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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『駄目人間』の青春と初めてのデート  作者: 橋本 直
第四十三章 車と朝の光景

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第191話 突然の隊長からの呼び出し

「おい、ベルガー!隊長が用が有るそうだ。顔を出してくれ」


 遅れて入って来たのは隊長室に行っていたらしいこの機動部隊の隊長であり『特殊な部隊』のクバルカ・ラン中佐だった。ちっちゃな身体を揺らしてそのままその身体には不釣り合いな巨大な機動部隊長席に腰を掛けるとさっきカウラに言ったことを忘れたとでもいうように将棋盤を取り出して駒を並べ始めた。


「隊長がですか?なんだろう……」


 カウラは不思議そうな表情を浮かべながら立ち上がった。


「ああ、カウラさん、僕も行きます」


 誠も特にすることが無かったのでカウラについていくことに決めて席を立った。


「まあクバルカ中佐のあの調子だと大した用事ではないみたいだからな。神前も来い」


 カウラはそう言って機動部隊の詰め所を後にした。


 寒い廊下を急ぎ足で進んだ二人は隊長室の扉をノックした。


『ベルガーか?いいよ、入って』


 中から相変わらずの緊張感を感じさせない嵯峨の声が響いた。誠達は言われるままに隊長室に入った。


「ご苦労だったね。別に急いでくるような話じゃないし……ああ、神前も居るんだ。別に聞かれちゃまずい話じゃないし、というかベルガーへの文句だから。というかこんなことをベルガーに頼んだ俺が馬鹿だったという自虐ネタになりそうだけどね」


 嵯峨はそう言うと頭を掻きながら手にしていたオートレースの予想新聞を机に置いた。


「ベルガー、俺はファミリーカーで良いのは無いかとお前さんに頼んだ。そしてお前が島田なじみの旧車屋で抑えたのがファミリーカーじゃなくって『ファミリア』だった。ここまでは良い。ギャグとして成立している」


 嵯峨は難しい表情を浮かべながらつまらないギャグを言った。


「しかしなんだ……うちに昨日納車されたのは青い『ファミリア』だ。別に俺は車なんて走ればいいくらいにしか考えて無いから色なんて気にしない。でもさあ、なんで馬力が198馬力にアップされてるの?俺そんなこと頼んだ?俺はお蔦とお買い物に行ったりとか、そのついでにラブホに行ったりとか、食事に行ったりとか、そのついでにラブホに行ったりとかそういう使い方をしたいわけよ。別に公道レースに出たいわけでも、車で逃げる犯人とカーチェイスをしたいわけでも無いんだよ、俺は。そんな俺にこんな馬鹿みたいな馬力の車が必要だと思う?『ファミリーカー』は制限速度で安全に公道を走れればそれで良いの。急加速も急発進も必要ないの。高速で200キロだして高速機動隊のお世話になる必要も無いんだよ」


 誠は要するに嵯峨は車でラブホに行きたいだけなんだということを知って相変わらず目の前の永遠の二十五歳は『脳ピンク』だと確信した。


「車には走行性能は必須です。馬力もあって困るものではありません。それに隊長はラブホテルに行きたいためだけに車が欲しいんですか?」


 カウラははっきりとそう答えた。


「そりゃあお前さんの理屈だろ?馬力がある車。大体そんな車は燃費が悪い。これは機械を知ってる人なら当然の常識。しかもあれ、ハイオク限定だって言うじゃないの。俺が給油する時どうすんの?俺の小遣いは相変わらず3万円だよ。しかも、俺カード持って無いよ。そんな金ないよ」


 半分泣き言に近い調子で嵯峨は自分のやったことに間違いはないという表情をしているカウラに向けてそう言った。

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