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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『駄目人間』の青春と初めてのデート  作者: 橋本 直
第四十二章 一変した寮の朝

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第190話 何もなかった車内と心配する女達

 それから誠とかえでは他愛のない隊内の人物の評価などを笑いあいながら何事もなく『菱川重工豊川』の入門ゲートを抜け、隊の警備室の横を通り駐車場にたどり着いた。


「いやあ、プラトニックな関係と言うモノも良いものだね。こうしてより心が近づける。僕はこれまで恋については焦りすぎていたのかもしれない。僕に言い寄る女性達は僕が甘い声をかけるとすぐに身体を許してくれた。しかし、君は違う。それはそれで難攻不落の城を落とす軍師の境地だね。最高に楽しい気分だよ」


 本部棟に入る玄関口でかえではそう言って誠に笑いかけた。


「そうですか、僕は着替えて来るんで!」


 誠も覚悟していたかえでのセクハラの嵐が無かったことに安堵しながらかえでに手を振って別れを告げると着替えを済ませていつも通りの機動部隊の詰め所に飛び込んだ。


 そこにはいつも早めに出勤して来るアンの姿しかなかった。


「あれ?かえでさんと渡辺大尉は?同じ車で来たんだけど」


 誠は第二小隊の隊員であるアンにそう尋ねた。


「まだ来てないですよ。あれじゃないですか?例のトイレで欲求不満の解消をしているんじゃないですか?」


 アンはあっさりとそう答えると定時制中学で出された漢字の書き取りのノートに目を移した。


「なるほど、僕とあれだけ一緒に居たから性欲がマックスになっちゃったんだな。かえでさんもあの異常な性欲が無ければ本当に良い人なのに」


 誠は才色兼備、智謀に長け、法術師としても完成の域に達しているかえでのただ一つの欠点を見つけて完璧な人間は居ないものだと苦笑いを浮かべつつ席に着いた。


「神前は無事か!」


 乱暴にドアを開けてそう叫んだのは制服姿のかなめだった。


「ああ、西園寺さん。おはようございます。別に何もなかったですよ」


 あっさりとそう言う誠にかなめはずかずかと歩み寄ってきた。その後ろには鬼の形相のカウラとアメリアが続いてくる。


「本当に?変な薬を飲まされたりとかガスを嗅がされたりとかも無かったの?あの人の事だもの。誠ちゃんが知らないうちにどんな細工をしているか分からないわ!気を付けてね、誠ちゃん」


 アメリアは誠の肩をしっかりと握って顔を間近に近づけてそう言ってきた。


「日野も島田と違って馬鹿じゃない。同じ過ちは二度と繰り返さないだろう。そして日野はこれからはプラトニックに行くと言っていた。アイツは自分の言葉には責任を持つ女だ。小細工をするようなことはしないだろう」


 カウラはとりあえず誠がいつも通りなのを確認すると安心したような表情を浮かべて端末を起動した。


「まあ、あの人の異常性欲はどうしようもないですからたぶん今頃はリンさんにそれの解消を手伝ってもらっている最中だと思いますよ」


 誠はそう言うと苦笑いを浮かべた。


「アイツのプラトニックは反動が凄そうだな。アメリア、覗きに行くか?たぶん凄い大声出して変態行為に励んでるぞ」


 かなめは下品な笑みを浮かべてアメリアの肩を掴んでかえでとリンしか使わない本部棟奥の女子トイレへと足を向けた。

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