達と楽しい会話を楽しむと良い。どうやら君をすぐ僕の物にするのは中々骨が折れるらしい。だけどそれが僕を燃えさせる。すがすがしい気分だよ」


 かえではそう言うと笑ってアメリアの後をついていった。リンはその後を静かに付き従うようについていく。


「なにが楽しい会話を楽しむと良いだ。その余裕が人をイラつかせているって言うのに」


 明らかに余裕のある妹の態度にかなめは本気で苛立っていた。

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