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法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『駄目人間』の青春と初めてのデート  作者: 橋本 直
第四十二章 一変した寮の朝

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第188話 誠をめぐる戦い

 食事を終えると誠は歯を磨いてそのまま出勤準備をすると玄関に向かった。


 そこではにらみ合うカウラとアメリア、かなめの三人とかえでとリンの対立の構図が出来上がっていた。


「神前は常に私の車で通勤している。当然、神前もそれが慣れている。神前の弱点は乗り物酔いだ。慣れない車に乗れば用可能性がある。そのくらいのことが分からないのか?貴様は」


 明らかに敵意むき出しにカウラはリンに向ってそう言った。


「お言葉ですが、ベルガー大尉の車の座席は誠様の体格に対して狭すぎます。その点、かえで様のお車は室内を広く作られておりますので誠様でも十分リラックスして出勤していただけます。それにサスペンションの問題。ベルガー大尉の車はあくまでレース用に厳しいセッティングに設定されているとか。その点こちらはいかなる悪路でも快適に過ごせるように職人が一つ一つ部品を選定して決定したきっちりしたものです。乗り物に弱い誠様でも安心してお乗りいただけます」


 感情を殺しきった表情でリンはカウラにそう返した。


「車の事なんてどうでも良いのよ!かえでちゃん……途中でホテルに直行とか考えてるでしょ?それとも車内でストリップ?ともかく、かえでちゃんには安心して誠ちゃんを預けられない!私は認めないわよ!誠ちゃんを送るのは私達!昔からそう決まってるの!」


 アメリアの声は怒りのあまりかなりヒートアップしていた。


「みなさん、なにをされているんですか?もう出ないと遅刻してしまいますよ」


 誠はなんとか場を和ませようととぼけた調子でそう言ってみた。


「ごきげんよう、誠君。今日も君の顔が見られてうれしいよ」


 にらみ合うカウラ達を無視してかえでは誠を見つけるとそのまま歩みよりその利き手である左手を取った。


「かえで!何勝手に神前に触れてるんだ!プラトニックラブなんだろ!触るのも禁止だ!アタシがいつそうして良いって言う許可を出した!」


 怒りに任せてかなめが叫んだ。


「僕達の心は結ばれている。それを切り離す権利は例えお姉さまと言えども無いんだ。さあ、僕の車で隊に行こう」


 かえではそう言うと誠の手を引いて駐車場に向った。


 勤務時間が近いので隊員達がこの騒動を物珍しそうに見ながらも小走りに脇を通り抜けていく。


「神前が乗るのは私の車だ!」


 珍しく感情をあらわにしてカウラが叫んだ。


「今は言い争っているほどの時間はないね。それに一度は僕の車での出勤を味わってみるのも悪くない……それ以前にベルガー大尉が誠君と一緒に居るのはあくまで護衛の為だ。そうなればこの中で一番強力な戦士である僕が誠君の傍に居るのが一番理にかなっているだろ?」


 かえではそう言うと怒りに震えるカウラ達を無視してリンを伴って駐車場へと向かった。

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